Record China 2022年11月8日(火) 5時0分
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ドイツメディアのドイチェ・ベレはこのほど、3期目を迎えた習近平政権に、対米姿勢を軟化させる兆しは見られないとする、複数の識者の見解を紹介する記事を発表した。
中国の王毅外相は10月にブリンケン米国務長官と行った電話会談やバーンズ駐中国大使との会談で、「中国の発展を阻止することばかりを考えてはならない」などと繰り返した。王毅外相はまた、「中米関係はまさに重要な局面にあり、双方が世界、歴史、両国人民に責任を負う態度で、両大国の正しい共存の道を確立し、両国関係の下落を止め、安定を取り戻すことが早急に必要だ」とも述べた。
中国共産党が10月に行った第20回全国代表大会(党大会)で習近平総書記(国家主席)は、外部から中国に対する「恐喝、抑止、封鎖、極限の圧力」を強調するとともに、危機意識を強め、「荒波、場合によってはたけり狂う荒波といった重大な試練にも耐える準備をする」と呼び掛けた。
米シンクタンクのブルッキングス研究所の学会外交政策プログラムのシニアフェローであるリャン・ハース氏は、党大会が発したメッセージから読み取れることとして、中国はますます敵対的な外部環境に直面しているとの認識があり、中国として「世界の他の国々が自国の権力を受け入れることを余儀なくされるまで、自国の力を強め、国際的に圧力を不断にかけていかねばならない」と考えていることが読み取れると指摘した。
重大紛争を解決するための政策提言を行う国際的非政府組織の国際危機グループ(ICG)のアイビー・クウェック研究員は、中国は日増しに激化する米国との戦略的競争について、チャンスであり同時にリスクであるともみなしていると主張。米国の力が相対的に低下し、パワーバランスに変化が生じることは自国にとってのチャンスであり、中国がまだ米国に匹敵するほど強くないのでリスクも発生しているとの考えという。
クウェック研究員によると、習総書記が第20回共産党大会で行った報告では「外部からの干渉」についての言及が多い特徴があった。一方で、第19回大会の報告と比べれば、言い回しはやや穏やかである反面、世界における中国の地位についての記述は自信にあふれていた。
ホワイトハウスの関係者からは、米中は習近平国家主席とバイデン氏が会談を行う可能性を検討しているとの声も聞こえている。ただし、何らかの成果を得られる保証がなければ、互いにラブコールを送ることに意味はないとの指摘もある。
シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策学院のシニア客員フェローで、米国の国防関連の仕事をした経験もあるドリュー・トンプソン氏は、中国側から対米関係の改善についての言及があるとすれば、それは米国側が中国の要求を受け入れたり、中国の脅しに屈した場合であり、今のところは、中国が言動を変化させたり、相手側の利益を認める措置をとる兆候は全くないと指摘した。中国は、いかなる争いにおいても一歩も引かないことを明確にしており、米中の対話は困難との見方だ。
また米国は、中国側が先進的な半導体チップや関連機器を入手できないよう、輸出管理措置を実施している。このことで、技術分野における米中の競争が激化すると見られている。習近平総書記は第20回党大会中に、中国が重要分野での基礎研究を行うことと、飛躍的なイノベーションを実現することの重要性を強調している。
米シンクタンクのアトランティック・カウンシルで、アジアの安全保障関連のシニア研究院を務めるデクター・ロバーツ氏は習近平氏について「自分らだけで単独に戦うことを決意する必要がある」、「西側に学び、技術面での協力を得ることで中国が利益を得る古いモデルは、もはや通用しない」と、かなりの程度、確信しているようだとの見方を示した。
クウェック研究員はさらに、中国は米国と技術面で競争をする一方で、「中国らしい大国外交」を推進することで、国際社会置ける発言権を強化しようとしていると指摘した。中国は国際問題についての扱い方で、自らは「真の多国間主義を堅持」と繰り返し主張すると同時に、米国の行動については「一方的、覇権的、排他的」とする批判を繰り返しているからだ。
クウェック研究員によると、習近平氏も第20回党大会での演説で、「中国は独立自主の平和外交措置を断固として実行する。覇権を握ろうとしたり、拡張主義を取ることは、永遠にしない」と論じたことも、「大国外交」を明示する一環だ。中国が最近になり表明した「全世界発展イニシアティブ」や「全世界安全イニシアティブ」も、自国について良好なイメージを形成することで「友達を獲得」しようとする外交戦略に基づくという。(翻訳・編集/如月隼人)
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