市民ぐるみでスポーツ通じて健康増進、背景には孔子の時代からの伝統―山東省済寧市

Record China    2022年11月5日(土) 17時40分

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山東省済寧市では、スポーツを通じて市民の健康を増進する取り組みが、熱心に進められている。実は、同市内に孔子の出身地の曲阜があることも、スポーツ文化と無関係でないという。

山東省済寧市では、スポーツを通じての市民健康増進に力が入れられている。同市には、これまで一流のスポーツ選手を輩出してきた実績があるが、それだけでなく、市内の至る所で体を動かして汗を流す一般市民の姿を見かける。意外なことに、同市が「儒教文化発祥の地」であることも、スポーツ振興と無縁ではないという。

中国中央は2022年3月に、国民の健康増進を目的に、体育のための施設や器具設置を進め、人々に体を動かすことを促すよう、全国各地域に向けて通知した。済寧市は、取り組みの一環として「15分フィットネスサークル」という運動に力が入れられた。市内の太白湖畔、各フィットネス館、公園や広場などでは、健康な汗を流す市民の姿を至る所で見ることができる。

済寧市のスポーツ関連の取り組みは、最近になって始まったわけではない。2022年8月7日には、第12回となる市の全住民フィットネス競技大会の開始セレモニーである「全民フィットネスデー」および「健脚ウォーキングイベント」が、太白湖畔で実施された。健脚ウォーキングイベントでは、郊外を含め市内各地から集まった1万人近くが力強い足取りでゴールに向かった。「全民フィットネスデー」も盛り上がった。

済寧市は、市内に孔子の故郷である曲阜や、孟子の故郷である鄒城があることなどで、「儒教文化、発生の地」とされている。儒教と言うと「静かに座して学問に没頭」といったイメージもあるが、必ずしもそうではない。身分ある者の基本技能である「六芸」には、「礼」や「書」だけでなく、弓術や馬車を御する術、つまり体を動かす現代のスポーツにもつながる項目が含まれていた。

市では、「六芸」にちなむ「六芸太極拳」も考案された。人々は、「悠久の歴史をもつスポーツ文化」の誇りを胸に、練習にいそしんでいる。

済寧市は山東省内でも、多くのスポーツ名選手を輩出してきた土地でもある。2021年に開催された東京五輪大会では同士出身の張徳常選手がボート競技で銅メダルを獲得し、2019年の世界アーチェリー選手権大会では馮浩選手が金メダルを獲得した。

日本の国民体育大会に相当する中華人民共和国運動会では、2021年開催の第14回大会で、済寧市出身の選手は金メダル7個、銀メダル5個、銅メダル8個を獲得した。このメダル個数は、済寧市出身の選手が出した、歴代最高の成績だった。


済寧市はスポーツ大会の開催をより重視するようになった。2022年になってからは、山東省エアロビックダンスシリーズ大会、山東省シニアバレーボール大会など多くの競技大会を開催した。2022年には国家体育総局の支持を得て、「『運河の都』済寧国際マラソン大会」が開催された。済寧市では、スポーツ大会の招致は市民にとって「スポーツと共にある雰囲気」をさらに濃厚にするのと同時に、都市の活力を増強する一助になると考えられている。

スポーツ振興において、次の世代の育成は特に重要だ。子どものころからスポーツになじめば、才能を見いだされて優秀な選手に育つケースも増えるはずだ。そうでなくても大人になっても、体を動かす習慣を保ち、スポーツを健康増進に役立てる人が増えるだろうからだ。

済寧市では、「走れ少年」と名づけられた、児童や青少年を対象にしたスポーツ関連の取り組みや、国際競技などで優秀な成績を収めた選手に、小中学校に来てもらう試みもしている。子どもや保護者に「より強く」、「より速く」、「より強く」などの五輪精神を肌で感じてもらうのが狙いだ。また、夏休みを利用して、小学校から高等学校の生徒を対象に、無料で水泳を教えることも行っている。この取り組みは、社会で広く称賛されている。

済寧市はまた、スポーツ産業の育成に力を入れている。現在までに市内にあるスポーツ企業は1584社に達した。うち、経済統計の作成作業でも重視される一定基準を満たす「四上企業」に分類される企業は29社、ハイテク企業に分類される企業は9社がある。

済寧市では年内に、同市が主催発起人となった「大運河(山東省)5市スポーツ発展連盟」の設立大会が開催される。中国の南北を貫く「大運河」の沿岸地域として、地域を革新し発展させる「運河戦略」、多くの人に運河のロマンを感じてもらう「運河物語」、運河により発揚された「運河文化」、それらを背景とする「運河競技会」をうまく運営するなどで、「スポーツ観光ゴールデンルート」を構築し、黄河や山地に沿いにアウトドア、水上スポーツなどのプロジェクトを企画し、「プラス・スポーツ」として地域の向上を実現させる考えだ。(翻訳・編集/如月隼人

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

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