Record China 2022年11月4日(金) 15時20分
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中国で“港湾革命”が進行中だ。天津港では5GやAIによる高度に自動化された埠頭(ふとう)が操業を開始した。記事リンク先の動画が示すように過酷で危険な作業は姿を消した。省エネや炭素排出ゼロも実現した。
港湾は物流にとっての要(かなめ)だ。例えばコンテナ埠頭(ふとう)の場合、船舶から陸上へ、陸上から船舶へと大量のコンテナの荷揚げや荷下ろしをひっきりなしに行わねばならない。さらにコンテナの仕分け作業量も膨大だ。大型クレーンや運搬車が常に稼働する現場だ。従来はオペレーターや運転手などの「人海戦術」で作業をこなしてきた。過酷であり、危険が伴う職場だった。
中国では今、5GやAI、各種センシングなどを応用した「港湾革命」が進行中だ。「高度自動化」により、港湾を安全かつ高効率に運営していく。最近になりメディアが注目したのは、天津港での取り組みだ。同港北疆港区では「スマート化コンテナ埠頭」の正規操業が10月17日始まった。構内を縦横無尽に移動する運搬車両76台に、もはや人影はない。
この新たな運搬車両76台は「インテリジェント搬送車(IGV)」と呼ばれ、スーパー・レベル4と呼ばれる高度自動運転の機能を持つ。レベル4とは、豪雨や台風などの極端な条件の場合を除き、完全に無人で運転できる自動運転の水準を指す。
重要なことは、76台の無人IGVを、安全かつ高効率で稼働させることだ。その鍵となったのは、5GやAI、各種センシング、中国が建設した北斗衛星導航システムを利用した精密なポジショニングだ。
スマート化コンテナ埠頭実現の鍵となったこれらの技術を提供した華為技術(ファーウェイ)によると、多数のIGVが衝突事故などを起こさぬように、かつ高効率で運用するためのアルゴリズムを構築した。それぞれのIGVはクラウドも活用することにもより、その時その時の状況に応じて、最適かつ最短かつ他のIGVと競合しないルートを選択して移動する。「高度な知性により有機的に統括された共同作業」が実現したという。
なお、従来方式の搬送車利用の場合、港湾は24時間体制で操業しているので、3交代制によって搬送車1台について3人の運転手を割り当てることになる。つまり76台で210人以上が必要になる。休日などを考えれば、さらに多くの人員が必要だ。搬送車操作の仕事は過酷で疲労しやすいために、安全上のリスクが強く懸念される状態だったという。IGVの採用ではさらに、作業の高効率化によりコンテナ1TEUを扱うための消費エネルギーを20%削減することもできた。
コンテナの積み込みや積み下ろしを行う大型クレーンについても同様だ。「次にどの作業をするのが最適か」を判断するので、作業効率が極めて向上したという。
ファーウェイが提供する機器には、「標準化」を強く意識している特徴がある。天津港の高度自動化にもこの考えは生かされた。機器の「標準化」により、保守点検や周辺システムとの接続の高効率化が実現した。
新たな港湾システムは5Gをフル活用しているだけに、接続不良の発生は気になるところだ。ファーウェイによると、バックアップの情報伝達ルートなども備えているので、接続不良が万一発生しても、IGVの衝突事故などは発生しないという。
天津港は中国で極めて重要な港湾の一つだ。航路の水深は22メートルに達し、最大で30万トン級の船舶が接岸可能だ。各種バースは計192カ所だ。2021年の貨物取扱実績は世界第9位の4億3500万トンで、コンテナ取扱量は世界第8位の1835万TEUだった。
しかし同年後半には、米国などで消費者向け商品販売の最盛期となる11月第4金曜日の「ブラックフライデー」やクリスマス商戦に向けては、十全に対応しているとは言えない状態になった。天津港のスマート化は、高効率化によって物流の要としての港湾の役割りを果たすという、「現実からの要求」にしっかりと応えるためのものでもある。
天津港の新たな取り組みでは、風力発電などの再生可能エネルギーの導入により、「二酸化炭素排出ゼロ」も実現した。中国は、国全体として「2030年には二酸化炭素排出をピークアウト」、「2060年には二酸化炭素排出を差し引きゼロにするカーボンニュートラル」の2点を実現させる方針だ。天津港の「二酸化炭素排出ゼロ」は、この2点を実現させるための中国内外に示すモデルケースの一つとしても、期待されている。
なお、天津港における「スマート化コンテナ埠頭」の構築については、本記事に付して紹介動画へのリンクもご用意した。是非、参考にしていただきたい。(翻訳・編集/如月隼人)
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