中国新聞社 2022年10月31日(月) 23時50分
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中国はかなり早い時期から、アフリカ諸国との友好関係確立に努めてきた。その一つのキノコの栽培技術伝授は、地味なようではあるが、比較的少ない資金で多くの農家に恩恵をもたらしている。
中国はかなり早い時期から、アフリカ諸国との友好関係確立に努めてきた。よく挙げられる例に、中国が1965年から1976年にかけて実施したタンザン鉄道の建設がある。同鉄道によりタンザニア経由の海の道を確保したザンビアは、途絶えていた銅鉱石などの輸出ルートを改めて確保して苦境を抜け出した。中国はそれ以外にも、さまざまな対アフリカ支援を続けてきた。中国国家キノコ事業技術研究センターの林冬海副主任は、これまでキノコ関連のさまざまな対外支援プロジェクトに携わってきた。以下は、中国メディアの中国新聞社の取材に応じて、キノコ関連の対アフリカ支援を語った林副主任の言葉に若干の説明内容を追加するなどで再構成したものだ。
■まずは人材育成に注力、大学院への留学生も多数受け入れ
中国とアフリカのキノコの交流と協力には30年近くの歴史がある。中国側がアフリカなど発展途上局に提供してきたのは、まずは技術訓練班、行政関係者訓練班、二国間訓練班の開設など各種のキノコ関連の技術訓練だ。1995年から現在に至るまで、我々は福建省とアフリカで、アフリカの44カ国かの6957人の訓練生を訓練した。彼らはアフリカ各国のキノコ関連技術普及の使者になった。
発展途上国にとってキノコ栽培は、貧困から脱出するための助けになる。しかしそれには産業化が重要だ。つまり経済や社会の仕組みの整備も必要だ。中国は2004年にキノコ技術の移転と産業化による貧困救済の協力協定を南アフリカおよびルワンダと締結し、実施してきた。その後もマダガスカル、タンザニア、ケニア、ナイジェリアなどの国の各レベルの政府部門および現地機関と協力している。
我々は2006年から、中国政府によるレソトキノコ技術プロジェクト、ルワンダ農業技術モデルセンタープロジェクト、中国・アフリカキノコ技術プロジェクトなどを次々に請け負ってきた。現地でモデル基地とモデルセンターを建設し、長期的に専門家を派遣して技術の現地化と普及活動を展開してきた。
また、中国は相手国の二国関係で事業を進めるだけでなく、国連のキノコプロジェクトに参画してきた。国連の関係部門と協力して、アフリカ地域会議や国別シンポジウムを開催し、アフリカ各国がキノコ産業を発展させた経験を交流し、各国がキノコ技術の実用化に役立つ政策措置を策定することを促進してきた。また、小規模農家や若者を対象とする短期的な技術指導と訓練も行っている。
さらに、レベルの高い人材を育成することも実施している。例えば2009年から、アフリカ8カ国出身でキノコを専攻する博士や修士28人の留学生を育成してきた。
■比較的少ない資金で、多くの農家に恩恵を広められる
全体的に言えば、中国の技術援助プロジェクトと技術訓練の影響力は大きい。持続時間も長く、現地での貧困脱出への効果は良好だ。
中国とアフリカの「キノコ交流キノコ協力」の特徴の一つは「小さくて美しい」ことだ。建設プロジェクトなどと比べれば、農業類プロジェクトの資金規模は小さい。また、民生に直接の恩恵をもたらす特徴もある。つまり、庶民の生活と密接であり、かつ恩恵を受ける人が多い。特に小規模農家が関連技術を身につけると、長期にわたり利益を得られる。
しかしキノコ関連の技術は農家の技能レベルの影響を受け、さらに技術をいったん与えれば終わりというものではない。ある程度の期間にわたり技術指導を続けねばならない。現地の農民を誘導するには大きな忍耐力が必要だ。最初の1-2年は進歩の速度がやや遅い。しかし農家が技術を掌握し、現地の産業チェーンが形成されれば、急速な成長を迎えることができる。キノコ関連の協力は、患者に輸血するようなものだ。危機から脱出して生命力を得られれば、自らの力でしっかりと生きていくことができる。キノコによる支援は、アフリカ諸国の貧困削減にかなり大きな効果をもたらしている。
問題点としては、現状の国際情勢が甚だしく複雑なことがある。また、一部の国では政治情勢が不安定で、社会の治安がよくない。これらは、我々の日常業務に大きな困難をもたらしている。また、このところの新型コロナウイルス感染症の流行は中国とアフリカのキノコ分野の交流にもかなり大きな影響をもたらした
また、現地の農業科学技術は基礎部分が弱い上に、中国側が提供できる専門家の人数は限られている。現地の農業普及の全体的状況に依拠して仕事を展開しなければならない。技術普及の効率は依然として現地の条件に左右される。
しかしそれでも、キノコ栽培は現地の農家、特に小規模農家が利益を得るために適した手段だ。だからアフリカの人々に歓迎されているわけだ。また、キノコを栽培することで水と土を維持し、水源を良好な状態にし、水質を浄化することができる。この点も評価されている。また、キノコは現地で不足しがちな家畜の飼料にもなるので、畜産業の振興にも役立つ。
■5つの条件を満足させねば、事業全体に支障が出る
全体的に言って、中国とアフリカのキノコ関連の交流と協力では、「技術の現地化」、「政策面の協調」、「技術の効果的な伝播」、「製品市場の開拓」、「訓練と教育」の5点の全てが必要だ。一つが欠けただけでも、事業全体がうまくいかなくなってしまう。
キノコ関連のプロジェクトは、農業の専門家とスタッフの長年にわたる不断の努力があってこそ、絶えず成果を生み出すことができる。我々はアフリカ現地の人々に、農業の持続可能な発展のための総合的な解決策を提示していると考えている。
キノコ関連など中国とアフリカの農業分野での交流と協力はすでに南アフリカ、ルワンダ、ケニア、ナイジェリア、タンザニア、レソトなどで実施されている。まだ実施されていないその他の国も相次いで強い意欲を表明している。アフリカ諸国では今後、さらに多くのキノコ関連プロジェクトが定着すると予想している。(構成 / 如月隼人)
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