Record China 2022年10月21日(金) 10時0分
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18日、環球時報は、天然ガス価格高騰を抑えるべく日本や韓国を取り込んで米国に圧力をかける欧州の思惑を実現するのは難しいとする、アモイ大学中国エネルギー政策研究院の林伯強院長による評論文章を掲載した。
2022年10月18日、中国メディア・環球時報は、天然ガス価格高騰を抑えるべく日本や韓国を取り込んで米国に圧力をかける欧州の思惑を実現するのは難しいとする、アモイ大学中国エネルギー政策研究院の林伯強(リン・ボーチアン)院長による評論文章を掲載した。
文章はまず、欧州連合(EU)が天然ガス価格の極端な変動を防ぐため、欧州の天然ガス価格基準となっているオランダのガススポット価格(TTF)に「動態的価格上限」を設ける緊急計画を打ち出したと紹介。冬が間近に迫り、ロシアとの関係悪化により天然ガス供給状況がますます厳しくなる中で欧州は米国の天然ガスが「救世主」となることを望んでいるが、米国の天然ガス輸出価格がロシアの輸出価格よりはるかに高く、ドイツやフランスは公に不満を示しているとした。
また、ドイツはEUが日本や韓国など世界の天然ガス主要輸入国と協力して米国、カナダ、ノルウェーといった主要天然ガス輸出国に価格引き下げの圧力をかけようとしていると伝える一方で、アジア諸国は過度のエネルギー輸入依存、主な輸入形式が欧州のようなパイプラインではなくLNGであること、オーストラリアやマレーシア、インドネシアなど近隣国を主要な輸入元としていること、米国が戦略の重心を東に移し続ける中で日本と韓国の役割が大きくなる一方、欧州が日韓両国を抱き込んで米国に圧力をかけるための強力な政治的土台が不足していることなどから、ドイツの目論見が実現するのは難しいとの認識を示している。
さらに、米国のエネルギー価格は市場競争によって形成されたものであるため、たとえバイデン米政権が値下げに同意したとしても市場が反応しなければ意味がないと指摘したほか、米国の天然ガス生産量は近年急速に増加しているとは言え、それでも欧州のエネルギー不足を補填(ほてん)するには不十分だとした。
このほか、EU内部の足並みもそろっていないとも指摘。ドイツ、デンマーク、オランダが天然ガス調達が一層難しくなる上、価格を抑えることでリバウンド消費が発生してますます天然ガス需要が高まる恐れもあるとして上限の設定に反対、ポーランド、ギリシャ、イタリア、ベルギーは価格上限を上回る天然ガスの一分購入を認めるプランを提案していると紹介した。また、ドイツが先日打ち出した国内エネルギー産業への2000億ユーロの助成計画についてもEU内部で意見が賛否が分かれていると伝えた。
文章は最後に、ロシア問題に端を発するエネルギー問題が一過性では終わらない状況の中で、欧州のエネルギー不足を解決するには供給側がエネルギー輸入の多元化や代替エネルギーの導入を進め、需要側も理性的な消費に努めるという需求双方の取り組みが必要かもしれないとの認識を示した上で、「総じて、欧州が目下できるのは、高水準な在庫を可能な限り保証して投機売買を撲滅すると同時に、電力価格政策を適切に調節して発電企業の積極性を高めて電力調達能力を向上させることだ」と結んでいる。(翻訳・編集/川尻)
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