華為技術（ファーウェイ）は6日午後、スマートフォン新機種のMate50（メート50）シリーズを発表した。前機種の「Mate40」発表から2年余りが経過していた。同時点までにすでに、ファーウェイがEC通販モールに開設しているショップ1軒だけで、予約数が205万件を突破していたことが注目された。

ファーウェイはかつて、おおむね1年ごとにスマートフォンの新機種を発表してきたので、Mate 50シリーズは本来ならば2021年秋に正式発表されるはずだった。発表が遅れたのは、チップなどの入手問題が影響したとみられている。

Mate 50の大きな特徴は、中国が構築した北斗衛星ナビゲーションシステムとのアクセスを、世界で初めて可能にしたことだ。砂漠などの無人地帯や海洋において、さらに地震発生時の救援要請など、地上波を利用できない状況で、位置情報などを発信して外部と連絡を保つことが可能になった。

ただしファーウェイは、Mate 50やMate 50 Proなどに搭載されている北斗衛星ナビゲーションの利用機能は、送信機能のみをサポートしており、受信機能はサポートしていないと説明した。また、初めて使用する前に、地上波ネットワークが利用できる環境で、アプリを利用して使用可能な状態にしておく必要があるという。なお、同機能は中国大陸部に限定された機能だ。

北斗衛星を利用するには、新たなチップを使用する必要があるが、中国ではすでに必要なチップが開発されており、発表された事例もある。

Mate 50は8月23日には発売が予告されていた。ファーウェイがEC通販モールの京東に開設しているショップで同時に予約キャンペーンを始めたところ、9月5日午前までに予約件数が205万件を突破したことで、前評判のよさが注目されていた。

ただし、400ドル（約5万7600円）以上のスマートフォンのシェアについて、ファーウェイの2020年のシェアは13％だったが、2021年にはシェア3位を維持したものの数字としては6％にまで低下した。米国などの圧力で部品調達に問題が生じたことで、ファーウェイ製品は5G機能に制約があるためとみられている。

ファーウェイは6日、技術提供をしている自動車ブランドAITOの初の電動SUVの「問界M5 EV」や新型ノートパソコン「ファーウェイMateBook Ego」、ハイパーターミナル対応デスクトップ「ファーウェイMateStation」、新型スマートウォッチ「ファーウェイWATCH GT 3 Pro」、自社開発OSのハーモニー（鴻蒙）を搭載した「鴻蒙ホームストレージ」、「ファーウェイスマートドアロックSE猫眼版」、新型オーディオ「Sound Joy」など一連の新製品を同時に発表した。

ファーウェイは株式上場をせず、一種の社員持ち株制を採用している。株式を公開した場合、株価動向や株主の意向を配慮せねばならないので、長期的視野にたった経営が困難になると説明されている。そのため、ファーウェイが重要な発表をした前後には、ファーウェイと提携関係にある企業の株価動向が注目される。中国では6日の発表に前後して、関連銘柄を紹介する記事も発表された。（翻訳・編集/如月隼人）