人民網日本語版 2022年6月17日(金) 14時20分
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龍周才加さんは、そのまん丸の童顔に明るい笑みを弾けさせて笑う。そんな風に笑う楽観的な彼ですら、「山の無人地帯に初めてパトロールに行った時は、涙がこぼれた」という。
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龍周才加さんは、そのまん丸の童顔に明るい笑みを弾けさせて笑う。そんな風に笑う楽観的な彼ですら、「山の無人地帯に初めてパトロールに行った時は、涙がこぼれた」という。初めてフフシル(可可西里)に来た時のことを話しながら、龍周才加さんは恥ずかしそうに笑った。
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龍周才加さんは青海省玉樹チベット族自治州の牧畜民の家に生まれ、小さい頃から草原で日々鍛えられ、心身ともにたくましく育った。2006年にフフシルの管理保護スタッフに応募して採用され、この地にやって来た。
初めて広大な無人地帯に足を踏み入れた時、龍周才加さんはこの土地の厳しさを思い知った。4万5000平方キロメートルの広大な原野には、舗装された道路はまったくなかった。夏になると果てしない沼地が広がり、パトロールのルートはひどくぬかるみ、少しでも気を緩めると、車が泥にはまって身動きがとれなくなってしまう。平均標高が4600メートルを超える無人地帯では、救助を行うたびに体力を極めて消耗する。夜になると、テントの外にヒグマが出没することもあり、龍周才加さんと隊員らは懐中電灯を振り回しながら、鍋や碗などの炊事道具をヒグマが逃げるまで叩き続ける。
冬のフフシルでのパトロールは、気温が摂氏零下40度以下まで下がる。無人地帯の酸素含有量は海水面の4割しかない。夜になると、テントの中は氷室のような寒さになり、雪で濡れたズボンが凍りつき、脱いで地面に放り投げるとそのまま「立つ」ほどだ。フフシルの過酷な環境に身を置いてみると、その厳しさは想像をはるかに超えていた。
しかし、龍周才加さんがそうしたつらさに涙を流すことはなかった。涙を流したのはこんな時だ。「昼間は仲間と山をパトロールし、夜になって目を閉じると、あとは長い夜が待っているだけ」。テントを出て、果てしなく広がる暗闇を見つめていると、突然こらえきれずに涙があふれた。「あの時はすごく家が恋しかった」と龍周才加さんは振り返る。
そんな龍周才加さんが満足に感じているのは、「フフシルに来たら、それは野生動物の楽園に来たということ」ということだ。チルーやチベットノロバ、チベットガゼル、野生のヤクが至る所に見られ、「そうした希少な高原の動物たちが元気に駆け回っているのを見ると、どんなに苦しくてつらくてもそれだけの価値はある」と龍周才加さんは語る。
龍周才加さんはフフシルで16年働き続けており、毎年延べ10回以上パトロールに参加している。龍周才加さんたちの存在は、密猟者らにとって最大の脅威となっている。2006年から現在に至るまで、フフシルの無人地帯で密猟者の銃声が聞かれることはなくなり、チルーの数は7万頭以上まで回復した。
毎年5月から8月にかけて、多くのチルーが出産のため卓乃湖畔に移動し、集まってくる。ここには保護ステーションが建設され、無人地帯で唯一の人が利用する建物となっており、この期間には龍周才加さんと同僚たちもここに駐在する。車で湖畔をパトロールし、出産を控えた雌のチルーの群れを見かけるたびに、群れの数や出現場所、行動の軌跡などを作業日誌に記録していく。
2019年、龍周才加さんは「中国青年五四奨章」を授与された。若きフフシルの守り人の優秀な代表として、龍周才加さんは索南達傑保護ステーションの副所長を務めるようになり、隊を率いて山をパトロールしながら、索南達傑保護ステーションの日常管理業務に当たっている。
現在では、索南達傑保護ステーションの北側にフフシル保護歴史沿革・自然資源展覧館が建設され、青蔵(チベット)公路上を通行する人々や観光客が見学できるようになった。旅行シーズンには、龍周才加さんもしばしば「解説員」となる。フフシルをすっかり知り尽くした龍周才加さんが話すエピソードは、どれも彼自身が実際に経験したことだ。
チルーが移動する季節になると、群れがしばしば青蔵公路を横切る。そんな時、龍周才加さんと隊員らは「交通警察」にもなり、群れが安全に通行できるようにする。「道路上にいる人々も自分から進んで車を止めて道を譲る。人と自然の共存という理念が浸透している」と龍周才加さんは言う。
索南達傑保護ステーションには野生動物救助センターも設置されており、群れからはぐれたり病気になったりした野生動物を専門に救助し、後で野生に返している。そして、出産の季節になると、龍周才加さんと保護スタッフは救助したチルーの赤ちゃんの「父親代わり」となり、チルーたちがすくすくと成長するよう世話をする。
フフシルでの生活で龍周才加さんの意志は鍛えられ、よりしっかりと、落ち着きをもって人生に向き合うことができるようになった。そして龍周才加さんのようにこの地に根差して力を捧げる若者がいるからこそ、フフシルの生態保護事業は絶えず素晴らしい成果をあげることができるのだ。(提供/人民網日本語版・編集/AK)
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