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<中国は今!>「首都経済圏構想」が本格始動、改革・開放路線導入以来の「第2の経済繁栄」の実現も

Record China    2014年6月15日(日) 16時22分

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先日、北京に行ったついでに、隣接する天津市まで足を延ばした。距離にして115kmだが、一時的に時速300kmを超える中国版新幹線「和諧号」で約30分ほどだ。

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先日、北京に行ったついでに、隣接する天津市まで足を延ばした。距離にして115kmだが、一時的に時速300kmを超える中国版新幹線「和諧号」で約30分ほどだ。同行してくれた知人は「和諧号ができたおかげで、これまで北京から離れたことがないような高齢者でも、気軽に天津に遊びに行くことができるようになった」と自慢げだった。

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和諧号はほぼ10分から15分に1本ずつ運行しているので、北京−天津間は通勤可能だ。このため、市内中心部では大きな風船のような形をしたデパートのほか、オフィスビルや高層マンションの建設ラッシュで、そこかしこで工事が行われていた。

天津は清朝末期に日米英独仏露など9カ国の租界地が存在しており、いまもそれぞれの国々の特徴ある重厚な建築物が残されて、ちょっとしたしゃれた町並みを形成しており、「若者に人気がある町だ」と知人が語っていた。

物価も安く、海に面しているせいか、風向きによっては、微少粒子状物質(PM2.5)など大気汚染もそれほどひどくならない。北京で1平方メートル5万元(約85万円)するマンションも、天津では同2万元程度で買えるので、北京から引っ越す人が増えているという。

市中心部から約70km、電車で30分ほどのところに、経済開発区である「濱海新区」があるが、ここのマンションは同8000元(約13万1000円)で、しかも天津市の戸籍がとれるというので、「転職して、中国各地から濱海新区に転居する人が引きも切らない」ほどの人気だそうだ。

しかし、市内からかなり離れた新区が人々の注目を集めたのは、つい最近のこと。そのきっかけは、習近平国家主席が2月下旬に重要会議を招集して、「首都経済圏」構想を打ち出したことだった。首都経済圏は首都・北京はもちろんだが、隣接する直轄市の天津、さらに河北省全体を包括する一大経済圏を創設するという巨大プロジェクトでもある。総人口は約1億人、面積も21万平方キロメートルで日本の半分以上と広大だ。

3月に開催された全国人民代表大会(全人代=国会に相当)では北京など3都市のトップが会見して、中国経済全体をけん引するほどの経済圏形成に強い意欲をみせた。

実際、うまくいけば、低迷している環渤海経済圏や東北部の工業地帯をも巻き込み、習氏が提唱する「中国の夢(チャイナドリーム)」ならぬ、1980年代の改革・開放路線導入以来の「第2の経済繁栄」の実現も夢ではないかもしれない。

◆筆者プロフィール:相馬勝

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。

著書に「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)など多数。

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