上海のコロナ流行、死亡率のあまりの低さに「中国の特色ある統計」の声

Record China    2022年4月24日(日) 7時20分

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上海市では過去1カ月に新型コロナウイルス感染者が40万人以上発生しているのに、死者は累計36人と異様に少ない。「中国の特色ある統計」との声もあるという。写真は同市内での感染検査の様子。

ドイツ国営系メディアのドイチェ・ベレは22日付記事で、上海市では過去1カ月に新型コロナウイルス感染者が40万人以上発生しているのに、死者は累計36人と異様に少ないと指摘した。専門家からは「中国の特色ある統計」を適用しているとの声が出ているという。

上海市当局は22日、同市では21日に新型コロナウイルスの新規感染者1万7629人が確認されたと発表した(別の地方から上海に到着した時点で感染者と判断された人を除く)。うち1万5698人は無症状とという。一方で死者は21日の死者数は11人とした。上海市で3月下旬に新型コロナウイルス感染が拡大して以来、1日当たりの死者数としては最多だった。

公式発表によると、死亡した11人の平均年齢は84.2歳で、最高齢は94歳の患者2人だった。11人はいずれも基礎疾患を持っていたという。公式発表では、直接の死因はいずれも基礎疾患だったと説明された。中国メディアは、死亡した11人について、ワクチンを接種していたのは1人だけだったと報じた。

上海市で、いわゆる「都市封鎖」が始まったのは3月28日だった。同日から4月21日までに確認された感染者は累計43万5957人で、うち36人が死亡したと発表された。上海市の場合、世界の他の地域と比べて、死亡する感染者の比率が極めて少ない特徴がある。例えばシンガポールでは過去28日間に約13万7000人が感染し、547人が死亡した。感染者中の死者の割合は上海市の場合には0.008%でシンガポールでは0.399%だ。上海市における死亡率はシンガポールの約50分の1ということになる。

上海市ではまた、3月28日に「都市封鎖」が始まるなど感染拡大が深刻な状態であるにもかかわらず、長期に渡って死者数の発表がなかった。ただし4月18日からは死亡病例が毎日発表されている。

疫学の専門家である香港大学のベン・コーリング教授は、中国の公式発表は上海市における死者数を正しく反映していない可能性があるとの見方を示した。

米国メディアのAP通信は4月21日付で、上海市当局による感染者の死因の特定で不可解な事例があると報じた。同市内に住む99歳女性が、3月末に感染検査で陽性反応が出たために集中隔離施設に送られたが、4月1日に死亡した。親族はAP通信の取材に対して、死因について医師からは、新型コロナウイルス感染症による心臓疾患と高血圧の悪化だと告げられた。しかし女性は、「新型コロナウイルスに感染して死亡した人の数」には含まれなかったという。また、女性が死亡する前日夜にわざわざ医師から電話がかってきて、「お婆さんは検査で陰性になりました」と告げられたと話す親族もいた。同親族は、医師からの電話に「不思議だ」との印象を受けたという。

ほとんどの国や地域では、が新型コロナウイルスに感染した後に以前からあった基礎疾患が悪化して死亡した場合、「基礎疾患の悪化を促したのは新型コロナウイルスに感染したため」と見なして、「新型コロナウイルス感染による死者」として数えられる。しかし中国の統計は死者数について「対象が狭く、不透明で、(世界)標準とは一致しない」との見方がある。

ウイルス学を専門とする香港大学嘉誠医学院の金冬雁教授は、新型コロナウイルス感染者の死亡事例について、「もし死亡が潜在的な病気に起因するものなら彼ら(中国)は常にそのように報告して、新型コロナウイルスと関連した死亡とは見なさない。これは、彼らが長年に渡りやってきた方式だ」と説明したという。

ただし金教授を含む複数の専門家は、中国における死者数の統計は、新型コロナウイルス感染症が発生して以来、中国当局が一貫して適用してきた方式なので、上海市における死者数を故意に少なく報告していると証明するものではない」と見なしているという。

一方でAP通信は、上海市当局は感染者が増加してから、撮影で肺炎が確認された人だけを「症状あり」と判定していると指摘。中国は以前の、検査で陽性反応が出てくしゃみやせき、頭痛など新型コロナウイルス感染症の症状があれば「症状あり」と判定していた方式を変更したという。AP通信はまた、上海市の感染症対策専門家メンバーである呉凡氏が1月に「疲労やのどの痛みといった最も軽微な症状でも、発症事例として『厳格』に分類される」と述べていたのとは、大きな落差があると主張した。(翻訳・編集/如月隼人

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