日本の経済安全保障推進法案には「脱中国化」の狙い―中国専門家

Record China    2022年4月23日(土) 22時20分

拡大

中国紙・環球時報は22日、「日本の『経済安全保障推進法案』には濃い火薬の匂い」とする論評記事を掲載した。

中国紙・環球時報は22日、「日本の『経済安全保障推進法案』には濃い火薬の匂い」とする論評記事を掲載した。著者は黒龍江省社会科学院東北アジア研究所所長の笪志剛(ダー・ジーガン)氏。

7日、半導体や医薬品など国民生活に欠かせない重要な製品「特定重要物質」の安定的な供給を確保するため、国に企業の調達先を調査する権限を与えることなどを盛り込んだ「経済安全保障推進法案」が衆議院を通過し、13日には参議院で審議入りした。これについて笪氏は、「正式に法律となることに疑いの余地はない」とし、その3つの理由を挙げた。

一つ目は、「法案が珍しく与野党の一致した承認を得たから」とし、「これによって、経済安全保障及びそれに対応する政策はすでに超党派の政界全般の戦略に組み込まれ、将来は日本の国家と地政的安全との相互作用がより緊密になることがわかる」と述べた。

二つ目は、「法案の四つの柱が敏感で特殊な領域であるから」とし、法案が柱としている4分野「サプライチェーン(供給網)の強じん化」「基幹インフラの安全性・信頼性の確保」「官民技術協力」「特許非公開化による機微な発明の流出防止」を紹介した。

三つ目に、特許非公開化の対象として核兵器や武器開発に用いる技術が想定されていることを挙げ、「関連する特許情報を公開しないことで、日本が核兵器及び武器技術開発でプライバシー権を獲得し研究開発と製造を監督されないという利点になる」と指摘した。

また法案について、「日本の経済安全強化の内向きの動きと、経済安全保障協力の拡大による波及効果に対する国際社会の懸念を引き起こした」とし、「法案の起草から今までの前後の兆候から、日本が意図的に追求している3つの主な方向性も浮かび上がってきた」とした。

まず、「中国を抑えようとする法案の根底にある色が消えていない」とし、「法案は中国を抑える指針を直接強調しているようには見えないが、産業競争力、重要物資サプライチェーン、先端技術開発などの記述から、多かれ少なかれ矛先は中国に向き、きな臭さがあることがわかる」と指摘。昨年、経済産業省が「外国為替及び外国貿易法」の関連規定を改正したことや、日本メディアの中国の技術に関する報道などで「『中国の脅威』が誇張された」とし、「(これらの要素から)法案のいくつかの重点は中国に向いており、それを隠しもしていないことがわかる。この法案によって日本の対中経済・貿易にマイナスな盲動を引き起こすと予測される」と主張した。

次に、「日米韓協力に経済安全保障の原動力を注入すること」とし、「法案は、コロナ禍で米国が脱中国の産業チェーンクラブを構築するという扇動に基づくもの。韓国が保守派の政権になることで、これを利用して日米韓の協力に同法案の関連要素を注入しようという日本の考えが表面化した」と指摘。「日米の経済安全保障をアップグレードさせ、韓国にも経済安全保障法案を出すよう促し、日米韓の軍事安全と相互に補完する経済安全保障の新しい三角関係を形成し、日本が総合的な抑止力を高めるための主要な方向性となる」とした。

さらに、「安全保障協議委員会(2+2)を通して、経済の2+2を作ること」だとし、「日本は日米及び日米韓経済安全保障協力だけで満足せず、より広い二国間経済2+2体制を導入することで、法案の波及効果の多国間化と放射の広域化を推進したいと考えている」と分析。「最近の日比2+2では中国けん制という動機を全く隠すことはなかった」とも指摘した。

笪氏は最後に、「法案を出したのは日本の内政として理解できる部分もあるが、法案に含まれる要素と実行した後の影響から見ると、この法案によって日中の多元的な競争の中で先手を勝ち取り、同時に日米豪印が連携したインド太平洋地域の協力を浸透させ、グローバルな産業チェーンと地域のサプライチェーンの構造の中で『脱中国化』を加速させようとしていることがわかる」と指摘し、「日本政府が(この法案の)具体的な政令を施行する時には、他人に損をさせ自分にも利益をもたらさないゼロサム思考を捨て、自業自得となることに思い至り、長期的に見たウィンウィンの道を考慮してほしい」と忠告した。(翻訳・編集/刀禰)

※記事中の中国をはじめとする海外メディアの報道部分、およびネットユーザーの投稿部分は、各現地メディアあるいは投稿者個人の見解であり、RecordChinaの立場を代表するものではありません。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携