身近にウクライナ=的中した懸念「一番センシティブな国」

アジアの窓    2022年3月9日(水) 6時50分

拡大

真面目な研究会を20年ぐらいやっています。男性霞ヶ関のお役人数人と女性陣新聞記者と何社かの広報担当みたいなメンバーです。

真面目な研究会を20年ぐらいやっています。男性霞ヶ関のお役人数人と女性陣新聞記者と何社かの広報担当みたいなメンバーです。私をふくめ、多くのかたは OB、OG になっておりますが、会費制で経済問題・政治問題・国際関係論・ジェンダーと討論項目はいろいろ。なぜか男性は私一人が新聞記者OB 。いまはコロナでこの2年ほどお休みですが。

さてあるとき、お役人の一人がウクライナ大使としてキエフに赴任することになりました。プーチン大統領が大統領だったり首相だったりの頃。私は壮行会のお祝いの辞として、やはりにできる人は一番センシティブな ところの担当になるわけですな。決して火ダネとか火薬庫とかの表現を使ったわけではありませんが、ソ連が崩壊して、独立国ロシアと独立国ウクライナ の関係が平穏無事に過ごせるとはとても思えない、ロシアは何か企むに決まっている という懸念がセンシティブという表現を使ったもの、と振り返れば思われます。2014年のロシアによるクリミア半島併合前ですよ。

さて、ほどなく、参加メンバーの20代女性、結婚することになりまして、との報告。お相手の方はなんとウクライナの男性で、モスクワ大学卒業後、 日本のある私立大学大学院に進学、専攻科目は確か聞いたけども忘れちゃったけどね。その大学院で 知り合ったんだそうです。やはり何というんですかね、あのあたりでは最高学府はモスクワ大学ということになるんですかね。

結婚式は日本で執り行われることに なったのですが、お役人側の提案で、駐ウクライナ日本大使より、当日会場に祝電を打ってもらう。しかもそれはウクライナ語ウクライナ表記で、新郎にそれを読み上げてもらい、その場で日本語に訳して発表してもらう。会場は駐ウクライナ日本大使より祝電、しかもウクライナ語で、と盛り上がるだろうという企画でした。お役人サイドは早速キエフ在住の大使に注文を出したのですが、かえってきた返事。ウクライナ文字は日本向けには、電信上対応していない と言われてしまいました。したがって日本語で祝電(つまりカタカナか)を送ります。ロシア語はキリル文字ですよね。ウクライナ語はそれがさらに複雑になっているようです。

ウクライナの新郎は結婚後、勉学を続けていたのか日本で何か仕事についていたのか聞き漏らしましたが、そのうち女性のお腹には赤ちゃんが、やがて出産育児。それと共に女性も夜の研究会の方には参加しなくなってきたのですが、しばらくして来たメール。 家族揃ってウクライナに行くことになりました。 私、息をのみましたね。これからの人生は長い。その間にウクライナに何か起きる心配はないのか?ウクライナのご主人に日本で仕事を見つけてもらい、一家揃って日本で暮らした方がよいのではないか、なんて頭をよぎりましたが、若い二人が決断したことにあれこれ水を差すのはと思いグッとおさめました。

これも2014年の前だったと思います。以後、全く音信不通なのですが、今回、本当に心配です。研究会メンバーだったウクライナ大使は、2014年前には帰任し、研究会に参加しています。キエフの大使館で、研究会メンバー同士が婚式の祝電ありがとうございましたと挨拶を交わしたかどうか、はっきりしません。入れ違いだった可能性もないわけではありません。

楽天の三木谷浩史さんには遠くおよぶものではありませんが、 駐日ウクライナ大使館 支援口座に貧者の一灯を振り込みました。

■著者プロフィール:高谷尚志「アジアの窓」編集委員

1946年中国・大連生まれ。早稲田大理工学部工業経営学科卒。毎日新聞入社、静岡支局、経済部記者、「週刊エコノミスト」編集長などを歴任。2004年千葉科学大学危機管理学部危機管理システム学科教授。2015年4月よりフリー。

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携