北京冬季五輪で金メダルの谷愛凌、「中国ではビッグスター、米国では裏切り者扱い」と米誌

Record China    2022年2月19日(土) 12時30分

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北京冬季五輪の女子フリースタイルスキーで金メダルに輝いた谷愛凌選手。米国生まれで中国代表として出場した18歳について米誌は「中国ではビッグスターだが、米国では裏切り者扱い」と報じた。

北京冬季五輪のフリースタイルスキーの新種目、女子ビッグエアで金メダルに輝いた谷愛凌(アイリーン・グー)選手の国籍問題やアイデンティティーを米誌が取り上げた。米国の生まれの18歳が中国代表として出場したためで、「中国ではビッグスターだが、米国では裏切り者扱い」と報じた。

谷選手は米サンフランシスコ出身。米誌ニューズウィークが紹介したフォーリンポリシー・マガジンの記事によると、母親は中国政府高官の娘で、大学院進学のため渡米した。米国の複数の投資銀行勤務を経て、ベンチャーキャピタリストとしてカリフォルニアと中国を行き来した。

谷選手の父親は明らかにされておらず、母親はシングルマザーだったが、谷選手は中国と米国の両方で富の力を享受しながら育った。米国で学費が飛び切り高い私立学校に通い、毎年夏は北京で数学オリンピックを目指す講義を受け、今秋からは名門のスタンフォード大学で学ぶ。

サンフランシスコと上海、あるいはニューヨークと北京を行き来する特権は、かつてはごく限られた人々のものだった。その多くは重慶市のトップだった薄煕来氏(スキャンダルで失脚)の息子や習近平国家主席の娘(いずれもハーバード大学で学んだ)ら共産党幹部の子弟だった。

2019年、新疆ウイグル自治区の人権問題が注目され、香港で大規模な民主化デモが繰り広げられる中、幼い頃から米国代表だった谷選手は中国代表として活動すると表明した。中国のパスポートを取得するために米国籍を放棄したかどうかに関する質問は避けている。中国では二重国籍が認められていないことから、記事は「中国の法律上は放棄しているはずだ」と伝えた。

国籍問題で詳しい説明をしない背景としては「米国のパスポートを放棄したとなれば、米国で批判を受ける。中国当局が特例として米国パスポートの保持を認めたとなれば、中国国民の反感を買う」との見方を示した。

一方で記事は「米国などで市民権を取得した個人は多くの場合、中国政府に報告せずに中国のパスポートも持ち続ける」と指摘。「こうした慣行は特に著名人に多いが、ここ数年の外国人排斥の風潮で俳優や歌手、スポーツ選手らが外国籍を捨てるよう中国社会から圧力を受けている」と述べた。

谷選手をめぐる一連の報道には最近の米中関係の悪化が大きな影を落としている。記事は「米国のメディアで向けられる厳しい言葉は、米国と中国の両方で暮らす人々に対する認識の変化を物語っている」と言及。「14年前の北京夏季五輪に同じような選手がいたら、どうだっただろう。08年の谷愛凌は米中両国の親密さを象徴する存在になっていたかもしれない」と同情した。(編集/日向)

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