中国新聞社 2022年2月14日(月) 22時50分
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かつては「内陸部にあるので経済発展には不利」と言われていた新疆ウイグル自治区は「一帯一路」構想の追い風を受け、今や「経済発展の中枢の地」と見なされるようになった。写真は新疆で撮影された放牧の様子。
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かつては「内陸部にあるので経済発展には不利」と言われていた新疆が、「一帯一路」構想の追い風を受け、今や「経済発展の中枢の地」と見なされるようになった。中国現代国際関係研究院の研究員などを務める許濤氏はこのたび中国メディアの中国新聞社の取材に応じて、新疆は単に物流の経由地として重要なのではなく、独自の文化による強みを持っているなどと説明した。以下は許氏の言葉に若干の説明内容を追加するなどで再構成したものだ。
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■新疆は多種多様な文化が集まり、衝突して融合した地だった
新疆には不思議な面がある。世界のどの国の人でも新疆に来れば畏敬の念に打たれ、魅力の虜(とりこ)になってしまうのだ。私はその理由は文化の多元性にあると考えている。
新疆はユーラシア大陸の後背地に位置し、歴史を通じてさまざまな民族が活動する舞台だった。彼らはこの地で生き、子どもを産み育て、独自の文化を育んだ。新疆から河西回廊沿いに進めば、東アジアの農業文明の中心地である中原や、遊牧諸民族の発祥地であるモンゴル高原に出られる。西はパミール高原を越えてアムダリアやシルダリア渓谷に、南はワハーン回廊を経由、あるいは崑崙山脈を越えることで南アジアのインド亜大陸に到達できる。
中原の農耕文明、草原の遊牧文明、オアシスの農牧文明が新疆に集結し、衝突し、溶け合った。その結果、豊かで多彩な独特の新疆文化が形成された。そして新疆は中国歴代王朝にとって、国家の統一と安全保障のための重要な土地になった。
■コロナ流行下でも新疆を通過する国際貨物列車は大幅増
しかし、いわゆる大航海時代になると、新疆は「沈黙」状態になった。世界の主要物流ルートから外れてしまったからだ。状況を一変させたきっかけは、中国の習近平国家主席が2013年9月に「シルクロード経済ベルト」の構築を呼びかけたことだった。それ以来、中国と欧州を結ぶ貨物列車は「中欧班列(中国欧州定期便列車)」と呼ばれ、極めて重視されるようになった。2014年から19年までの5年間に新疆で通関して西に向かった「中欧班列」は2500本を越えた。
2020年初頭からは新型コロナウイルス感染症の影響で、世界の貿易取引も停滞した。しかし「中欧班列」の本数は増えた。2020年通年で、新疆から西に向かった「中欧班列」は9679本に達した。2021年には、新疆のアラタウ(阿拉山口)とコルガスで通関して中国を出国した「中欧班列」はさらに増加して1万2210本に達した。
2021年8月に開催された中央アジア政府首脳会議では、出席した首脳がほぼ例外なく、独立以来直面してきた地政学上の制約を打破するために、ユーラシアを結ぶ交通ハブを建設するプランを示した。ウズベキスタンのミルジヨエフ大統領とキルギスのジャパロフ大統領はいずれも、中国-ウズベキスタン-キルギスを結ぶ自動車道路と鉄道の建設を強調した。
■ポストコロナの「観光爆発」に備えて、各国関係者が連携して準備
ポストコロナ時代に向け、観光分野で新疆と中央アジア諸国の協力は巨大な潜在量を有している。中国旅遊研究員(文化及び観光データセンター)によると、2021年の中国国内旅行者数は前年比42%増の延べ41億人、国内観光収入は同48%増の3兆3000億元(約60兆円)だった。新疆は自然の面でも文化の面でも強みを持っており、変わることなく旅行ファンの人気の目的地だ。「中国国家地理」誌が選んだ中国で最も美しい道路30本では、うち6本が新疆の道路だった。
現在は感染症のために国境を越えた観光旅行は不可能だが、観光業関係者は手をこまねいて「夜明け」を待っているのではない。解禁された際に到来するはずの爆発的な旅行ブームを織り込んで準備をしている。中国国内だけではなく、周辺諸国とも連携しての業務範囲の拡大や新たな協力モデル、新たな運営方式の開発に取り組んでいる。これは新疆経済と文化発展の新たな方向性の一つであり「シルクロード経済ベルト」建設の重要な分野でもある。
中国共産党新疆ウイグル自治区党委員会の馬興瑞書記は2021年12月27日、ウルムチ市内を視察した際に「『一帯一路』に積極的に貢献し融合しすること。シルクロード経済ベルト中核地域として建設を推進すること。新疆の実情と結びつけ、地域の事情に応じて産業配置を最適化すること」などと、必要とする措置を語った。今日、中国が現代世界に提供している「一帯一路」という公共の財産の建設において、新疆の潜在能力と活力は絶えず励起されている。(構成 / 如月隼人)
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