〈新疆の世界遺産1〉タクラマカン沙漠一周鉄路2700kmの旅

小島康誉    2022年2月5日(土) 15時30分

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新疆ウイグル自治区の国道315号線沿いの和田~若羌が6月運行開始(予定)されるとタクラマカン沙漠一周鉄路が完成する(イラストは「新疆网」より)

拙コラム閲覧に感謝します。レコチャとの不思議な縁により新疆ウイグル自治区に関して2回にわたり連載させていただいた。「シルクロード経済帯」の要衝である新疆での漢・ウイグル・カザフ族など多民族諸氏との国際協力を紹介した「一帯一路実践談」、新疆の歴史・首脳・民族・産業・都市・発展・日本との縁などを紹介した「私が見た新疆ウイグル自治区」である。お陰様で好評を博し、同社主筆・八牧浩行氏との対談はYouTubeで流れ、同社より『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』も出版された。感謝しきれない。

各種コメントをいただいた。お褒めの言葉の一方で厳しいお叱りも頂戴した。上記『21世紀は共生・国際協力の世紀…』にも記したが、国際協力は国家だけでなく個人や企業などにも必要な「共生」「共育」「循環」活動。国による国際協力は頭に浮かんでも、市民レベルの国際協力は日常生活からはかけ離れており、殆どの方にとって想像しがたい分野である。

筆者の国際協力の舞台は中国新疆、偶然出会った多民族の温かい人情と豊かな文化遺産に魅せられたから。国内にいて相手国の悪口を言うのは容易だが、それでは何も解決しない。双方が違いを認め合い、具体的活動を通して、相手国の自国への理解促進を図る努力こそ重要ではと思う。国際協力は平和を維持し、戦争を抑止する重要活動と信じている。21世紀こそ自然・環境と「調和」し、民族・性別・宗教・障害・思想などをこえた「共生」、国家をこえた「国際協力」、流行りの言葉でいえば「SDGs」実践の世紀でありたい。

「日本友人小島康誉氏新疆訪問20周年記念大会」、浅黄色法衣姿の筆者の左が阿不来提主席、その左が杉本公使(撮影:楊新才氏)

2001年6月、新疆政府の阿不来提・阿不都熱西提主席の提案により「日本友人小島康誉氏新疆訪問20周年記念大会」がウルムチの人民劇場で阿不来提主席や杉本信行日本国公使、呉敦夫中共新疆委員会宣伝部長、日本と北京の代表団、地元関係者ら約800人が参加し華やかに開催された。杉本公使は「計10年余中国で仕事しているが、こんなに対日感情が良いのは新疆だけだ。当地で日中間の戦争がなかったのと小島氏の活動のおかげだ」と挨拶された。過分なお褒めだが、筆者の相互理解促進活動を的確に表現された。

さて、「私が見た新疆ウイグル自治区」の最終回で日中関係改善へテレビ番組を提案。TVの影響力の大きさは「シルクロード」が大人気を呼び新疆・西安・北京などへ観光客が急増したのが一例。提案では「タクラマカン沙漠一周鉄路2700kmの旅」と書いた。なお2700kmは概数。友人の中国人から「大阪総領事館が新疆ツアー希望者を募ったら1000人を超え、内容は今後検討するらしいが、先生はどんなテレビ番組を考えているの?」と問われた。

そこで、素人なりにシナリオを考えた。新疆の旅をネット上でお楽しみ下さい。

◆機中から天山山脈。「あれが天山山脈の東の主峰ボゴダ峰5445m。まもなく区都ウルムチ(地図の烏魯木斉)です」と旅人。中国・新疆概念図。◆ウルムチ空港。乗客やターミナルなど。出迎え陣と車でウルムチ中心地へ。途中のビル群。近代都市ぶり。◆歓迎宴、漢・ウイグル・カザフ族の踊りなど華やかな雰囲気。ホテルへ戻る途中の夜景。民族色豊かな夜店。◆ウルムチ。紅山からの全景。博物館で新疆の歴史。地下鉄で大学へ、多民族共学授業。国際大バザール、開発区、展覧センターなど活気あふれる様子。

◆ウルムチ空港からコルラ空港へ。あえて鉄道をさける。越える天山を映す、旅人「昔の天山越えは大変だったでしょうね」。◆コルラ(庫尓勒)。近郊の石油基地。民家訪問、モンゴル族踊り。◆コルラ駅。旅人「いよいよ沙漠一周鉄路2700kmの旅」。一周概念図。◆車中風景、検札や物品販売、乗客との会話など。◆クチャ(庫車・阿克蘇の東)下車。車で世界遺産キジル千仏洞へ。旅人「玄奘三蔵さんはあの旧道を通ったのでしょうか」。日本人のキジル千仏洞修復保存協力を紹介。ドローン撮影。◆再び鉄路。車窓風景。◆アクス(阿克蘇)着。小学校で漢・ウイグル子供たちと遊ぶ。カフェなど。◆鉄路。乗客と会話など。

◆カシュ(喀什)着。友人ら出迎え。キルギス族結婚式見学。職業訓練センター、民族街、旧英・露領事館、イスラム寺院など。カラクリ湖へ、旅人「軽い高山病です」。◆ホータン(和田)着。白玉河で玉探し。旅人「見つけた!」、「これはただの石です」とガイド。ウイグル族働く絨毯工場や綿花畑。◆ミンフゥン(民丰)途中下車。小型沙漠車でニヤ遺跡へ、広大な沙漠をドローン撮影で実感。旅人「五星」錦発見状況紹介。西域36国にふれ新疆の古今比較。沙漠公路途中まで。長距離トラック運転手と羊串焼き。3本の沙漠公路概念図。◆再び鉄路。車内・車窓風景。ルオチェン(若羌)着。車で楼蘭仏塔へ。途中干上がったロプノールで旅人貝殻拾い、「良い土産が出来た」と。◆鉄路。コルラ帰着。◆旅を回想。

新疆の昔と今、多様な民族色、文化遺産、人々の生活ぶり、日本との縁などを通じて話題の新疆ウイグル自治区の実態を紹介。どこかのテレビ局さん取り上げていただけませんか?高視聴率必至!

新疆の6世界文化遺産の所在地(小島ほか編『新疆世界文化遺産図鑑』より)

上記にも登場するキジル千仏洞など新疆の世界遺産を10回にわたって毎週土曜日に紹介させていただく。今回はそのプロローグ。コロナ禍が明けたら是非とも新疆を訪問ください。筆者自身も2年余り訪問していない。今年こそ訪問し、多民族諸氏と新疆大学奨学金・文化文物優秀賞・シルクロード児童育英金など国際協力を実施し、日中相互理解を微力促進したい。嗚呼、首脳や幹部はもとより多民族の子供たち青年たち友人たちに会いたい!

■筆者プロフィール:小島康誉


浄土宗僧侶・佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表・新疆ウイグル自治区政府文化顧問。1982年から新疆を150回以上訪問し、多民族諸氏と各種国際協力を実施中の日中理解実践家。
ブログ「国献男子ほんわか日記」
<新疆は良いところ>小島康誉 挨拶―<新疆是个好地方>
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小島康誉氏コラム

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