Record China 2014年5月30日(金) 5時49分
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28日、五百旗頭真・元防衛大学校長は講演し、「中国と21世紀を共に歩むことができるよう共同の利益を追求することが重要だ。日本のトップは大きな政治的な器量を示すべきだ」と強調した。
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2014年5月28日、五百旗頭真・元防衛大学校長(現熊本県立大学理事長)は日本記者クラブで講演し、日本、中国、米国の外交関係について講演した。国力が低下し、中国を重視する米国は南シナ海や東シナ海での紛争に軍事的介入しないと分析。日本の取るべき方策として防衛力の強化や国際的な連携などを列挙した上で、「21世紀を共に歩むことができるよう中国とは共同の利益を追求することが重要だ。日本のトップ(安倍首相)は大きな政治的な器量を示すべきだ」と強調した。講演の要旨は次の通り。
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中国は国家資本主義を掲げて急速に拡大、経済的にも軍事的にも日本を抜いて強大な国になった。胡錦濤前国家主席は国際協調的だったが、石原慎太郎都知事が尖閣諸島を買い上げる構想を発表、野田政権が国有化に踏み切ったことで、親日家の主席は国内で窮地に陥り、烈火のごとく怒り、反日デモにつながった。
10年前には、東南アジア諸国は中国に「草木もなびく」ような雰囲気だったが、南シナ海などでの行動などを受けて、ベトナム、フィリピンをはじめ警戒心が強くなっている。米国がどう関与するかが問題である。
米国の外交政策は(1)経済的な相互依存を基礎とし、「オープンドアポリシー(開放政策)」により世界の平和と繁栄を確保する、(2)人権と民主主義を基本とする、(3)地政学的な行動―の3点を基本としてきた。地政学的行動とは、排他主義的な支配を強めるような振る舞いをした国に対し厳しく対応することで、かつての朝鮮戦争、ソ連のキューバへのミサイル搬送、イラクのクウェート侵攻などが事例である。
しかし、超大国となった中国に対して米国は事を構える準備はしない。中国は経済的な「機会」として重視せざるを得ないからだ。さらに米国の相対的な力と地位は低下しており、(秩序を)打ち破った国を叩くという伝統的行動を続けられるか疑問である。オバマ大統領は平和を愛好し、軍事行動は嫌いな人だ。南シナ海や東シナ海で起きても、こう着状態になった時に、外交的な非軍事的手段で抑制することはあるだろうが、軍事的に取り戻してくれるようなことはしない。米国にとって、中国に対しウクライナ問題でのロシアに課したような経済制裁を実施することも敷居が高い。オバマ大統領の平和主義的な外交政策を米国内のタカ派が批判しており、次期大統領選で共和党にはチャンスだが、同党は壊滅的な状態にあるのが実情だ。
こうした中で、日本がなすべきことは、まず自助努力すること。防衛能力を高め、日本の能力をあなどれないと思わせることが必要だ。日米同盟の強化も重要であり、集団的自衛権も米軍の戦争にかかわるのはよくないが、一部に限定して容認するべきだ。国際連携や国際世論に訴えることにより反省を促すことも重要だ。
中国は50年〜100年の長期戦略を持っている。重要なのは中国と一緒に共同の利益を追求すること。21世紀を共に歩むことができるよう、トップ(安倍首相)は一方的な譲歩を避けつつ、大きな政治的な器量を示す必要がある。(取材・編集/HY)
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