米国が進める対中輸出制限は「自らの首絞める行為」、米中両国で指摘相次ぐ

Record China    2022年2月17日(木) 9時20分

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米バイデン政権による「対中締め付け政策」に対して、中国からだけでなく米国国内からも「矛盾だらけ」とする批判の声が出ている。

バイデン政権は、トランプ前政権の「対中締め付け」を踏襲している。議会による法整備の動きも進んでおり、より「体系的」に中国に対決する考えであるようにも見える。だが、米国国内からも現状の政策方針を「矛盾だらけ」とする、批判の声が出ている。

■中国企業を排除する場合もしない場合も、「大丈夫なのか?」の声上がる

ニューヨーク・タイムズは11日付で、米国の対中政策には一貫性がないと批判する記事を発表した。例えばバイデン政権は、中国企業が運営するTikTokを、米国人の個人情報を収集する目的で使われる懸念があるとして、排除を望む姿勢を見せている。しかし米国で人気の高いゲームの「リーグ・オブ・レジェンド」を運営するライアット・ゲーム社は、中国企業であるテンセントの子会社だ。また、米国人の若者層が愛用するオンラインショップのシェインは中国企業が運営している。

米国政府はファーウェイなど中国製スマートフォンの輸入を事実上禁止したが、米国企業は能力が強大な中国製サーバーを購入している。そもそも、米国人が使うスマートフォンのほとんどが、中国の工場で生産されたものだ。

ニューヨーク・タイムズ記事はこれらの「矛盾」を指摘し、排除される中国企業がある一方で、多くの米国人が利用する中国企業に関係するソフトやハードが存在することについて「それでも問題がないということなのか」と疑問を示した。

■中国企業を締め上げる法整備は「米国自身の首絞める」の指摘

米国議会下院はこのほど、中国ハイテク企業の影響を抑制し、自国の関連産業を強化するための「米国競争法2022」を可決した。同法の早期成立を望むバイデン大統領は、同法案の下院通過を高く評価した。

米国の「中国締め付け」の根本には、中国を単なる経済上のライバルとは見なさず、中国は価値観の異なる国であり、中国経済、特にハイテク分野での台頭は「米国の安全にとっての脅威」と見なす特徴がある。

中国の政府系シンクタンクの中国社会科学院米国研究所の李恒陽副研究員は1月に発表した文章で、米国と米国に追随する姿勢を示している日本について、中国企業を排除することで、日米の企業は本来得られるはずだった利益を得る機会を喪失と指摘。そのために研究開発に投じることができる資金も減少するので日米企業の技術革新能力は弱まり、「長期的には日米企業の競争力に深刻な打撃を与えることになるだろう」と予測した。

11日付ニューヨーク・タイムズ記事は、過去半世紀における世界で最も重要な技術、すなわちIT関連技術はいずれも米国に由来し、そのことにより、グーグルやフェースブック、アマゾンなどが出現したと指摘した上で、「米国が将来にわたっても科学技術の独占しつづけることは不可能」と主張した。

そして、中国企業が今後さらに重要な役割りを演じる可能性がある分野の例として、動画配信サイトなどのネットエンターテインメント、電動自動車、太陽光などの循環可能型エネルギー、コンピューター用チップを挙げた。

また、米国側が中国の技術と無縁であれば、米国人は重要なイノベーションを見逃す恐れがあり、さらには中国からのハッカー攻撃を防御しにくくなるなどで、米国の安全が脅かされるなどとも論じた。

■米国国内からも「中国をやみくもに心配するのは妄想」の声

ハーバード大学のグレアム・アリソン教授は「あらゆる中国製品に警鐘を鳴らすのは危険だ。私はそれを『妄想』と言いたい」として、中国に関連するあらゆる技術を重大な危機と見なすこと自体が、米国の安全保障と実力に対する脅威と主張した。

ニューヨーク・タイムズの記事は、米国の安全問題などを担当する記者からも、中国の技術に対する米国政府の方針は一貫性に欠けるとの指摘が出ていると紹介。中国企業に対する制裁は散発的に発表されており、バイデン政権は自らの行動のよりどころとすべき理念をきちんと発表していないという。

記事は、米国人と米国政府は、どの様な場合に中国の技術に対する壁を作り、どのような場合に競争を許すかを明確にすべきと指摘。さらに、米国はよりよい前進の方式を採用する必要があり、米国自身の技術開発に力を入れると同時に、中国由来の技術についてやみくもに心配すべきではないと主張した。(構成 如月隼人

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