日中関係が影響、「東京物語」が中国の優秀映画ランキングから消える

Record China    2022年1月12日(水) 18時0分

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中国のソーシャルメディア、豆瓣がこのほど、映画トップ250年度データ報告を発表した。写真は「東京物語」のポスター。

中国のソーシャルメディア、豆瓣(douban)がこのほど、映画トップ250年度データ報告を発表した。同メディアは日本人にはあまり知られていないが、中国の若者に極めて大きな影響力を持っている。開設は2005年で、12年の1日平均のページビュー(PV)は1億6000万PV、13年のユーザー数は2億人に達した。調査によると、ユーザー全体の60%が女性で、20~35歳が約70%を占めている。また、高等教育を受けたユーザーは半数以上に上る。

豆瓣の中心的機能は書籍セクション、音楽セクション、映画セクションに分かれ、ユーザーは書籍や音楽、映画についてコメントや採点をすることができる。影響力が巨大であるため、評価の高低は書籍の販売や映画の興行収入に直結する。通常、映画の点数ランキングの上位250位に入るのは世界各国の最も代表的な作品だ。10点満点で、上位250作品の平均得点は8.9点となっている。

以前、伏原健之監督のドキュメンタリー映画「人生フルーツ」は9.5点、小津安二郎監督の「東京物語」も9.2点と、両者とも長期にわたって「トップ250」内にあり続けたが、21年度は残念ながらいずれもランク外となった。

豆瓣の映画評論家によると、2作品がランキングに入らなかった原因は日中関係の悪化と直接関係している。近年、両国関係が悪化し、「『人生フルーツ』の主人公・津端修一氏は若い頃、日本軍の戦艦の技術工で、『東京物語』の小津安二郎監督は中国を侵略した日本軍だった」との指摘が寄せられたという。これが多くのネットユーザーを動かし、2作品には「1点」という低い点数が付けられた。そして21年8月22日、これら名作は瞬く間にランキングから消えた。

これに巻き込まれて順位を大きく下げた日本映画には「リトル・フォレスト冬・春」(108位から121位へと13位後退)や「風の谷のナウシカ」(148位から163位へと15位後退)、「火垂るの墓」(176位から191位へと15位後退)があり、映画評論家は「映画を見ていない一部の観客が過激な言論に誘導されて極端な評価を軽率にしたことがランキングに大きな変化をもたらしたことは、率直に言って道理に合っていない。優れた映画はわれわれ人類共通の財産であり、このような低評価運動で傷付けてはならない」との考えを示す。

ただ、もちろん例外もあり、ランキングに入った日本映画も存在する。その中の一つが宮崎駿監督の「崖の上のポニョ」で、新型コロナウイルスの流行期間に中国の映画館で上映されたことがプラスの影響をもたらした。この他、巨匠の故・今敏監督の代表作「千年女優」も中国での上映で新たな活気を放つこととなり、この作品のランクインはいずれも9.0点の「パーフェクトブルー」(1997年)、「東京ゴッドファーザーズ」(2003年)、「パプリカ」(2006年)と8.8点の「千年女優」(2001年)という同監督の長編4作品が豆瓣映画トップ250に入ったことを意味し、ユーザーの作品に対する愛情の深まりもうかがえる。

現在、豆瓣の映画ランキングで最も評価が高い10作品は、「ショーシャンクの空に」(9.7点)、「さらば、わが愛/覇王別姫」(9.6点)、「フォレスト・ガンプ/一期一会」(9.5点)、「タイタニック」(9.4点)、「レオン」(9.4点)、「ライフ・イズ・ビューティフル」(9.6点)、「千と千尋の神隠し」(9.4点)、「シンドラーのリスト」(9.5点)、「インセプション」(9.3点)、「HACHI 約束の犬」(9.4点)となっている。(RR)

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