Record China 2014年5月24日(土) 23時10分
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日本では夫婦を10年以上もやっていると、ごく普通に使われる「亭主元気で留守がいい」。なぜかこの言葉を中国の女性は理解できない。「どういう意味?」、「日本人って冷たいのね」と予想外の反応が返ってくる。資料写真。
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とうとう夫が福井県に単身赴任することになった。私の周辺の40代の日本人主婦の反応は全員が「自由でいいわね!うらやましいわ!」だった。4月に北京に行ったときに同年代の中国人の友達2人に夫の単身赴任の報告をすると、「寂しいわね。大丈夫?」という反応が返ってきた。今までにも何度か夫の単身赴任の話題を中国でしたことがある。すると、友達だろうと、そうでなかろうと中国の女性はみんな「一人で寂しいわね」と言うのだ。日本では、ごく普通の「亭主元気で留守がいい」をわかってくれる中国の女性に私は今まで会ったことがない。
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関西人の私としては、「いい年をして、いつまでも夫と仲がいいのは外から見ると、恥ずかしい。だから亭主元気で留守がいいぐらいの距離感がちょうどいい」。しかし、言葉とは逆で実は仲がいい夫婦もいる。だから「亭主元気で留守がいい」の言葉をまともに受け取ってはいけない。もちろん何年も夫婦をやってきて、夫がうっとうしい人もいる。京大の中国人留学生も中国人の友達も中国で世間話しをしただけの女性も誰ひとりとして「亭主元気で留守がいい」をわかってくれない。「どうして?」とか「どういう意味?」と、まともに聞き返してくる。「結婚して10年以上もたつと、夫とずっと一緒にいると、うっとうしいでしょ。だから病気もせずに元気に働いてくれ、家にいる時間が短いのがちょうどいいっていう意味よ」とかみ砕いて説明する。それでも中国の女性はみんな納得できないという顔をしている。「中国人の夫婦って、そんなにいつまでも仲がいいの?」と、逆に私は中国人の夫婦がわからなくなった。とは言っても、性格も生活も趣味も全く合わない自分の両親を見て、「昔の中国人はお見合いしたら結婚するものだったから、こんなもんだ」と思っている娘さんを何人か知っている。中国人だって、いつまでも付き合っている時みたいな関係の夫婦ばかりじゃないのだ。それなのに、なぜか「亭主元気で留守がいい」をわかってくれない。あげくの果てに中国の女性は「亭主元気で留守がいいなんて、日本人って、やっぱり冷たいのね」と言いだす始末。中国の女性って、きっと関西人の私よりロマンチックな性格なんだ。
この話を中国語教室に勤める日本人の友人にした。彼女は「うちの教室で働いている中国人の先生たちはみんな、亭主元気で留守がいいって言いますよ」と言う。その教室で働いている先生たちは関西在住歴がかなり長い。中国人も日本に長く住んでいると日本化する。中国人の先生たちの夫婦に対する考え方は関西化したに違いない。
■筆者プロフィール:浜井幸子(はまい・さちこ)
1966年神戸市生まれ。19才の時、初めての海外旅行で行った中国の魅力にはまり、90年代の中国をバックパック旅行する。その後、中国やアジアの食を中心に書くライターとして活動中。著書に「中国おもしろ商人スクラップ」、「中国まんぷくスクラップ」など。
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