「ブロマンス作品は大衆を誤った方向へ導く」と中国紙、ネット世論は紛糾

anomado    2021年8月26日(木) 13時20分

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中国共産党中央委員会の直属で「教育の専門紙」とされる光明日報が26日、「ブロマンス作品が大衆の美意識を誤った方向へ導くことを警戒せよ」との記事を掲載した。写真は「山河令」。

中国共産党中央委員会の直属で「教育の専門紙」とされる光明日報が26日、「ブロマンス作品が大衆の美意識を誤った方向へ導くことを警戒せよ」との記事を掲載した。

ブロマンスとは“Brother”と“Romance”を掛け合わせた造語で、男性同士の近しい関係を表す。中国では近年、「陳情令」や「山河令」といった作品が爆発的なヒットを記録している。

光明日報の記事はまず、「今年に入ってからブロマンス作品は飛ぶ鳥を落とす勢いだったが、現在は創作熱が下がり、資本が引いて行っている」と指摘した。そして、「ブロマンス作品はネット文学の商業化の発展により巨大なファン層を獲得し、影響力をますます強めてきた」と説明、「典型的な女性による創作で、女性の視聴者を対象とし、女性を消費の主力とする大衆文化である。ファン経済の後押しもあり、ブロマンス文学からブロマンスドラマまでの産業チェーンが形成され、巨大な経済効果ももたらされた。これは誰にとっても良い、調和のとれた状況のようにみえる」とした。

しかし、「本当にそうだろうか」と疑問を提起。記事は、「ブロマンスはもともと一部のファンの間だけのサブカルチャーであったが、作品がヒットするにつれて制作側は利益を追求するようになった。投資を増やして作品をアップグレードするだけでなく、マーケティングを目的として主役の『男性同士のカップル』を大いに宣伝し、SNSのトレンドも占めるようになった。ブロマンスドラマの商業化によってネットの環境や秩序を乱している」と批判。「その発展を放置すれば、必然的に主流文化と主流価値に衝撃を与え、大衆の美意識を誤った道へと導くことになる」と指摘した。

そして、「主要な視聴者層である15~23歳の女性がブロマンス作品に接するルートはアニメ、映画、バラエティー番組などである」とし、「一部のブロマンス作品は注目を集めるために男性の思わせぶりな様子を描くなど、低俗な傾向を示している。人生観や価値観の重要な形成期にある青少年を混乱させ、迷走させるに違いない」と断じた。

また、「作品の爆発的なヒットにより突如として名声を手にした俳優が、心を落ち着けて演技を磨きたがらなくなる」とも指摘。靖国神社や乃木神社で撮影した写真をSNSに掲載し批判を浴びたチャン・ジャーハン張哲瀚)を暗に指して、「今年に入ってからはスターに関するネガティブなニュースが頻発しており、道徳・法律の一線を突破したものもある。これらは、スター本人の芸能事業を台無しにするだけでなく、映画業界にも損害を与えている」と主張した。

記事は、「業界の主幹部門は引き続き指導を強化し、ブロマンスがテーマの作品の早期警戒メカニズムを構築し、業界の価値、創作の方向性を良好にするようにしなければならない」「主要な創作・放送機関は文化的自覚と責任感を高め、資本に巻き込まれず、社会的利益を優先し、主流の美的価値観を発揚しなければならない」などと指摘。演者についても「公徳を守り、地に足をつけて演技を磨き、より多くの健全で芸術に優れたテーマの作品(に出演すること)で人民や民族に貢献しなければならない」と論じている。

この光明日報の記事は中国のネット上で物議を醸しており、「ブロマンスは放送するな。禁止すべき」「どっちにしろ私は見ない」「ブロマンスドラマは動画サイトから撤去すべきだ」「青少年の価値観形成に深刻な影響を与える。演じている役者の品格も大したことはない」などと支持する声がある一方、「なぜブロマンスがやり玉に?」「じゃあ定義してくれよ。正しい美意識とは何か」「男が若くて白くて細い女性が好きという歪んだ美意識はなぜ批判されないの?」「トラブルを起こす役者の問題であってブロマンス作品の問題ではない」「あれもダメ、これもダメ。何もかも禁止したら、エンタメ業界は視聴者に娯楽を提供できるのか?」などの反論も寄せられ、世論は二分されている。(翻訳・編集/北田

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