内藤 康行 2021年9月2日(木) 23時0分
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中国では毎年35億トン以上の建築ごみが発生しており、さらに中国の建築ごみ残存量は200億トンを超えているという。写真は上海の建築現場。
建設廃棄物管理・資源化作業委員会の常務副主任の陳嘉瓏教授の試算によると、「中国では毎年35億トン以上の建築ごみが発生しており、さらに中国の建築ごみ残存量は200億トンを超えている。過去50年間で、中国は少なくとも300億トンの粘土レンガを生産しており、将来的には建築ごみになってしまう。開発に伴うこれらの「副産物」にどう対処するかは、資源化への道が重要だ。しかし残念ながら、中国の建築ごみの資源化利用率は5%未満で、日本やドイツその他の国々の資源利用率は90%を超えており、非常に困った状況にある」と指摘している。
注意しなければいけないのは、中国の建築物の耐用年数だ。経済発展に伴う都市開発急増が、建築業界は20〜30年程度の耐用建築を爆発的に進めた結果として、大量の建築ごみを発生させた背景がある。
近年、中国の建築ごみの年間総排出量は15億5000万トンから24億トンある。建築ごみは都市ごみの約4割を占めており、深刻な生態危機を引き起こしている。長期にわたり、統一された建築ごみ管理方法の欠如と、科学的効果かつ経済的に実現可能な処分技術の欠如により、建築ごみのほとんどは、いかなる処理もされず市郊外に輸送され埋め立てられている。建築ごみの残存量は200億トン以上に達している。2017年に中国で発生した建築ごみは約23億7900万トンだったが、うち1万1900トンしか資源化利用されていない。2021年末には建築ごみは28億トンに達する。深刻な大地震災害が発生した場合、ごみの発生量はさらに多くなる。2008年の四川大地震では3億トンのごみが発生している。
建築ごみの主な発生源は、老朽建築物の解体、新規建築、建物改修工事である。2017年の中国の建築ごみの構成と分布を見ると、老朽建築物の解体によって発生した建築ごみは建築ごみ全体の58%を占め、新規建築によって発生した建築ごみは36%を占めており、老朽建築物の解体と新規建築が建築ごみコントロール管理のカギであることがわかる。
中国の老朽建築物の解体面積と新規建築面積から見ると、中国の建築ごみ処理産業の市場規模も拡大している。2017年の市場規模は800億元(約1兆3600億円)を超えており、建築ごみが現在の成長率を維持した場合、2021年末には、建築ごみ処理産業の市場規模は1200億元(約2兆円)の大台を超える可能性がある。
■筆者プロフィール:内藤 康行
1950年生まれ。横浜在住。中学生時代、図書館で「西遊記」を読後、中国に興味を持ち、台湾で中国語を学ぶ。以来40年近く中国との関わりを持ち現在に至る。中国の環境全般と環境(水、大気、土壌)に関わるビジネスを専門とするコンサルタント、中国環境事情リサーチャーとして情報を発信している。著書に「中国水ビジネス市場における水ビジネスメジャーの現状」(用水と廃水2016・9)、「中国水ビジネス産業の現状と今後の方向性」(用水と廃水2016・3)、「中国の農村汚染の現状と対策」(CWR定期レポ)など。
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