2021年8月15日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、香港の民主派団体「香港民間人権陣線」が解散を宣言したことについて、中国メディアが「自業自得だ」と評していると報じた。

記事は、香港民間陣線が15日に「この1年余り、政府が新型コロナを理由にわれわれを含む団体のデモ申請を拒否し、各団体に圧力を加えるなど、公民社会は未曾有の大きな試練に立たされている。われわれは従来の方式を継続して難曲を乗り越えることを望んだが、陳皓桓（フィーゴ・チャン）代表が囚われの身となり、事務局の運営ができなくなり解散を宣言せざるを得なくなった」として解散を発表したと伝えた。

そして、中国メディアも同団体の解散に注目しており、国営の新華社は同団体について「2002年に勝手に設立を宣告して以来、不法組織であり続け、徹頭徹尾『反中乱港』のプラットフォームであった」と伝え、澎湃新聞も「『民陣』の消滅は完全に自業自得」と評するとともに、「『反中乱港』分子には、いかなる僥倖（ぎょうこう）心を持たないよう忠告する。法に反したものは、解散によって言い逃れできるなどと思い込まないことだ」としたことを紹介している。

また、香港の警察機関・警務処の処長が同団体について「過去に国家安全法に反した疑いのある行為について検挙するための証拠を集めている」と香港紙・大公報に明かしたことを紹介。同団体は19年の反政府抗議活動で重要な役割を発揮し、1万人を超える規模のデモをたびたび実施したと伝え、「この1年で国家安全法に抵触する可能性がある集会を再三実施していた」という同処長の話を伝えた。

一方で、国家安全法の遡及（そきゅう）適用について中国当局が以前、国際的な刑事法の通常規定と同様、かつての事案については遡及しないという方針を示していたことを紹介している。

なお、警察当局は今年4月より同団体に対する捜査を開始しており、代表の陳氏は5月に不法集結罪で禁錮18カ月が言い渡されている。（翻訳・編集/川尻）