8月末に迫る米軍のアフガン撤退、タリバンは支配地域拡大、警戒感強める中露

Record China    2021年7月16日(金) 15時20分

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米軍のアフガニスタン撤退が8月末に迫る中、反政府武装勢力「タリバン」は支配地域を拡大。海外メディアは中国やロシアが警戒感を強めていると報じた。写真はアフガンのマザーリシャリーフ。

米国バイデン大統領が公約したアフガニスタンからの米軍完全撤退が8月末に迫った。これに呼応するようにイスラム系の反政府武装勢力「タリバン」は支配地域を拡大。中国・新疆ウイグル自治区との境界線にも達した。米ブルームバーグ通信は中国やロシアが警戒感を強めていると報じた。

英BBCなどによると、タリバンは米軍撤退をにらんで5月初めから各地で政府軍への本格的な攻撃を開始。タリバンは北部ヘラート州で大攻勢を展開し、イランに近いイスラム・カラ、トルクメニスタンと国境を接するトルグンディの街をそれぞれ制圧したと明らかにした。アフガン当局もこれを認めている。

イスラム・カラ検問所は、アフガニスタンとイランを結ぶ最大級の交易の要所で、月額約2000万ドル(約22億円)の収入を政府にもたらしていた。トルグンディはアフガンとトルクメニスタンを結ぶ2大交易拠点の一つだ。

さらにタリバンはアフガン北東部のバダフシャーン州を一気に制圧した。同州は山岳地帯にある中国・新疆ウイグル自治区との境界線だ。過激派組織アルカイダの影響下にあった新疆のウイグル系武装グループとタリバンの歴史的関係を考えると、タリバンが国境地帯に進出した事実を中国政府は少なからず憂慮している。

駐留米軍は今月2日、アフガンの首都カブール北郊にあるバグラム空軍基地から、米軍や北大西洋条約機構(NATO)加盟各国軍の駐留部隊の撤収が終わったと発表した。アフガンのアガニ大統領は政府軍だけでタリバンの動きを十分抑え込めると強調しているが、政府軍兵1000人以上がタリバンと衝突後、隣国タジキスタンへ逃れる事態も起きている。

ブルームバーグ通信などによると、中国の王毅外相は3日、「アフガン情勢は重大な局面にある」との認識を示し、「責任を転嫁するやり方は許されない」と撤退を進める米国を非難。外交部の汪文斌報道官は9日、米軍撤退を「性急」だとした上、「米国は軍撤退を急いでアフガンの人々を混乱に陥れたが、これは民主主義と人権を守るという口実の裏にある偽善を一段と露呈するものだ」と批判した。

王外相は12~16日の日程で中央アジアのトルクメニスタン、タジキスタン、ウズベキスタンを歴訪。中国の軍事専門紙は「アフガン情勢の変化に従い、中央アジア地域の安全と同地域での中国の利益をどう守るかがカギとなる」と指摘した。ロシアのプーチン大統領はタリバンに対し、旧ソ連の一部だった中央アジア諸国の国境を尊重するよう強く求めている。

上海外国語大学中東研究所の范鴻達教授は「アフガンでの混乱は他国に波及し、地域の動揺につながる恐れがある」と言及。「中国は米国の役割を引き継ぎたいとは思っていないが、自国の国益があるために地域の平和と安定の促進は望んでいる」と語った。(編集/日向)

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