中国勢の惨敗は「予想通り」、戦略なき中国サッカー「死のサイクル」―中国人記者

Record China    2021年7月10日(土) 15時20分

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中国のスポーツメディア・新浪体育は9日、「サッカーのACLでの中国の惨敗は早くから決まっていたことであり、中国サッカーの戦略的失敗である」とするサッカー記者の馬徳興氏のコラム記事を掲載した。

中国のスポーツメディア・新浪体育は9日、「サッカーのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)での中国の惨敗は早くから決まっていたことであり、中国サッカーの戦略的失敗である」とするサッカー記者の馬徳興(マー・ダーシン)氏のコラム記事を掲載した。

馬氏はまず、8日に行われたグループリーグ第5節の試合で北京国安がユナイテッド・シティ(フィリピン)に2-3で逆転負けを喫したことに言及。中国から出場した3チームは11試合を戦い、勝ち点はわずか1点、3得点32失点であるとし、「中国チームのACLにおける史上最悪の成績と言っても過言ではない」と指摘した。

そして、「新型コロナウイルスとワールドカップ(W杯)予選の関係で、今年のACLに出場する中国のクラブが控えやユースチームが中心となることは、昨シーズンの末にはすでにニュースで流れていた。中国リーグはスケジュール面でACLを優先することはできないからだ。中国サッカー協会は判断を各クラブにゆだねるとしたが、各クラブは迷わずに控えやユース選手で臨むことを選択した。そして、この時点で中国勢は今年のACLで惨敗するということが運命づけられていた」とした。

馬氏は、「惨敗したことを批判したり、文句を言ったりしても始まらないが、現実を直視する必要がある。これは、ACLに出場した3つのクラブの失敗というだけでなく、中国スーパーリーグの惨敗、中国サッカー全体の惨敗なのだ」と指摘。「かつて広州がACLを制した時には中国リーグの栄誉だと語っていたのに、惨敗するとそれはクラブだけの責任でリーグや協会とは関係ないというのはいかがなものか」と疑問を呈した。

その上で、「一部のメディアやファンからは『若い選手の経験の場になった』などという声が聞かれるが、うんざりだ」とし、「中国サッカーが今日のような道をたどってきたのは、これまで私たちが失敗を直視してこなかったからではないのか」と指摘。今年のACL惨敗は「中国サッカーの『戦略の大惨敗』であり、これまで短期的な利益を追求してきた近視眼的な戦法のツケが現れたものだ」との見方を示した。

そして、「広州や北京国安が若手選手を起用していることが言い訳として強調されるが、川崎フロンターレやセレッソ大阪、大邱FCなどに目を向ければ、中国クラブとの対戦の時は多くが控え選手や若手選手などを起用し、ローテーションで臨んでいた。この(自国クラブは若手を起用しているのだという)報道はミスリードであり、端的に言えば現実を直視したくないということだろう」と批判した。

続いて、「ACLが創設されて以来、長い間ACLへの出場は中国クラブにとって『名誉』や『責任』ではなく『重荷』だった。多くのクラブは国内リーグやカップ戦で結果を出したことに満足し、他国のクラブとの対戦ではそこそこの戦いしか見せられず、サポーターやメディアに恥をかかせていた。その後、金満時代には状況が変わり、クラブもACLを重視するようになった。これは喜ばしいことだったが、国内の給与制限の動きが出てきたことでその根深い『内弁慶』ぶりが再発。今年のACLに派遣したメンバーがそれを最もよく物語っている」とした。

馬氏は、「今年の状況が特殊であること、クラブが大局に従わざるを得ないことは理解するが、それは言い訳にはならない。海外のクラブと戦う時は、常にクラブだけでなく自国リーグや自国のサッカーを背負っていることを認識しなければならない」と指摘した。

また、「同時期に開催中のユーロ(欧州選手権)では選手たちのユニホームに『リスペクト』の文字が入っていることに気付くだろう。これは、相手へのリスペクト、審判へのリスペクト、ファンへのリスペクトのほか、試合へのリスペクトも含まれるべきだ。ACLはアジアサッカー連盟(AFC)が主催する最高レベルのクラブ大会であり、中国クラブがユースや控え選手を派遣すること自体がこの大会への最低限のリスペクトを欠いていることになるのではないか」とし、「ACLに出場できるのは国内でもトップクラブだけだ。アジアのトップの大会をリスペクトしないのだから、他の大会、小学生のチームも含めてそうならない(リスペクトが欠ける)のも無理はない」と論じた。

馬氏は最後に、「どのような角度から見ても、今年のACLは『惨敗』と言える。『若い選手のトレーニングの場になった』などというむなしいうそで自分を欺いてはいけない」とし、「中国サッカーは近年、いつも目先のわずかな利益に飛びつき、戦略などなかったのだから惨敗も避けられないことだ。しかもまだ『死のサイクル』の中にあるのだ」と論じた。(翻訳・編集/北田

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