anomado 2021年7月1日(木) 18時20分
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中国で配信から2年が経過した現在も絶大な人気を博し、日本でも地上波での初放送が決まったドラマ「陳情令」。人気の高さやファン経済、ブロマンス作品の今後について中国メディアが伝えた。
中国で配信から2年が経過した現在も絶大な人気を博し、日本でも地上波での初放送が決まったドラマ「陳情令」。中国メディアの36Krは6月30日付の記事で、その人気の高さやファン経済、ブロマンス作品の今後について伝えた。
■低評価が逆転、「陳情令」人気は信じがたいほど
記事はまず、「陳情令」が配信から2年が経過した現在もファンを魅了し続けていることは「想像もしなかったこと」だと指摘。再生回数は95億回を超え、微博(ウェイボー)公式アカウントのフォロワー数は476万人、「話題指数ランキング」でも1位であることを紹介した。また、中国の映画・ドラマ情報サイトの豆瓣(Douban)では史上唯一、評価者が100万人を超えたドラマだとし、「これが放送から2年が過ぎた『古いドラマ』であるとは信じがたい」と評した。
一方で、当初は評価が低かったとも言及。「配信開始当時はツッコミが殺到した」とし、「脚本を変えたことで立ち上がりから苦い経験をしてきた。原作と大きく食い違うと感じた人も少なくなく、豆瓣の評価は4.8点(10点満点)と低かった」と説明。しかしその後、原作に沿ったストーリー展開で原作勢にも受け入れられたこと、当初は論争があったシャオ・ジャン(肖戦)とワン・イーボー(王一博)の演技についても同業者から認める声が出たことなどから評価を盛り返し、豆瓣の評価は一時8.2点にまで上昇。「いまだに論争はあるものの、『陳情令』人気は不動のものとなった」とした。
また、中国の官製メディア・人民日報が「伝統文化だけでなく中華民族の魂をも表現している」と称賛したこと、海外でも人気を博し、タイのツイッターでトレンド1位を獲得したほか世界トレンドの上位にもランクインし、ドラマデータベースサイトMyDramaListでアジアドラマ1位になったことを挙げ、「あの夏に『陳情令』は伝説的なドラマになったが、予想外だったのは、2年後にその影響力が衰えずに続いていることだ」と評した。
■「陳情令」が生み出したマーケティング神話
記事は続いて、同作のファン経済に言及。「長く愛されているという点では、ファン自身の愛情だけでなく、ドラマの制作側やプラットフォームの後押しもある」とし、「『陳情令』が近年最も商業的価値を備えたドラマであることは間違いない」とした。
その上で、「他のドラマとは対照的に、『陳情令』は当初から全方位的なイメージ構築、マーケティングによる囲い込み、吸金(スターや有名人などによってお金を手に入れる)の道を進んでおり、制作側が欲していた(ファンの)熱は放送時期を過ぎても続くものだった」と指摘。2019年6月27日に配信をスタートし、7月21日にオフィシャルグッズを発売、8月4日にミュージックアルバムを発売し、8月14日が最終回、10月31日にスマホゲーム発表、11月1日、2日には南京でコンサート開催といった一連のイベントを列記し、「一部ファンからツッコミはあったものの、『陳情令』が業界のマーケティング神話を生み出したことは否定できない」とした。
また、「喜んでお金を落とすファンも多い」とし、登場人物の魏無羨、藍忘機の公式グッズはわずか3日で100万元(約1700万円)を、オリジナルサウンドトラックは1500万元(約2億5000万円)を売り上げたこと、独占配信した騰訊(テンセント)視頻は有料で事前に最終回を見ることができるサービスで数千万元を得たことなどを挙げ、「『陳情令』の収入は視聴者を相手にしたものだけで数千万元から数億元に達する」と説明した。
このほか、配信開始1周年にはロングインタビューが公開されたほか、オフラインでも「陳情令」をテーマとした展示会やレストランがオープン予定であることも伝えた。
■相次ぐ「ブロマンス作品」の登場、でも「陳情令」はレアケース?
記事は、それまでマイナーだった“耽改劇”いわゆる「ブロマンス作品」が、18年の「鎮魂」で初めてレギュラードラマのレベルに達し、19年の「陳情令」で大きくブレークすることになったという経緯を紹介。「陳情令」に続こうと「山河令」や「皓衣行」といったブロマンス作品が続々と制作されている一方、現在は当局の政策の変化(※国家広播電視総局の発展研究センターがブロマンス作品の熱の高まりを問題視した意見書を発表)で配信も難しい状況になっているとした。
そして、「相次ぐブロマンス作品の登場はファンの女子たちにとっては盛大な宴(うたげ)であるものの、業界全体にとっては必ずしもそうではない」と指摘。「『陳情令』は特殊な個別の例にすぎず、人気を出そうと躍起になってファンから巻き上げるようなことをすれば視聴者の『美的疲労』を招き、ブロマンス作品市場を『狂気の内巻き』(内部競争)に陥れることになる」と論じた。(翻訳・編集/北田)
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