中国で人気の凱旋門を比較してみた

関上武司    2021年2月20日(土) 17時40分

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パリの凱旋門といえば、フランスで最も有名な建造物の一つであることは言うまでもないだろう。

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パリの凱旋門といえば、フランスで最も有名な建造物の一つであることは言うまでもないだろう。それゆえに他の国の観光施設でも再現されることが多いようで、日本では栃木県の東武ワールドスクウェアや兵庫県の太陽公園でも見られる。中国には海外の有名建造物を集めた観光施設が想像以上に多く存在し、この辺は日本のバブル期に雨後のタケノコのように外国のテーマパークが開園したのと似ているのかもしれない。当然ながら、こういった観光施設では凱旋門は人気のモチーフになっているが、中には学校の校門やニュータウンにも再現されている例がある。中国の凱旋門の完成度は、迫力のあるものから簡素化されたものまでさまざまだ。

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まずは1993年に開園したアジア最大のミニチュアパークの北京世界公園の凱旋門から紹介したい。あえて通行人と一緒に撮影してスケール感を分かるようにしたのだが、高さ50メートルの本物と比べると、それほど大きくないので、いささか迫力が足りない。しかし、アーチの天井にも彫刻が施され、細部にもこだわりが感じられる。次は1994年に開園した深セン世界之窓の凱旋門で、夜間のライトアップも美しく、筆者の観点では中国国内でも屈指の完成度を誇っている。ちなみに後ろのエッフェル塔は高さ100メートル以上あり、江沢民胡錦濤といった中国の指導者も同園について絶賛するのも納得できる。江蘇省無錫市にある蠡湖(れいこ)中央公園は当初、撮影用のオープンセットとして建設されたが、現在は公園なので、無料で入園できる。同園の凱旋門も彫刻のクオリティも高いと評価したいが、訪問時に筆者は血迷っていたのだろうか、まともな写真が少ないのが非常に悔やまれるので、いずれ再訪する予定だ。浙江省の杭州ハローキティ楽園(サンリオ公認だが、実際は杭州市ではなくて湖州市で運営)のカート場のコンセプトも世界の観光地巡りであり、ピラミッドや自由の女神と一緒にスケールが小さいピンク色の凱旋門が再現されている。児童向けの微笑ましい雰囲気が好印象だ。浙江省杭州市と言えば、パリを模倣した広廈天都城も有名だが、100メートル以上はありそうなエッフェル塔はあっても筆者が訪問した2014年の時点では、凱旋門は見当たらなかった。

黒竜江省ハルビン市からはハルビン学院の凱旋門を紹介したい。ハルビン市では欧亜之窓公園という世界の有名建築を再現した観光施設として運営されていたが、来園者の確保が困難だったのか、2006年にハルビン学院の校区となり、休園する。敷地内の凱旋門と周辺のソーラーパネル付きの街灯と見比べるとそれほど大きくなく、アーチの天井はのっぺりとしており、安普請の部類に入りそうだ。凱旋門を設置した教育施設としては、湖北省の武漢商貿職業学院は見逃せない。校内にはピラミッド型の図書館やアメリカ合衆国の国会議事堂が実験楼になっており、凱旋門は何と二つもあり、校門として使用されている。ただし、門に施された装飾はかなり簡素化されていた。今回は高速鉄道の車窓から根性で撮影した写真を掲載したので、じっくりご覧いただきたい。

最後に紹介するのは四川省広安市の凱旋門だ。高速鉄道の広安南駅近くには中古車と噴水の後ろに鎮座する凱旋門(装飾は簡素化されていた)があり、周辺は観光施設でも教育機関でもなく、住民の姿が少ないニュータウンといった趣だ。筆者訪問時はビルのテナント入居率も極端に低かったが、大丈夫なのだろうか?広安市はトウ小平の出身地としても知られ、トウ小平がフランスに留学していたことにちなんで凱旋門を設置したのではないかと考えられる。四川省出身の中国人の友人のタレこみによると、四川省には他にも複数の街で凱旋門が再現されているそうだ。ちなみに筆者はヨーロッパへ訪問したことがないので、本物の凱旋門は未見である。

■筆者プロフィール:関上武司

1977年の愛知県生まれ。愛知大学経営学部卒。中国で留学や駐在員としての勤務経験あり。日本や中国のB級スポットを紹介するブログ・軟体レポートの管理人。中国遊園地の取材で中国の全省、全自治区、全直轄市へ訪問。会社員の傍ら、「中国遊園地大図鑑」シリーズを執筆し、メールマガジンのロードサイダーズ・ウィークリーにて「ROADSIDE CHINA 中国珍奇遊園地紀行」を連載中。このほかイベントも開催している。

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