八牧浩行 2014年4月15日(火) 8時45分
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日中間の政治交流は依然冬の時代が続いているが、本格的な春の到来とともに、ほのかな光が見え始めた。日中友好議員連盟会長の高村正彦自民党副総裁を団長とする同議連の大型訪中団が5月4日から6日までの日程で実現することになった。資料写真。
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日中間の政治交流は依然冬の時代が続いているが、本格的な春の到来とともに、ほのかな光が見え始めた。日中友好議員連盟会長の高村正彦自民党副総裁を団長とする同議連の大型訪中団が5月4日から6日までの日程で実現することになった。久々の大型政治家訪中団である。
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同議連の訪中は、昨年も5月の連休中に予定されていたが、中国首脳との会談は困難と伝えられ、断念した経緯がある。ところが今回、中国側の要請で実現することになった。3月中旬に来日した王秀雲中日友好協会副会長が直接高村氏に要請したという。王氏は李克強首相とも近く、中国政府の意向が反映されていると見ることができる。高村副総裁が目指しているのは習近平国家主席か李克強首相との会談であり、昨年これが実現しないと分かり断念したが、今回訪中することになったのは、よい感触が伝えられたためとみられる。
昨年末の首相・安倍晋三の靖国神社参拝以後、日中の政治家による会談は途絶えていたが、3月には唐家セン[王旋]中日友好協会会長が、訪中した細野豪志民主党前幹事長らと初めて会談している。友好議連の訪中団は高村会長と岡田克也副会長、山口那津男公明党代表ら与野党の有力政治家で構成される予定。中国首脳との会談が実現すれば冷え切った日中関係打開に向けた糸口になる可能性がある。
◆習主席「日中の経済・民間交流を強化せよ」
1980年代に日中関係改善に尽くした胡耀邦元総書記の長男、胡徳平氏が4月上旬に来日したことも、日中関係改善への地ならしになり得る。胡徳平氏は福田康夫元首相、菅義偉官房長官、岸田文男外相、高村自民党副総裁らと相次いで会談した。胡氏は全国政治協商会議の常務委員を務めたことがあり、中国共産党の高級幹部の子弟グループ「太子党」の有力者として知られ、習近平国家主席とも近い関係ある。
外務省招待の形で来日したもので、胡氏は菅官房長官との会談で、「両国は経済でも切っても切れない関係にあり、交流を深めていきたい」と発言。高村副総裁には「日中間の戦略的互恵関係を取り戻さなければならない」と強調した。高村氏は日中友好議連の訪中に当たって中国首脳との会談実現を要請した模様だ。大物政治家による関係改善を促す発言は久々だが、習国家主席の意向を代弁していると見られている。
日中間には尖閣諸島や歴史認識をめぐる対立の構図が存在し、政治的には当面、抜本的関係改善は望み薄。しかし習主席は“政経分離”で経済だけは共栄共存に持ち込みたい考え。昨年10月24日に開催された「周辺外交工作座談会」で、中共中央政治局常務委員ら多数の幹部を前に、「対日関係は改善すべきだ。日中の経済交流と民間交流を強化せよ」と発言している。
日本政府も経済、文化、人的交流の活発化で関係改善への基盤をまず作り上げることが必要との考えである。凍りついた日中関係を溶かす動きに注目したい。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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