RCEP調印で日中韓FTAはまだ先になる?―中国メディア

人民網日本語版    2020年12月4日(金) 10時40分

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中国の王毅外相はこのほど日本と韓国を訪問し、両国政府は地域的な包括的経済連携協定の早期発効の推進、日中韓FTA交渉プロセスの推進に対し、それぞれ積極的な態度を示した。写真は中国産野菜。

中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外交部長(外相)はこのほど日本と韓国を訪問し、両国政府は地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の早期発効の推進、日中韓自由貿易協定(FTA)交渉プロセスの推進に対し、それぞれ積極的な態度を示した。関連分野の専門家の共通した見方では、RCEPの枠組は日中韓3カ国の間に経済貿易の橋を架け、日中韓FTA交渉の加速をより一層促進し、これから3カ国の協力レベルは次のステップに進み、3カ国が共同で繁栄することによって北東アジア地域の長期安定と平和発展に助力することになるという。

RCEPはすでに調印されたため、さらに日中韓FTA交渉を推進する必要があるだろうか。

普通の人からみると、貿易協定は非常に複雑なものだが、そのロジックはすぐに理解できる。日中韓はRCEPというグループに入った以上、さらに日中韓FTAというミニグループを作る必要があるのだろうか。

これに対して、取材に答えた専門家たちは、「RCEPが完全に日中韓FTAの代わりになることはできない。日中韓FTAはよりハイレベルの通商メカニズムであり、3カ国の協力のポテンシャルをよりよく発揮させることが可能だからだ」との見方を示した。

北京師範大学経済・工商管理学院の教授で、国際経済・貿易学部長を務める魏浩(ウェイ・ハオ)氏は、「RCEPはASEANが発案したもので、日中韓が主体的な役割を十分に発揮するのは難しく、また両者では関税の優遇レベル、対象商品の範囲などで大きな違いがあり、相互に補完し合い助け合うことができる。RCEPの調印によって日中間、日韓間には新たな自由貿易パートナーシップが構築されたが、日中韓FTA交渉はやはり推進する必要性がある」との見方を示した。

黒竜江省社会科学院北東アジア研究所の笪志剛(ダー・ジーガン)所長(研究員)は、「日中韓3カ国の経済規模、開放レベル、経済の相互補完性を考えると、日中韓FTAではよりハイレベル、より開放的、より模範的な、より牽引的でリード的な3カ国協力メカニズムが構築される可能性があり、3カ国の協力のポテンシャルを十分に発揮させ、ひいては地域経済の成長と繁栄を推進し、世界経済を後押しする上でプラスになるだろう」と述べた。

専門家は、「日中韓FTAは北東アジアを安定させ、北東アジアを発展させ、北東アジアを繁栄させる上で重要な役割を果たし、地域の長期安定と平和発展に助力することになる」と強調する。

笪氏は、「北東アジア地域は地政学の情勢が複雑で、現在は成熟した多国間経済貿易協力メカニズムがなく、日中韓FTAはこの空白を埋め、経済協力を通じて共同の繁栄をもたらすものになる」と分析した。魏氏は、「FTA建設は北東アジア地域の安定と平和発展を維持する上で重要な戦略的意義をもつ」と述べた。

RCEPは順調に調印された。日中韓FTAはこの勢いに乗ってスムーズに進むことができるだろうか。その答えは「できる」だ。RCEPはすでに信頼感を増強し、制度設計の共有も実現した。日中韓FTA交渉は加速するとみられ、専門家たちはRCEPと日中韓FTAがそれぞれの輝きでお互いを引き立て合う未来を期待する。

RCEPが8年間の31回に及ぶ交渉を経て最終的に調印にたどり着いたのは、実に容易なことではなかった。特に調印の時期には、世界で新型コロナウイルス感染症が蔓延し、保護主義と一国主義の傾向が強まっていた。

中国商務部の高峰(ガオ・フォン)報道官はこのほど、「RCEP調印は日中韓FTA交渉を加速推進するための良好な環境を作り出した。中国は日本、韓国とともに、日中韓FTA交渉を加速的に推進し、『RCEP+』の自由貿易協定を構築する」と述べた。

専門家は、「RCEPの調印は主に2つの面で日中韓FTA交渉の進展を促す」という。

魏氏は、「RCEP調印は日中韓FTA締結への信頼感を大いに高めた。未来の3カ国の協力はより安定した環境とより大きな予測可能性を迎えることになる。実際的な面では、RCEP調印は日中韓FTAの推進に着実な基礎を提供した。ルールの共有、メカニズムの共有、市場の共有、成果の共有を通じて、交渉の効率を高め、成功の確率を高める」と述べた。

たとえばRCEPの知的財産のルール分野には、83の条項及び移行期間の取り決めと技術支援に関する2件の付帯文書があり、内容はより全面的で、範囲はより広く、ルールはより細かく、見通しはより明確だ。魏氏は、「こうした基礎を踏まえて、日中韓FTAの知的財産に関するルールと交渉には基本的なよりどころができたといえる」と述べた。

専門家の間には、「このたびのRCEP調印は日中韓FTA交渉を促進する役割を果たし、未来の日中韓FTA建設はRCEPの成果をより一層確実なものにし、日中韓の間の経済貿易交流をさらに深化させることになり、双方がそれぞれの輝きで互いを引き立て合う日が来ることを期待する」との見方で一致している。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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