人民網日本語版 2020年9月28日(月) 5時20分
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長い間うわさが伝わってきていたデジタル通貨がいよいよ身近なものになってきた。写真は中国建設銀行。
長い間うわさが伝わってきていたデジタル通貨がいよいよ身近なものになってきた。中国建設銀行がオンラインデジタル通貨メニューのテストを開始すると、多くのネットユーザーがその進展状況に非常に注目するようになった。デジタル通貨の準備は整ったと言えるだろう。科技日報が伝えた。
デジタル通貨を利用するのは、どのような場面か。またどんな体験なのか。中国人民銀行(中央銀行)支払決済司の穆長春(ムー・チャンチュン)副司長は、「中国が打ち出そうとしている中央銀行のデジタル通貨は紙幣の代替品だ。その機能と属性は紙幣と完全に同じであり、ただ形態がデジタル化したに過ぎない」と述べた。
穆氏は続けて、「デジタル通貨は決済にあたって銀行口座と紐付けする必要はなく、現在の微信(WeChat)や支付宝(アリペイ)のように銀行カードと紐付けする必要もない。相手の携帯電話と自分の携帯電話にそれぞれDC/EP(中国人民銀行法定デジタル通貨)のデジタルウォレットが入っていれば、ネットワークすら不要だ。携帯電話のバッテリーさえあれば、2つの携帯を接触させるだけで、一方のデジタルウォレットのデジタル通貨をもう一方に送ることができる」と説明した。業界の専門家は、「5Gやモノのインターネット(IoT)などの技術と結び付ければ、どんな端末も決済の媒体になれる」と指摘した。
デジタル通貨は利用という側面だけでなく、ほかの面でもより深い意義がある。
火幣ブロックチェーン研究院の康律之(カン・リュージー)シニア研究員は、次のような例を挙げて説明した。「たとえば、デジタル通貨は口座が必要ないため、従来の銀行口座を持っていなくても受け取りや支払いができ、いわゆる金融包摂がより実現しやすくなる。たとえば、金融が発達していない地域の人々も、中央銀行のデジタル通貨ウォレットを通じ、中央銀行のデジタル通貨資産運用商品を購入できるようになる。また、政府は金融の発達していない地域へ特定の補助金を交付しやすくなり、貧困者支援などの政策の普及拡大と実施をより便利に、より正確に行うことができるようになる。公開された資料によると、2019年末に中国全土で流通した紙幣の枚数で計算すると、国が1年間に印刷など紙幣発行に関して支払ったコストは累計1000億元(約1兆5500億円)を超えたとみられる。それに対し、デジタル通貨なら人件費や材料費などにかかる巨額の支出を削減することができ、コストをより効果的に抑えられるようになる」。
デジタル通貨は決済における違法行為を取り締まることもできる。康氏は、「中央銀行のデジタル通貨は、偽札による社会・経済秩序の混乱を効果的に防ぐことができる。中国の紙幣偽造防止技術は絶えず向上しているが、違法な偽札製造者の偽札作りの技術も絶えず向上している。そのため偽造防止技術を向上させ続けてもきりがなく、投じるコストが増え、消耗が大きくなるだけだ。こうした現象を前にして、中央銀行のデジタル通貨はデジタル時代に出された最良の回答なのかもしれない」と述べた。
また、デジタル通貨は中央銀行という第三者にのみ取引データを公開する。これはつまり、プライバシー保護を前提にした上で、中央銀行が必要なデータを掌握できるということで、脱税やテロ組織への資金供与、マネーロンダリングなどの犯罪行為をより発見しやすくなる。また、経済データがより正確になることで、マクロ経済の調整コントロールがより正確になるという可能性がある。
北京大学国家発展研究院副院長で北京大学デジタル金融研究センター長を務める黄益平(ホアン・イーピン)氏は、「中央銀行のデジタル通貨は、国境を越えた決済や投資がより迅速かつ安全で、低コストなものに変わるよう促す可能性がある。たとえば現在、北京からニューヨークやロンドンに送金するには、取引を完了するまでにたいてい営業日ベースで数日かかり、費用も高くつく。しかしデジタル通貨なら、暗証番号があれば取引があっという間に完了する」との見方を示した。(提供/人民網日本語版・編集/KS)
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