映画「子供たちの王様」などで知られる中国の俳優シエ・ユエン（謝園）が心臓病のため急逝。チェン・カイコー（陳凱歌）監督やチャン・イーモウ（張芸謀）監督ら、映画人たちもSNSで哀悼の意を寄せている。

映画やドラマ、舞台劇で活躍し、名バイプレーヤーとして知られる俳優シエ・ユエンが今月18日、突発的な心臓病のため急逝したことを19日、中国メディアが一斉に報道。享年61歳で、最近まで元気な姿を見せていただけに、訃報を聞いた人々から驚きの声が上がっている。

シエ・ユエンは1977年、文化大革命後に再開された最初の高考（大学入学統一試験）で演劇の名門大学・北京電影学院に合格し、俳優人生をスタート。映画「新兵馬強」（81年）でデビューし、続いてチャン・イーモウ監督が撮影監督を務めた「一人と八人」（84年）などに出演したほか、主演作となったチェン・カイコー監督の「子供たちの王様」（87年）では、農村で子供たちを教える若い教師役を好演し、海外でもその名を知られるようになった。

過去には母校・北京電影学院で教師も務め、現在の映画界を支える数多くのスターを育成。近年ではドラマ出演も多く、ファンタジー時代劇「運命の桃花～宸汐縁～」や、サスペンス作「古董局中局2」などに出演。クランクアップしたばかりのドラマ「假日暖洋洋」が遺作となった。

チェン・カイコー監督は19日、中国版ツイッターに長文を投稿。「シエ・ユエンは人に喜びを与えてくれる人。会った人は誰でも好きになる」と急逝した友について記し、「子供たちの王様」では役作りのため長期にわたって散髪せず、ボサボサ髪でリアリティーを追求したことや、農村に溶け込んで生活していたエピソードを紹介。当時、カンヌ国際映画祭に出品された時のポスターを、「最も好きな1枚」と紹介している。

チャン・イーモウ監督も同じく中国版ツイッターで、「どうか天国でも笑いに包まれますように」と書き記し、哀悼の意を示している。（Mathilda）