小島康誉 2020年6月27日(土) 16時20分
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「子供たちの未来は輝いていてほしい。小学校での学びは最低条件のひとつ」と考え、新疆に日中友好希望小学5校舎を建設した。写真はウルムチ西山希望小学校調印式。
「一帯一路」の要衝である新疆ウイグル自治区で40年ちかく実践してきた世界的文化遺産保護研究や人材育成など国際協力を連載中。国際協力と聞けば「美談」のように思われるであろうが、実践は容易ではない。日本人が体制も文化も異なる中国で、しかも新疆は47もの多民族地区である。
各種規制も多い。小さな障害、大きな困難を日中双方は一歩一歩乗り越えた。願いは人々の幸せ。そのひとつが「子供たちの未来は輝いていてほしい。小学校での学びは最低条件のひとつ」と考え、新疆に日中友好希望小学5校舎を建設した。
きっかけはジュエリー専門店チエーンの社長時代にさかのぼる。それなりの会社だったが、自宅も車も無し。すべてをタクラマカン沙漠のニヤ遺跡調査に注ぎ込んでいたからだ。監査役の上岡長作氏(故人)から「個人で貢献されているので、資金協力したい」と申し出。文科省の助成金以外はすべて私費で行っていた調査も佳境に入り、調査・シンポ・報告書など多額費用に苦労していたのを見かねてのこと。会社でそんな話をしたこともないのに。
ニヤ調査に使ったのでは、上岡氏の心が活かせないと考え、「希望小学校」建設を提案し、上岡氏は快諾。さっそく新疆政府外事弁公室と相談し、新疆青少年発展基金会と具体的準備に入った。こうして出来上がったのが日中友好クチャ希望小学校、1998年のことである。クチャ(庫車)は天山山脈(2013年世界自然遺産)の南麓、タクラマカン沙漠の北縁に位置し、西域北道の要衝として栄えた都市である。西方約70kmにキジル千仏洞(2014年世界文化遺産)が所在している。
ほかの学校建設では友人らにも協力を得た。自分ひとりが拠出するより多くの方に国際協力を実践してほしいと、呼びかけた結果である。新疆は多民族地区、新疆政府と相談しつつ、漢・ウイグル・モンゴル族など民族バランスも考慮し、クチャ・ウルムチ西山・バインブルク・ホムカナス・ジムナイに5校舎を建設した。新しい校舎や新しい机……児童はもとより教師・親たちから笑顔があふれた。皆の喜びは筆者の喜び。
バインブルク希望小学校竣工式は突然ドシャ降り。傘をさしての進行。「奇跡の雨」と大喜びされた。モンゴル族校長「旱魃つづきで羊が食べる草もなくなりやせ衰え、困り果てていた。雨乞いもしたが降らなかった。貴方たちが来た今日はドシャ降り。本当にありがたい」と。偶然とはいえ嬉しいことである。中国人の旅行人気上位に新疆カナス湖が入っている。その近くのホムカナス村を訪ね、希望小学校の子供たちを激励されては?大愛無疆!
■筆者プロフィール:小島康誉
浄土宗僧侶・佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表・新疆ウイグル自治区政府文化顧問。1982年から新疆を150回以上訪問し、多民族諸氏と各種国際協力を実施中の日中理解実践家。 ブログ「国献男子ほんわか日記」 <新疆は良いところ>小島康誉 挨拶―<新疆是个好地方> 書籍はこちら(amazon) 小島康誉氏コラム
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