内藤 康行 2020年12月14日(月) 9時40分
拡大
013年から2018年までの、中国の都市生活ゴミ発生量と処分量が年々増加している。写真は北京の住宅ゴミ。
2013年から2018年までの、中国の都市生活ゴミ発生量と処分量が年々増加している。2019年12月に生態環境部が発表した「2019年全国の大中都市における固形廃棄物汚染環境防止整備に関する年次報告書」では、2018年200の大中都市の生活ゴミ発生量は21147万トン、処理量は21029万トンで、処理率は99.4%に達している。
また、中国の都市生活ゴミ発生量の増加率は5.54%で、都市生活ゴミ処理量の増加率は5.98%だった。昨年の中国の都市生活ゴミ発生量は約2億2300万トンで、 処理量は約2.億2200万トン、生活ゴミ処理率も増加している。尚、生態環境部はまだ2019年データを公開していない。
中国のゴミ処理は、衛生埋立が主流で、現在は焼却処理が伸びており、一方で堆肥処理が減少している。2018年の中国における固形廃棄物処理施設、固形廃棄物処理能力及び固形廃棄物処理量の観点から、衛生埋立は全ゴミ処理方法の約50%に達したが、用地不足と二次汚染により、埋め立てはすでにボトルネックとなっている。
特に中国東部などの経済発展地域では人口密度が高く、今後は廃棄物焼却が徐々に主要廃棄物処理方法となり、2018年時点で約45%にまで増加している。2019年(正式データは未公開だが)、ゴミ焼却発電プロジェクト推進に伴い、ゴミ焼却処理率は約54.5%に達する。
昨年11月、住宅建設部は、「生活ゴミ分類マーク」の新基準を発表している。新基準では、中国政府は、実施地域の事情に応じて、食品廃棄物、キッチン厨芥ゴミをキッチン厨芥ゴミとして統一した。
現在、キッチン厨芥ゴミ処理が中国政府の廃棄物処理の重点活動とされており、厨芥ゴミ処理業界は廃棄物選別実施で大きな注目を集めている。
■厨芥ゴミは埋め立て処理が主流
生活ゴミ処理分野では、中国はまだ揺籃期にあり、廃棄物分類システムは不完全で技術レベルも低い。こうしたことから中国のゴミ処理は依然として埋め立てが主流となっている。しかし、埋立処理には、占用面積が大きく、二次汚染、爆発や崩壊などの多くの欠陥がある。人口密度の高い地域、特に経済が発展している東部地区では、埋立処理方法がボトルネックとなっている。特に人口の増加や経済規模の拡大に伴い、土地資源が不足傾向にあり、用地選定は埋立処分で乗り越えられない高い敷居となっている。堆肥化処理は、ゴミ中の有機物含有量に対する高い要件があり、通常有機物はゴミ総量のわずか1/3未満のため、堆肥処理の推進を制限している。ゴミ焼却無害化処理は、特に可燃性発がん物質、ウイルス性汚染物質、および高毒性有機物質に対し、唯一の有効処理方法となっている。焼却処理では、ゴミ体積量を90%、重量を80%〜85%削減でき、その減容効果は高い。ゴミ焼却で発生した熱を回収し、発電や暖房に利用し、焼却後の残灰はセメントやレンガの製造にも利用可能だ。
減量化、資源化、無害化原則を考慮すると、ゴミ焼却発電の多くの優れた特性は、現代社会における土地とエネルギーの不足という客観的な現実と一致している。社会で強まる環境品質への要件で、ゴミ焼却発電産業の発展の大きな推進力となっている。
現在、中国の厨芥ゴミ処理の約50%は埋立処理され、約38%の一部が焼却処理されている。残りは高温堆肥化、微生物処理や嫌気性消化によって処理されている。
■中国の厨房ゴミ処理産業が本格稼働
「厨芥廃棄物の資源化と無害化処理の中間評価と最終検収管理弁法」では、国家発展改革委員会、財務部、住宅建設部各部は、第三者機関の専門家と共同で、検収合格したパイロット都市のリストを確定した。 検収合格した都市は宣昌、佛山、梧州、臨沂、麗江。
■中国の厨芥ゴミ処理市場の競争構造
中国の厨芥ゴミ処理業界はまだ揺籃期にあり、同市場への参画企業は少なく、競争構造は分散している。現在、厨芥ゴミ処理に参画している企業は、主に地域の環境グループ企業と技術・設備のサプライヤーである。単一企業の処分規模は小さく、有力な業界リーダーはまだ存在していない。
■不十分な厨房廃棄物処理能力と政府と資本投資
現在、中国の厨芥ゴミ処理能力の現状と計画は芳しくない。 2018年末現在、ゴミ分類46都市中、重慶、北京、上海、広州、深圳などの都市の厨芥処理能力(稼働中、建設中などを含む)は日量2000トン以上を除き、いまだ26都市でわずか1件の厨芥ゴミ処理施設(最大能力500トン/日)しかない。さらに徳陽、広元、宣春及び日喀を含む4つ以上の都市では厨芥ゴミ処理計画は全くない。
中国の都市では毎年6000万トン以上の厨芥ゴミが発生しており、このままだと年平均増加率は10%以上との予測がある。北京市発展改革委員会の統計によると、北京市では毎日1200トンの厨芥ゴミが発生している。 都市人口の増加に伴い、厨芥ゴミ処理市場が拡大している。
「『第13次5カ年計画』全国都市生活ゴミ無害化処理施設建設計画」では、2020年までに全国の大部分の都市で初歩的に厨芥ゴミの分類、収集、輸送、処理を実施し、厨芥ゴミ特定プロジェクトへ183億5000万元(約2925億円)の投資を実現するとしている。 「第13次5カ年計画」では、資金投入を強化し、収集・輸送の段階的改善により、厨芥ゴミ処理技術の商業化運営モデルを構築する。恐らく「第14次5カ年計画」期間では、厨芥ゴミ処理市場は急成長段階に入る。
中国の環境保護産業への投資の継続的な増加と環境保護に対する国民の意識の高まりや、厨芥ゴミ処理の比率の引き上げで、中国の厨芥ゴミ処理産業の市場規模(プロジェクト投資の観点から)は、近年の上昇傾向から2018年には2216億元(約3兆5300億円)に達し、年間成長率は13%を超えた。
しかしこれからの5年では、ケータリング業界の急成長と次期「第14次5カ年計画」の影響から、中国の厨芥ゴミ処理業界市場は着実な成長を維持すると思われる。国家計画の見積では、厨芥ゴミ処理産業の市場規模は、2019年から2023年まで、現行の成長速度を維持できれば、2023年には4724億元(約7兆5300億円)に達し、年間成長率は約16%になると予想されている。
■筆者プロフィール:内藤 康行
1950年生まれ。横浜在住。中学生時代、図書館で「西遊記」を読後、中国に興味を持ち、台湾で中国語を学ぶ。以来40年近く中国との関わりを持ち現在に至る。中国の環境全般と環境(水、大気、土壌)に関わるビジネスを専門とするコンサルタント、中国環境事情リサーチャーとして情報を発信している。著書に「中国水ビジネス市場における水ビジネスメジャーの現状」(用水と廃水2016・9)、「中国水ビジネス産業の現状と今後の方向性」(用水と廃水2016・3)、「中国の農村汚染の現状と対策」(CWR定期レポ)など。
この記事のコメントを見る
Record China
2020/12/8
2019/9/14
2019/8/16
2017/3/9
2016/11/1
ピックアップ
we`re
RecordChina
お問い合わせ
Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら
業務提携
Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら
この記事のコメントを見る