「本物」にこだわる中国人コスプレイヤー=襲いかかる惨劇、そして伝説へ

Record China    2013年12月6日(金) 14時58分

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若い頃の過ちは某有名パイロットも「認めたくないものだな」とおっしゃっておられるように、大人になったときに良い思い出とともに苦い思い出になるものだ。写真は舞台上でエレン軍法会議ネタで遊ぶ中国レイヤーたち。

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若い頃の過ちは某有名パイロットも「認めたくないものだな」とおっしゃっておられるように、大人になったときに良い思い出とともに苦い思い出になるものだ。(文:みねぎしひろゆき)

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中国に来てから中国人コスプレイヤーの友達がたくさん出来た。彼らの口から語られる10代の頃のコスプレ秘話というのはどれも「認めたくない感」に溢れている。

この「認めたくない」過去話は「黒歴史」という単語で中国のネットスラングとして多用されている。日本からアニメやドラマを通して中国に輸入されたものだと思うが、もともと「腹黒(ふーへー、そのまま腹黒いという意味)」だとか、「黒化(へーふぁー、性格が一転他人を陥れることばかり考えるようになったという意味)」という言葉が既に中国で認知されていたのもあって、黒歴史の「黒」の意味をすぐに理解したようだ。

中国で知り合ったレイヤーの黒歴史の中で、一番ひどかった物の一つを紹介する。

▼「模造刀飛び血事件」

事が起こったのは2000年代初頭。とある北京の有名コスプレサークルが、とあるイベントで大人気日本忍者漫画のステージ寸劇をすることになった。基本的なメンバー紹介ファッションショーとチャンバラ寸劇で、今回の主人公「小鳳 (仮名)」君は簡単な打ち合わせの後、「大鵬(仮名)」君とチャンバラ寸劇を担当することになった。さて、小鳳君は176cmの細身と一般的な北方中国人な体格なのだが、大鵬君は187cmもある大柄な男子だった。体格差は激しいもので、配役した人も舞台上での見た目を配慮したのだろう。小鳳君は気合を入れて当日臨んだ。

当日、ファッションショーも終わり、会場の雰囲気も盛り上がってきたころステージが暗転、緊張した戦闘BGMが流れ始めた。小鳳君と大鵬君がステージに上がり、スポットライトが2人を照らすと会場からワーっと歓声が上がる。小鳳君は打ち合わせ通りチャンバラを始めると、会場からどよめきが起こる。すべて順調だ。

小鳳君は打ち合わせ通りの殺陣をこなしていくうちに、突如違和感を感じた。さっき刀がかすめた左の二の腕が痛い。まるで切られたみたいだ。ほほに汗しぶき受け、伝わる滴をぬぐってみると、彼は驚愕した。

血ではないか!? モシカシテ…。

予想は当たった。大鵬の刀は「本物の日本刀」だったのだ!これはまずい、と小鳳は事前に決めてあった立ち回りを放棄して、舞台上を逃げ回った。それを追いかける大鵬。そのうち音楽が止み、小鳳は早々に舞台裏に退場して急いでサークルメンバーと相談した。メンバーリーダーはこう言って小鳳を宥(なだ)めた。

「あいつは体が大きいから、負けちゃいけない。おまえも男を見せろ。」

この言葉、おそらく大鵬に怖れず、ちゃんと事情を伝えて明日のステージでは同じことが起こらないようにしたほうがいい、という意味で言ったつもりだったと思うが、小鳳には全く逆に伝わったようだ。イベント後、明日のステージに備えて各自解散した後、小鳳はまっすぐなじみの包丁屋のところに行き刀を研いだそうだ。次の日のステージでどのような惨劇が起こったかは自重しておこう。

この件以来、北京のコスプレ大会では模造刀が完全禁止になったという。小鳳君と大鵬君の伝説は今でも中国コスプレ界で語り継がれている。

また機会があれば、別の黒歴史を紹介しようと思う。あくまでも許可が取れたらだが。

【キーワード】

「中国のコスプレイヤー」:

日本では最近始まっているが、中国のコスプレイヤーは既にビジネス化している。コスプレイヤーがモデル化しているとも言える。

この背景には、同人コスプレ写真集+サイン会の確立、ゲームの発展等がある。もともと素人だったコスプレイヤーを広告に使おうとしたのがおそらく始まりで、現在では一般的なモデルの1/2〜同額の価格で撮影を請け負う人もいる。これらを通称「名Coser」と呼んでいる。

これらのレイヤーは大半がカリスマ化しており、微博での影響力もかなり大きい。個人的な知り合いに何人かいるので、いつか詳しく紹介したいものだ…。

「中国のコスプレイベント」:

中国で年間開催されている数は実測したことがないが、コミケット系イベントが開催されるたびに併設されているのが恒例となっているので、かなりの数が開催されていると思われる。中国最大のコスプレイベントと言えば、上海ゲームショー「China Joy」併設のコスプレショーであろう。毎年中国全国のコスプレイヤーが集結する最大規模のイベントである。基本的に1、ファッションショーパートと2、寸劇パートで構成されている。少し前に見た、ときめきメモリアル、同人ミュージカル仕立てには感動した!

「節操」:

中国コスプレイヤー…に限らず、ネット上でしょっちゅうツッコミ言葉として登場する。いわゆる「節度」である。「節操[口尼]!?」と自重しろよ!という意味で使われる。最近自重しないでカメラマンとニャンニャンして有名になってしまった中国のコスプレイヤーもいて、かなり過激になっているので、キーワードとして載せてみた。だけど振り返ってみると天嵐も意外と節操がないかもしれない。

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