<在日中国人のブログ>オンラインは自分との対面

黄 文葦    2020年8月7日(金) 14時40分

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現代人にとって、オンラインはかけがえのない生き方である。新型コロナ時代、私たちはますますオンライン時間に浸かって、オンラインでの自分の居場所を探さなくてはならない。写真は緊急事態宣言後の東京。

現代人にとって、オンラインはかけがえのない生き方である。新型コロナ時代、私たちはますますオンライン時間に浸かって、オンラインでの自分の居場所を探さなくてはならない。

オンラインビジネスの礼儀作法

私は多くの仕事とプライベートのやり取りを中国発のSNSチャットアプリであるWeChat(ウィーチャット)で行う。いつの間にか、WeChatの友達は1000人を超えた。オンラインなので、結構気軽につながっていく。その中の一部の方がいつどのようにつながったのか、覚えていない。

先日、「家買う?」いきなりWeChat上にこの質問が飛び込んできた。「すみませんが、あなたは誰ですか」と質問したら、即時にブロックされた。戸惑った。それはオンラインでの気持ちのよくないすれ違い。中国では、SNSチャットを利用して、ビジネス勧誘をすることが結構普通である。

しかし、オンラインビジネスでも礼儀作法が必要だと思う。「家買う?」の一言だけで、家を買ってもらえる?そう簡単にはいかないはず。ビジネスが成立するのは、売買両方の気持ちの良いことである。過程を大事にしないと、良い結果を得られるわけではない。

ネットの誹謗中傷について

パソコン画面に向かって、まさしく自分と対面するような感覚である。人とネット上でチャットあるいはSNSでコメントする際、自分が打った文字を自らの目に入れる。その意味で自分が気持ちよくなる言葉を使わねばならない。一方、人が他人に誹謗中傷の言葉を出した途端、まず自身の目、自身が対面するパソコンあるいは携帯の画面を汚すではないか。「オンラインは自分との対面」と心得ている。

十数年前、私もネット攻撃に悩んでいた時期があった。中国語のブログで日本のいいところを書くと、必ず大勢の人からコメントで「あなたは売国奴だ」と罵声を浴びせられた。

その時、あるベテラン編集者の言葉が私にとって救いであった。「ネットのことを気にしすぎないで。48時間後にはネットの風景は何もかも変わる。あなたを攻撃する人は、リアル社会では不満があっても何も批判できないから、ネットで日本を八つ当たりの対象にする。かわいそうな人たちだ」。

知らない人、自分のことを何もわかってない人の中傷の言葉を気にする必要はないだろう。ネットで他人を誹謗中傷する人は、大変な悩みや心の病を抱えているかもしれない。

穏やかに生きるためには自身が強くなるしかない。知らない誰かが自分を中傷した。その誰かの過ちを自分で罰してはいけない。

在宅勤務意識の日中比較

友人から聞いた話。同居する彼氏は在宅勤務以来、毎日、出勤時間になる前、スーツを纏い、ネクタイを結ぶ。それからパソコンの前に座り、「仕事中、邪魔しないでね」と言って仕事をスタートする。

今年、中国でも在宅勤務が進められた。数人の友人に尋ねてみると、「在宅勤務は成果主義だ。家の中で、仕事の形式にこだわらない。気楽にすればいい」と異口同音。つまり、いい結果が出れば、勤務時間中、ちょっと気分転換にゲームをしたり、外出してもいいと多くの人が考えているらしい。

在宅勤務は会社出勤よりも疲れると文句を言う人もいた。なぜなら、オンラインなので、夜中でもしばしば上司のメッセージが届き、仕事を頼まれる。まるで休日なく24時間勤務、しかも、残業代をもらえない。

オンラインでの人生行事

2020年、私たちはオンラインでさまざまな新しいことを試した。オンライン飲み会、オンライン授業、オンライン旅行、そして、オンラインでお見合い、婚約、結婚式…オンラインで結婚式など尊い人生行事ができる時代になっている。

新型コロナ時代、日本と中国の間には、離れ離れの家族物語が多かったという。先日、80歳の父親が故郷の中国で椎間板ヘルニアの手術を受けた。幸い、4時間にわたる手術は無事終了。手術中、家族が手術室の外で撮った緊張感あふれるモニター心電図の写真を送ってくれた。自分もずっと手術室の外で待っている気分だった。新型コロナ時代、親の手術をオンラインで見守る。とても複雑な気持ちになった。

「オンラインは自分との対面」、あたかも佛語だが、自分にとって新型コロナ時代の精神修練である。オンラインには温度と匂いはないものの、心がある。オンラインでは人間同士、もっと優しく接しましょう。

■筆者プロフィール:黄 文葦

在日中国人作家。日中の大学でマスコミを専攻し、両国のマスコミに従事。十数年間マスコミの現場を経験した後、2009年から留学生教育に携わる仕事に従事。2015年日本のある学校法人の理事に就任。現在、教育・社会・文化領域の課題を中心に、関連のコラムを執筆中。2000年の来日以降、中国語と日本語の言語で執筆すること及び両国の「真実」を相手国に伝えることを模索している。

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