木口 政樹 2020年2月25日(火) 14時20分
拡大
新型コロナ事態が一時下火のような状況を見せたのだが、19日の大邱の新天地教会の集団発生をうけていま韓国は大騒ぎとなっている。写真は韓国のマスク。
新型コロナ事態が一時下火のような状況を見せたのだが、19日の大邱(テグ)の新天地教会の集団発生をうけていま韓国は大騒ぎとなっている。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は23日、政府の危機警報の段階を、現在の「警戒」段階から最高段階の「深刻」に格上げすると明らかにした。文大統領は同日、「コロナ19事態が重大な分水嶺を迎えた。今から数日間が重要なヤマ場」とし、「政府と自治体、防疫当局と医療陣、さらに地域住民と全国民が渾然一体となって総力対応しなければならない重大な時点」との見方を示した。これは「コロナ19」が予想を超える速度と規模で拡散し、全国的に危機感が高まっている状況を考慮した決定だ。
韓国での感染症の危機警報は、関心・注意・警戒・深刻の4段階に分けられている。海外での新型感染症の「発生や流行」をもって「関心」とされる。同様に「国内流入」となった場合は「注意」、「制限的伝播」は「警戒」、そして「地域社会の全壊または全国的な拡散」が認められれば「深刻」と区分される。韓国政府が「深刻」段階を発令するのは、2009年の新型インフルエンザ事態発生以後、11年ぶりのこと。深刻段階が発令された場合、政府が休校令や集団行事の禁止を強制できるなど最高水準の対応が可能となる。
文大統領はこの日の発言で「大規模に起きている新天地集団感染事態の以前と以後では、全く異なる状況」とし、「既存の疾病管理本部中心の防疫体系と中央捜査本部体制は一貫性を維持しながら、総理主宰の『中央災難安全対策本部』に格上げし、全省庁の対応と中央政府・自治体の支援体系をさらに強化し総力で対応する」と説明した。
合わせて「規定にこだわらず前例のない強力な対応を積極的に推し進めるように」と強調。「大邱だけでなく全国の自治体が新天地施設を臨時閉鎖し新天地の信徒を全数調査して管理に乗り出したのは共同体の安全を守るための当然で不可避な措置」と説明した。
文大統領は「宗教活動の自由を制約するためではなく、地域住民と国民の生命と安全のためであり、新天地信徒の安全を守ることでもある」とし、「新天地教会と信徒たちの積極的な協力をお願いする」と語った。
ところでこの新天地とは何か。韓国でできた新興宗教の一つ。正式名称は「新天地イエス教證據帳幕聖殿」という。1984年3月に李晩煕(イ・マンヒ)という人が創設したキリスト教系新興宗教集団で、ヨハネ黙示録を中心に新しいエルサレムの建設を主張する。
李晩煕教祖は1931年、慶尚北道清道郡生まれで、現在88歳。独特なのは京畿道果川市を聖地と考え、“約束の地”と規定しているという点だ。
韓国のすべてのプロテスタント宗派ではこの教団を異端と規定しており、他の宗教を異端視せず多くを包容することで有名なカトリックでも警戒されている教団である。
2007年末にMBCの「PD手帳」という番組で報じられてからイメージが失墜し始めた。
2020年2月19日に「コロナ19」の31番感染者が礼拝に出席した教会がこの新天地教会。これによって全国的に感染者が数十人ずつ続出することになった。教団と31番感染者の無責任な行動と対応で、全国的に憎悪に近いほどの多くの非難が沸き起こっている。
ただ、新天地に腹を立てているだけでは事態は収まらない。外出を控えるなり手を洗うなりマスクをするなり、自分でできることはなんでも実行していくしかない。
23日午後には、韓国の幼稚園、小中高で学期はじまりを3月2日から3月9日へと1週間延期することが決まった。こんなことは筆者が韓国に来て以来、初めての事態だ。イスラエルは同日、韓国人の入国を禁止する措置を取ることにした。中国に次いで二番目に危険な国となったのである。
2月25日午前11時基準で、韓国の確定者は893人、死亡9人、退院22人となっている。
今後新型コロナ騒動がどのような動きを見せるのか。日本もそうであるけれど、韓国も重大な岐路に立っている。北朝鮮の状況も気になるところだが、北については、また稿を改めてお届けしたい。
■筆者プロフィール:木口 政樹
イザベラ・バードが理想郷と呼んだ山形県・米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結婚。元三星(サムスン)人力開発院日本語科教授、元白石大学校教授。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。著書に『おしょうしな韓国』、『アンニョンお隣さん』など。まぐまぐ大賞2016でコラム部門4位に選ばれた。 著書はこちら(amazon)Twitterはこちら※フォローの際はメッセージ付きでお願いいたします。
この記事のコメントを見る
Record China
2020/2/25
2020/2/24
2020/2/23
ピックアップ
we`re
RecordChina
お問い合わせ
Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら
業務提携
Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら
この記事のコメントを見る