上海自由貿易試験区は新たな改革開放のテストケース―中国専門家

Record China    2013年10月2日(水) 7時28分

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9月30日、中国(上海)自由貿易試験区が29日、プレートの除幕を行った。これにより各方面の注目を集め、熱い議論が繰り広げられてきた同試験区は、実際に運営を行う段階に到達した。写真は上海市。

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2013年9月30日、中国(上海)自由貿易試験区が29日、プレートの除幕を行った。これにより各方面の注目を集め、熱い議論が繰り広げられてきた同試験区は、実際に運営を行う段階に到達した。これに先立ち、中国国務院は「中国(上海)自由貿易試験区全体プラン」を公布し、上海市の外高橋保税区をはじめとする税関特殊監督管理区4カ所の計28.78平方キロメートルの土地に、中国本土初の自由貿易試験区を建設することを明らかにしていた。(文:石建[員力](シー・ジエンシュン)、人民日報海外版特約評論員、同済大学財経・証券市場研究所所長、同大経済・管理学院教授)

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同試験区の建設は、国が新たな改革開放と発展を始動させる上での重要な戦略的措置だ。現在、世界の経済環境は非常に複雑な変化を遂げつつあり、世界貿易機関(WTO)のドーハラウンドが膠着状態に陥った後には、二国間貿易協定や地域貿易協定が強化され、特に米国が推進するTTIP(環大西洋貿易投資パートナーシップ)とTPP(環太平洋連携協定)が中国にとって新たな課題となり新たな圧力となっている。これと同時に発展途上国の外貨を利用した競争が激化し、一連の国でコスト要素の優位性が徐々に顕在化する一方、中国は優位性が低下し、資本の外部移転が始まっている。

国内をみると、経済のモデル転換・バージョンアップと構造調整の歩みには困難がつきまとい、新たな経済成長源も不十分だ。絶対的な優位性が低下すると同時に、政府の管理は早急な効率アップが求められている。こうした背景の下、中国は新たな改革開放を推進し、総合的な優位性に立脚し、改革によって利益を求めなければならなくなった。そのためには模索とイノベーションが必要で、上海自由貿易試験区の建設は、全国的な発展戦略の必要性に着目し、全国の新たな改革開放に着目して行われたもので、イノベーションのテストケースといえる。同試験区が複製可能で普及推進が可能な経験を積み上げ、モデルとして全国を牽引し全国にサービスを提供する積極的な役割を発揮し、各地域の共同の発展を促進することが期待される。

同試験区は貿易の自由化、投資の自由化、金融の国際化、行政の簡素化という4つの使命を担う。同試験区建設は2回目の「WTO加盟」ともいえる。初めてWTOに加盟した時のことを受け身で世界と歩調を合わせた動きというなら、この2回目の加盟はより高次元の加盟であり、全面的で先進的、かつ主体的に世界と歩調を合わせる動きだといえる。全面的というのは、貿易にとどまらず、投資、金融、政府の管理など多方面で世界と歩調を合わせることを指し、先進的というのは、小さな範囲で先行モデルを試み、これを全国に推し広めることを指す。主体的に世界と歩調を合わせるというのは、グローバル化した経済管理という新たな情勢・局面に主体的に順応し、国際貿易投資の新たなルール・要求を主体的に受け入れ、開放によって改革・発展を促進するという新たな利益モデルや新たな優位点を主体的に形成し、全国規模の開放に先行するという新たな使命・戦略を主体的に引き受けることを指す。同試験区は開放によって改革を促進するものであり、未来の中国の経済発展に新たな飛躍をもたらし、中国経済が世界の経済システムによりよく参入し、国際競争によりよく参与するための着実な基礎固めを行い、また世界経済の健全な発展、貿易の自由化、国際通貨金融システムの改革にとっても積極的な促進作用をもたらすことが予想される。

同試験区は人民元国際化のテストケースでもある。「プラン」はリスクをコントロールできることを前提として、人民元の資本項目での両替実現、金融市場における金利の市場化、人民元の国境を越えた利用などで先行事業を行う環境作りを求める。同試験区では世界を視野に入れた外貨管理改革テスト事業を模索し、同試験区と釣り合った外国為替管理体制を構築し、貿易投資の利便化を全面的に実現していくことになる。また企業が国内と海外の2つの資源、2つの市場を十分に活用することを奨励し、国境を越えた資金調達の自由化を実現していくことになる。このような金融の一連の改革・イノベーションが実現すれば、オフショア人民元金融市場が形成され、人民元の国際化を加速し、中国金融システムの国際競争力を強化する上で、非常に重要な意義をもつことになる。

同試験区の建設は、上海市に国際経済センター、国際金融センター、国際貿易センター、国際海運センターを建設する上で重要な推進作用を及ぼすことになる。同試験区は今後、金融サービス、海運サービス、商業貿易サービス、専門的サービス、文化サービス、公的サービスの分野で国内外に向けて開放を拡大するとみられ、上海市の現代サービス業の発展を大いに推進し、上海市の「4つのセンター建設」と連動するメカニズムを形成することが予想される。

中国(上海)自由貿易試験区の建設は、中国が改革開放を一層深化させるための偉大な実践であり、これからの次の時期に政府の職能の転換を加速し、管理モデルのイノベーションを積極的に模索し、貿易と投資の利便化を促進するとともに、改革の深化と開放の拡大を全面的に行って新たなルートを模索し、新たな経験を積み上げるという国の重要な使命を背負っている。同試験区の建設を着実に進める上で、上海市の責任は重大だ。

中国(上海)自由貿易試験区の建設が成功することを願う。(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)

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