<コラム・巨竜を探る>「シェールガス」でも米中協力進展=米開発各社、埋蔵量世界一の中国狙う

八牧浩行    2013年9月6日(金) 7時30分

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世界のエネルギー革命の起爆剤となっているのが新型天然ガス・シェールガス。最大の生産国米国が世界を大きくリードしているが、米国が中国に対し、シェールガスの輸出、開発技術協力の両面で協力することで協議が進められている。資料写真。

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世界のエネルギー革命の起爆剤となっているのが新型天然ガス・シェールガス。最大の生産国米国が世界を大きくリードしているが、米国が中国に対し、シェールガスの輸出、開発技術協力の両面で協力することで協議が進められている。

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世界最大のエネルギー消費国でエネルギーの7割を石炭に依存している中国にとって、大気など環境への負荷が低い天然ガスへの転換は最優先課題。中東や中央アジアなどからの輸入を拡大、国内でもシェールガス開発に乗り出している。

中国のシェールガス推定埋蔵量は36.1兆立法メートルで世界一。米国の24.4兆立法メートルを大きく上回る。2015年に65億立方メートル、20年に600億〜1千億立方メートルの生産を目指している。ただ、米国とは異なり、中国ではシェールガスを含む岩盤が地下数千メートルと深い場所に分布している上、地層が複雑で岩盤に封じ込められたガスの回収には高度の技術を必要とする。開発コスト縮減や環境対策も急務で、大きく先行する米国のシェールガス開発技術の導入を切望している。

オバマ政権は、米国からの投資資金を中国のシェールガス開発に投入し、米国のシェールガス開発技術を中国に供与しすることをすでに承認。中国は米国産シェールガスの輸入も要望している。米国は自由貿易協定(FTA)の締結国以外への輸出を制限しているが、中国への輸出も対日輸出と同様、特別扱いする方向で検討中である。米国としても、様々な対中要求を飲ませるための「カード」として「シェールガス」を適宜活用する戦略だ。

中国政府は7月に米ワシントンで開いた米中戦略経済対話で輸入申請など手続きに関する情報の提供を要請、米国側もこれに応じた。高官級の米中エネルギー政策対話を閣僚級に格上げし年末までに開催、シェールガス問題を協議することになっている。米開発企業各社も有望市場中国からの受注は巨額の事業収益につながると色めき立っている。エネルギーという高度戦略分野でも「米中協調」が進行している。

<「コラム・巨竜を探る」(「巨象を探る」改題)その34>

<「コラム・巨竜を探る」はジャーナリスト八牧浩行(Record China社長・主筆)によるコラム記事。著書に「中国危機―巨大化するチャイナリスクに備えよ」(あさ出版)など>

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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