中国の入学消費シーズン、貧富の差が浮き彫りに―中国メディア

Record China    2013年9月4日(水) 16時57分

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3日、中国の各学校は入学シーズンを迎えているが、一部の保護者や学生は、「毎月の生活費が1000元(約1万6000円)以上かかる」、「金がかかりすぎて恋愛もできない」などと不満を漏らしている。写真は北京市の清華大学。

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2013年9月3日、中国の各学校は入学シーズンを迎えているが、一部の保護者や学生は「新入生の設備投資額が1万元(約16万円)の時代に入った」、「毎月の生活費が1000元(約1万6000円)以上かかる」、「金がかかりすぎて恋愛もできない」などと不満を漏らしている。しかしながら、見栄を張り無理にお金を使う消費習慣が大学生の間に浸透しており、キャンパス内の貧富の差も表面化している。中国新聞網が伝えた。

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◆入学消費、学費は支払えるが入学グッズが整えられない

各有名大学では新入生の入学手続きが始まっており、大学生の「入学経済」がメディアに注目されている。一人の大学生を養うことは今、「湯水のごとく」お金を使うことを意味するのだろうか。

安徽省出身の女子学生の張琳(ジャン・リン)さんは上海の某大学に入学した。両親が用意してくれた4つの荷物袋には、ネット上で流行している「新入生の三種の神器」(ノートPC、スマートフォン、タブレットPC)がすべて入っていた。張さんの1年の学費は5000元(約8万円)のみだが、この「三種の神器」を整えるために1万3000元(約20万8000円)を費やした。

張さんは、「これらは『ハイスペック』とは言えない。他の学生の中には、1万元以上もする一眼レフカメラを購入している人もいる。私は両親にわざわざこれらの機器を買うよう求めなかったが、他の人が皆持っていれば、自然と必需品になってしまう」と語った。

張さんのような「みんなが持っている」からという心理は、 新入生と保護者が入学グッズを購入する典型的な動機だ。

入学グッズの準備はお早めに、合格通知書提示で割引します―大学生の消費心理に迎合するようにして、ECサイトは入学シーズンの販促合戦のさまざまな謳い文句を掲げている。

あるECサイトが掲載した「入学生必需品リスト」では、マウンテンバイクや女子大生の枕元に置くぬいぐるみまでもが「必需品」とされていた。広東省のある店は、入学グッズの購入に対して分割払いのサービスを提供していた。

「学費は支払えるがグッズが整えられない」、「一人が入学すれば、一家が飢餓に苦しむ」など、保護者はネット上で入学消費の高騰に恨みを漏らしている。しかしながら、数万元(数十万円)の投資で入学のハードルを飛び越えても、保護者の大学生に対する「扶養」は始まったばかりなのだ。

◆お金がなければ恋愛できない

学生の節約意識を高め、理性ある消費を促すため、浙江大学寧波理工学院は今年、新入生の保護者宛の手紙の中で、大学生の生活費に対する「毎月600元(約9600円)、多くても800−1000元(約1万2800−1万6000円)以内」という「学校指導価格」を示した。しかしこの情報が伝わると、学生からダメ出しの声が相次いだ。

議論がやまぬ中、今度は新入生の入学手続き日に、「大学生のうちに、成功と失敗に関わらず、少なくとも1度は恋愛すべきだ」という標語が同校の宣伝板に現れた。これを見た学生は、「毎月600元(約9600円)で恋愛なんかできるか」、「なんとか衣食を維持できてこそ、真実の愛といえるのでは」と、一気に不満の声を高めた。

「大学生の恋愛費」に関するリストが入学シーズンにネット上で大流行している。この詳細な消費リストは、「数万元の余裕がなければ、軽率に恋愛すべきではない」という結論を導き出した。

5000人余りが参加したある調査によると、回答者の8割弱は大学生の毎月の生活費について、「1000元(約1万6000円)以上」を選択した。取材と調査の結果、「毎月の生活費は1000元(約1万6000円)以上」が、大学生から幅広く支持を集めていることが明らかになった。恋愛、パーティー、旅行、ネット通販などの項目もまた、より多くの大学生に「必要な出費」とされるようになった。

◆キャンパス内の貧富の差

大学生の消費額は毎年高騰しているが、これには経済発展と物価上昇など、「水位が高くなれば船も高くなる」という大背景がある。しかし高級でおしゃれなグッズを購入し、節制もなく飲み会やパーティーを開き、恋愛のために過度に出費するといった現象が普遍化しており、キャンパス内の見栄を目的とした消費心理に対しては警戒が必要だ。

キャンパス内で蔓延している無理な出費の風潮には、より懸念すべきリスクが存在する。毎年の入学シーズン、社会が「毎年高騰する」入学費に注目するなか、貧困層の新入生は奨学金を借りて自らの大学時代をスタートしている。同じように大学に入学しながらも、一部の学生の消費観が見栄重視を強めている。キャンパス内の貧富の差も、より深刻化している。

中国青年報は今年7月22日と23日の2日連続で、「新たなキャンパス分裂」を見出しとする長編の記事を掲載し、「この10年間に渡り、大学内の貧富の差がもたらすキャンパス分裂の現象が深刻になっている」と指摘した。この記事の中で、今世紀初頭に大学を卒業した若い教師は、「私たちの頃は、豊かな学生の生活費は毎月400元(約6400円)、貧しい学生は200−300元(約3200−4800円)であった」と振り返った。今や前者はBMWで通学しているが、一方の後者は200元(約3200円)が600元(約9600円)に上がっただけだ。

21世紀教育研究院の熊丙奇(シオン・ビンチー)副院長は、「社会的な貧富の差は前の世代から次の世代へと伝わり、大学内に反映される。これは避けることの出来ない客観的な現実だ。いかに大学生の富に対する観点を養うか、これが問題の中で重要になってくる。大学時代全体において、学生の家庭の経済条件がどうであれ、保護者と学校は学生に正確な富の観点を伝えるべきだ。貧困層の学生は劣等感を持たず、高所得層の学生は富をひけらかさず、見栄を張らず、自立を彼らの共通する目標にしなければならない」と提案した。(提供/人民網日本語版・翻訳/YF・編集/武藤)

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