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<コラム・巨竜を探る>中国「旅遊法」改定で日本の観光業界にチャンス、日本語学校も中国人学生確保へ懸命

八牧浩行    2013年8月31日(土) 11時20分

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中国では秋は国慶節や独身の日など消費活動が活発になる時期。これを狙って観光業者、日本語学校などが様々なキャンペーンを展開している。写真は日本の空港免税店。

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中国では秋は国慶節や独身の日など消費活動が活発になる時期。これを狙って観光業者、日本語学校などが様々なキャンペーンを展開している。

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日本政府観光局の調査によると、今年4〜6月に日本を訪れた中国人観光客は28万人と前年同期と比べ3割減った。ところが1人当たりの消費額が大きいため消費総額は558億円と国・地域別でトップ。中国人観光客の訪日1回当たりの平均消費額は19万8000円と訪日観光客数が最も多かった韓国の3倍。消費意欲の高い中国人旅行者の数が回復すればGDPの約6割を占める消費が上振れし、日本の景気にも追い風となるのは確実だ。

日本の観光業者にとって、朗報は10月から中国の「旅遊法」が改定になることだ。従来は団体ツアーの場合、ガイドによって紹介された店舗で買い物を行うのが一般的だったが、今後は旅行者が自由に店舗を選ぶことが可能になる。旅行者は旅行前に予め、ソーシャルメディアで商品や店舗の口コミ情報を確認し、EC(電子商取引)サイトで価格を調べ、旅先のリアル店舗で購入をするという流れができるという。これは中国から日本へのインバウンド事業者様にとって大きなチャンスとなる。

日本政府は、2013年に訪日外国人旅行者数1000万人を達成し、さらに2000万人を目指す計画を立案。2030年には3000万人を超えることを目標としているが、このままではかなり難しい。

今年上半期の訪日外国人観光客は円安を背景に前年同期比22.8%増の延べ495万5000人。過去5年の上半期で最多を記録した。特に増加が目立ったのは東南アジアで、タイ、ベトナム、インドネシアの3カ国は5割増に上った。一方、中国人観光客は日中関係の悪化が影響し、53万6000人で、同27%減となり唯一の減少となった。中長期的な目標の達成には、隣接し富裕層や中間層が急増している中国からの観光客をもっと呼び込むしかない。

日本にある日本語学校も、日中間の緊迫化で学生の確保が難しくなった。日本語教育振興協会によると、日本の日本語学校に今年4月に入学するため在留資格認定証明書を申請した中国人は約6500人。昨年4月より少ないが、それでも減少幅は3.4%にとどまった。観光と比べ、留学への影響は最小限にとどまったと言える。日本語学校が学生を集める地域を拡大、遼寧省など東北3省だったが、雲南省の昆明や甘粛省の蘭州、山西省の太原など各地で募集、その努力が実った格好だ。

このほか、全国各種学校日本語学校協議会では日本で日本語を学ぶ中国人学生の作文を、Record China社の日本語サイトに「日本語で綴られた純粋な心―外国人学生の作文」のタイトルで掲載するプロジェクトを進めている。日本に対する率直な感想や日本の清潔で近代的な実態を紹介することにより、来日して日本語を学びたい中国人学生を増やしたい考えだ。

政治が冷え込む中でしたたかな民間部門。尖閣諸島問題発生直後落ち込んだ日中交流だが、復活途上にあると言えよう。

<「コラム・巨竜を探る」(「巨象を探る」改題)その33>

<「コラム・巨竜を探る」はジャーナリスト八牧浩行(Record China社長・主筆)によるコラム記事。著書に「中国危機―巨大化するチャイナリスクに備えよ」(あさ出版)など>

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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