文大統領「今日の韓国の根底にはセマウル運動がある」と発言、「積弊」から評価一転

Record China    2019年11月1日(金) 21時50分

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韓国の文在寅大統領は朴正熙元大統領が提唱したセマウル運動について「今日の韓国の根底にはセマウル運動がある」と称賛した。セマウル運動は文政権下で「積弊」視されていたが、評価を一転させた。(画像は韓国大統領府Facebookアカウントより)

韓国の文在寅大統領が1970年代に始まった農村改革運動「セマウル運動」について「今日の韓国の根底にはセマウル運動がある」と称賛した。朴正熙元大統領が提唱したセマウル運動は文政権下で「積弊(長年の弊害)」視されていたが、政権が内外で多くの困難に直面する中、評価を一転させた。

セマウルは「新しい村」を意味し、農民の意識の活性化などを通じて農村の近代化、農家所得の増大、農業生産力の拡大を図ることが狙いだった。70年4月、朴槿恵前大統領の父親の朴正煕元大統領が地方長官会議で提唱し、農漁民が呼応し全国に広がった。

その後、運動の推進機構が全国的に整備され、朴正煕政権の「維新体制」を支える重要な柱となった。同政権の政治的基盤強化のための農村テコ入れという政治的側面もあり、 72年から始まった第3次5カ年計画で政府は莫大(ばくだい)な資金を農漁村開発に投入した。

聯合ニュースによると、文大統領は10月29日、ソウル郊外の水原で開かれた「全国セマウル運動指導者大会」に就任後、初めて出席。朴正熙元大統領を名指しせずにセマウル運動に言及した。

この中では「われわれが『奇跡』と呼ばれるほどの高速成長を成し遂げ、国民所得3万ドル(約330万円)の経済強国になったのは農村から都市へ、家庭から職場へ広がったセマウル運動があったため」と強調。「セマウル運動が組織内部の十分な合意と民主的な手続きを経て、(農村改革運動から)『生命・平和・恭敬運動』への大転換に乗り出したのは歓迎すべきことだ」と述べた。

さらに2013年にセマウル運動の記録物が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の記憶遺産に登録されたことや同運動を開発途上国に普及させていることを取り上げ、「今後も国際社会の責任ある中堅国として、世界が共に豊かになるよう引き続き支援していく」との方針を示した。

文大統領の発言について、中央日報は「文政権が発足してから朴正熙元大統領、朴槿恵前大統領のセマウル運動が『積弊』とされ、『セマウル』という文字をすべてなくそうとして公務員社会で騒動が広がった」と指摘。「これを考慮すると、政界では『隔世の感』という言葉が出てくる」と皮肉交じりに報じた。

文政権側でも今回の大会出席が唐突と受け止められかねないと意識していたよう。青瓦台(大統領府)の高ミン廷報道官は大会前日、「金大中大統領、盧武鉉大統領、李明博大統領、朴槿恵大統領もみんな1回ずつ出席した。セマウル運動が既存の『貧困克服』次元から『命を生かす運動』への転換を模索している状況を激励するために参加するもの」と、わざわざ説明したという。(編集/日向)

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