複数の磁石企業が日立金属を提訴=特許闘争が再燃―中国メディア

Record China    2013年8月15日(木) 0時1分

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14日、瀋陽中北通磁科技株式有限公司をはじめとする中国の希土類永久磁石企業10数社が手を結び、再び日立金属に挑戦状をたたきつけた。写真は内モンゴル自治区包頭市のレアアース採掘場。

2013年8月14日、煙台正海磁性材料株式有限公司(正海磁材)などの中国磁石企業と日本の日立金属が「337調査」(アメリカ国際貿易委員会(ITC)が1930年に可決した「関税法」第337条に基づき、外国産製品に知的財産権の侵害行為がないかどうかを調べる調査)をめぐる案件で和解合意に調印してから3カ月後の現在、瀋陽中北通磁科技株式有限公司をはじめとする中国の希土類永久磁石企業10数社が手を結び、再び日立金属に挑戦状をたたきつけた。日立金属がもつネオジム磁石の特許は無効だとして裁判を起こしたのだ。新華網が伝えた。

日立金属は世界で最も有名な希土類磁石企業。中北通磁などがこのたび特許戦争を引き起こしたことにより、中国の現在のハイエンド希土類永久磁石市場に変化が生じる可能性がある。

あるアナリストの見方によると、中国希土類永久磁石産業発展促進会が関与して今回の訴訟が提起されたことにより、可能性として次の2つの結果が考えられる。一つは、日立金属の新型ネオジム磁石の特許が無効になること。もう一つは、正海磁材との和解と同じように、日中双方が和解し、日立金属が中北通磁などに特許を授与し、中北通磁などがハイエンド磁石市場に進出すること、だ。

中北通磁などがハイエンド磁石市場に進出したなら、北京中科三環高技術株式有限公司といった既存の永久磁石企業はさらに多くのライバルの挑戦を受けることになる。

▽関連機関が特許訴訟の資料を提供

中北通磁の孫宝玉(スン・バオユー)董事長(会長)が9日に行われた第5回包頭レアアースフォーラムで述べたところによると、関連企業と手を結んで、日立金属の2003年に期限切れとなったネオジム磁石の特許をめぐる訴訟を提起した。現在、原告には企業8社が名を連ね、さらに2社が増える見込みだ。(訴訟費用として)1社あたり1000万元(約1億6000万円)を拠出し、中国と米国の2カ所で訴訟を提起したという。

実際のところ、2013年7月11日、山西磁材連盟が発足したことを受けて、複数の磁石工場が集まって遼寧省瀋陽市で中国希土類永久磁石産業発展促進会(仮名称)の発足大会を開催した。大会での話し合いにより、ネオジム希土類永久磁石をめぐる国内特許案件チームと国際特許案件チームが発足。また大会は中北通磁を会長機関として選出した。同機関は年内にも今回の特許訴訟に関連した資料を提供するとみられる。

同会が主体的に「事を起こした」ことから、人々は一年前の「337調査」を連想した。2012年8月、ITCは日立金属の要求に基づき、中国、米国、ドイツ、オーストリアなどの企業29社に対して337調査を発動した。調査の内容は、29社が米国市場に輸出する一連の製品が、日立が米国市場で販売するネオジム系焼結磁石(レアアース新材料の一種)の特許を侵害しているというもので、中国企業は正海磁材など4社が被告となり問題となった。2013年5月、この案件は最終的に和解で幕を閉じた。正海磁材などの中国企業3社は日立金属に費用を支払い、これと引き換えに特許を授与され、米国市場への輸出ルートを手に入れた。

孫董事長によると、この案件が最終的に和解したことから、ネオジム系焼結磁石の特許は認定そのものに問題やすきがあったことがわかるという。

▽特許授与された8社には打撃?

日立金属は1983年に米国のゼネラル・エレクトリック(GE)とネオジム系の新型永久磁石技術を研究開発し、これにより希土類永久磁石は第3世代に入った。この新型永久磁石は現在最も広く応用されている永久磁石でもある。2003年にはその基本成分の発明特許が期限を迎えたが、日立金属は技術特許を出願するなどの方法で、特許の有効期限を2014年かそれ以上に延ばしている。

孫董事長によると、日立金属の発明特許は2003年に期限を迎えており、新たに技術特許を出願したのは、貿易障壁を構築して、特許を授与していない企業を市場から閉め出すのが狙いだという。

特許には発明、実用新案、意匠の3種類がある。技術特許は実用新案特許の一種で、特許を保護する力は比較的弱い。

ある業界関係者によると、同会がこのたび自ら戦争を仕掛けたのは、致し方ない部分もあるという。

中国には希土類永久磁石を生産する企業が約200社ある。うち日立金属から特許を授与された中国企業は、上場企業の中科三環、安泰科技株式有限公司、寧波(ニンポー)韻昇株式有限公司と正海磁材など8社にとどまる。2012年の中国希土類永久磁石企業の生産能力の平均利用率はわずか30%ほどで、多くの企業がミドルエンド・ローエンド市場での愚直な戦いでコスト割れになり、生産を停止するなか、この8社は着々と利益を上げていた。

孫董事長によると、日立金属は特許授与方式によってハイエンド市場の価格をコントロールしており、これが中国の8社が利益を上げられた大きな理由だという。(提供/人民網日本語版・翻訳/KS・編集/武藤)

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