<コラム>今年も勢ぞろい、第7回「中国の夢」主題新創作歌曲

岩田宇伯    2019年11月2日(土) 21時20分

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「中国の夢」主題新創作歌曲が勢ぞろいしている。

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●憶えていますか?「中国の夢」主題新創作歌曲

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以前、こちらのコラムに寄稿した『名曲揃い!「中国の夢」主題新創作歌曲に洗脳されてしまった!』を憶えておいでだろうか?中国政府が掲げる政策「中国の夢」をテーマとした一連のキャンペーンソングに関してああだこうだとレポートしたコラムだ。おさらいすると、習近平主席就任以来「中国の夢」というキーワードのもと、毎年キャンペーンソングが選定され、ここ数年は公共CMの一環としてテレビでMVがヘビーローテーションされているというレポートと、代表的な曲紹介をしたものだ。相変わらず、筆者はイチオシの平安(アンソン・ピン)と喩越越の、バラードなのに暑苦しいデュエット曲『信仰』を思い出したように週1度は聴いている。公共CMでもいまだに放映されている名曲だ。この『信仰』をTwitterで紹介したら香港系のフォロワーに「ugly and evil」とリプライされてしまった(笑)。それほどインパクトのあるデュエット曲なのだ。(画像1 信仰MVより)

●建国70周年、国慶節をターゲットにぞくぞく発表

前回のコラムのタイトル通り、数々の名曲に洗脳されてしまった筆者は、本年度の第7回「中国の夢」主題新創作歌曲が出そろうのをまだか?まだか?と待ちわびて春と夏を過ごした。ようやく8月半ば、20曲におよぶ 第7回「中国の夢」主題新創作歌曲がプレスリリースされた。ところが、プレスリリースはあったものの肝心のMVがなかなか 発表されない。中国の動画サイトを検索しても、歌謡番組や政治番組から切り取ったものばかり。8月末の時点ではほとんどMVは完成していなかった。20曲のうち5曲ほどであっただろうか。

曲のタイトルを見る限り『脱貧宣言』『我們都是追夢人』『復興的力量』『我奮闘我幸福』『和祖国在一起』とパワーワード盛り盛りの、タイトルだけで音が聴こえてきそうなラインナップ。昔、レコードのジャケット買いという、視聴なしでアルバムジャケットのアートワークのみで購入判断するという買い方があったが、こちらはタイトル買いだ。激アツなタイトルであればあるほど期待が膨らむ。

ようやくMVが出そろったのは国慶節の10月1日を10日後に控えた9月20日ごろ。さっそく中央電視台のサイトにアクセスしMVを聴きまくった。(画像2 プレスリリースより)

●相変わらず大スター、人気アイドルも登場

2019年10月1日、建国70周年を祝う国慶節の一般パレードにて、ダンスパフォーマンスの一群のテーマ曲が今回「中国の夢」主題新創作歌曲に選出された『我們都是追夢人』であったことに気づいた。建国70年、さらなる発展を願う場にふさわしい選曲だ。

この『我們都是追夢人』、今年初め春節の大みそか番組で人気スターが歌い、多くの人が知ることとなった。MVも8月末にはリリースされ、出演しているスターのラインナップに驚愕。TF-BOYS、吳磊、朱一龍、楊紫、李易峰、周冬雨といった若手アイドルはもちろん、鍾漢良、陳偉霆、ダン・ルン(●倫=●は登におおざと)、江疏影、景甜、秦嵐、ディルラバといったドラマやバラエティーショーでおなじみの顔ぶれが勢ぞろい。アフリカの飢餓と貧困を救うため、スティービー・ワンダーやビリー・ジョエルといった大物シンガーが多数参加したプロジェクト「USA for Africa」の『We Are The World 』(1985)中国版ともいえる豪華キャスト。(画像3 『我們都是追夢人』MVより)

また、120bpmとゆったり踊れるテンポのため、さっそく広場舞やフラッシュモブに使う人たちが出てきた。フラッシュモブは共青団が積極的に展開しているようだ。(画像4 広場舞教学ビデオより)

●今回の激アツオススメ曲

今回もどの曲を推そうか非常に迷う。上記の豪華スター共演『我們都是追夢人』をはじめとし、CCTVの「中国の夢」主題新創作歌曲公式サイトにて、音声のみ早送りで映像とズレているMVがいまだに放置されている『乗風波浪再出発』、軍歌そのものではないかと思えるメロディーとリズムの『復興的力量』など個性あふれる歌曲が20もあるので迷ってしまう。そこで、もっとも中国らしいと感じた歌および別の大スターが共演の歌を推してみたいと思う。

まずはパーフェクトシノワズリ歌曲『領航新征程』。『領航新征程』とは日本語にすると「新しい旅の水先案内」、習近平改革次のステージを意味する。中国風や民族風のメロディーを採り入れた「中国の夢」主題新創作歌曲は数多くあるが、この『領航新征程』は突出している。ベテランっぽい歌手がレコーディングスタジオでマイクに向かうシーンからMVはスタートするのでフツーの歌かと思いきや、4人のボーカルはすべて有名京劇役者。京劇の発声法で歌いつつ、サビの部分で京劇風な大見得を切ったりするのだが、京劇衣装ではなく、スーツやドレスなので激しく違和感があるため、そこが気に入ってしまった、「ギャップ萌え」というやつだ。歌舞伎や能をスーツやドレスで演じる風景を想像してみれば、そのギャップは理解できるだろう。京劇ボーカルといえば中国のメロデス/フォークメタルバンド「黒麒(Black Kirin)」がアルバム『哀郢』で採用したが、ステージではどのような衣装だったか気になるところだ。(画像5 『領航新征程』MVより)

もう1曲、豪華メンバーによる作品を推してみたい。『脱貧宣言』ではいままで政府のキャンペーンソングを歌ってきた大物ベテラン歌手が勢ぞろい。こちらも『我們都是追夢人』同様『We Are The World』のようなものだが、貧困対策がテーマという点ではより一層「USA for Africa」の精神に近いと思われる、ただ、対象はアフリカではなく中国国内だが。とくに注目したい点はセンターが日本でも皆さんおなじみ香港のジャッキー・チェンということ。ついに中国政府キャンペーンソングの顔にまで上り詰めた。ジャッキー・チェン隣の女性センターは『信仰』ほか多数の激アツキャンペーンソングを担当してきた武警歌手の喩越越だ。これを見た香港人からしたらやはり冒頭で紹介したように「Ugly and Evil」と思われてしまうのであろうか?(画像6 『脱貧宣言』MVより)

しかし、世界共通言語ともいわれる音楽そのものに罪悪はないはず。ここはひとつ素直な気持ちで「中国の夢」主題新創作歌曲を聴いてみようではないか。MVはCCTVに過去作品を含めまとめた公式サイトがあるので、そちらでご覧いただきたいと思う。きっとお気に入りの曲が見つかるはずだ。

■筆者プロフィール:岩田宇伯

1963年生まれ。景徳鎮と姉妹都市の愛知県瀬戸市在住。前職は社内SE、IT企画、IT基盤の整備を長年にわたり担当。中国出張中に出会った抗日ドラマの魅力にハマり、我流の中国語学習の教材として抗日作品をはじめとする中国ドラマを鑑賞。趣味としてブログを数年書き溜めた結果、出版社の目に留まり『中国抗日ドラマ読本』を上梓。なぜか日本よりも中国で話題となり本人も困惑。ブログ、ツイッターで中国ドラマやその周辺に関する情報を発信中。

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