<直言!日本と世界の未来>訪日韓国人が半減、日本の観光地から悲鳴=一刻も早い関係修復を―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2019年9月22日(日) 12時10分

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日韓関係の悪化による観光への打撃が深刻化し、8月の韓国人訪日客は前年同月と比べて48%も減少した。九州から北海道まで多くの観光地から悲鳴が上がっている。写真は別府温泉「血の池地獄」

日韓関係の悪化による観光への打撃が深刻化し、8月の韓国人訪日客は30万8700人に前年とどまり、前月と比べて48%も減少した。九州から北海道まで多くの観光地から悲鳴が上がっているようだ。 

韓国人訪日客の半減は、長期化する日韓関係悪化が影響しており、減少幅は東日本大震災後の2011年5月以来の大きさ。訪日客全体も2.2%減の252万100人と、台風による関西国際空港の一時閉鎖や北海道地震の影響があった昨年9月以来、11カ月ぶりに減少したという。

訪日外国人客は日本の数少ない経済成長戦略の一つ。2018年の訪日客は3119万人で、そのうち韓国からは753万人と24%を占めた。政府は、東京五輪・パラリンピックが開かれる2020年に訪日客を4000万人にする目標を掲げているが、目標達成に黄色信号が灯りつつあるようだ。

日本政府が7月初めに半導体材料の対韓輸出規制を強化して以来、韓国国内で対日世論が硬化。韓国からの訪日客は、団体客を中心に始まった訪日旅行を控える動きが8月に入り個人客にも広がり、減少が加速している。

日韓を結ぶ航空便を運航している航空会社が相次いで減便や運休を決めており、減少は今後も続く懸念される。国土交通省によると、7月まで国内26都市に週約1200往復便を運航していた韓国の航空8社は、これまでに約3割に当たる369便の減便または運休を決定。韓国からの旅行者は今後も減少が続くとみられる。日本の航空会社も大きな打撃を受けており、減便や運休も出始めた。

韓国に近い九州や中国地方をはじめ日本の観光地が大打撃を受けているのは言うまでもない。大分県の8月の韓国人宿泊客は67%も減ったという。長崎県対馬や大分県別府などではホテル、旅館、土産業者の多くが窮状を訴えていると聞く。政治的な対立が経済や国民生活にまで波及しており、日本製品の不買運動が生じて対韓輸出が急落し、企業経営にも悪影響が出ているようだ。民間の文化交流にも影を落としているというから事態は深刻である。

政治的な齟齬があっても、引っ越しできない隣国同士、一刻も早く関係を修復させてほしい。長らく途絶えている首脳会談の再開が待たれる。

<直言篇98>

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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