Record China 2013年7月5日(金) 1時30分
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中国に進出する日本企業が製造業からサービス業へシフトしつつある中、ローカル企業との競争で生き残っていくためには、彼らには決してマネのできないモノやサービスを提供する必要がある。写真は2004年6月、中国南方航空で研修を受ける日本人の客室乗務員たち。
日本では最近、ミャンマーやカンボジアなど東南アジアの新興国が注目されているが、実はその間にも中国に進出する日本企業は増加し、中国でビジネスをする日本人も増え続けている。
以前は「世界の工場」と呼ばれ、世界市場に向けた生産基地としての役割を担っていた中国。しかし、人民元高や物価の上昇、人件費の高騰などにより、生産拠点としての競争力は低下した。その代わり、国民所得の上昇によって、地球上に残された最大かつ最後の巨大市場として、存在感がますます増してきた。中国に進出する日本企業も製造業からサービス業へ、大企業から中小企業へと裾野が広がってきている。
ただ、巨大市場を狙っているのは地元・中国企業も同じだ。特に、節操のない一部企業は、良いモノやサービスを見つけるとすぐにマネをして、本家よりも安い値段で提供を始める。こうしたローカル企業との競争で生き残っていくためには、彼らとの差別化を図り、彼らには決してマネのできないモノやサービスを提供する必要がある。
中国の人たちにマネのできないことは何か?
これは私が中国で起業してから12年間、ずっと考え続けてきたことだ。そしてたどり着いたのは、「サービス精神」「生真面目さ」「完璧主義」「チームワーク」など、日本人なら誰でもが持っているはずの特長だった。
こうした特性は、中国の人たちには簡単にマネができない。例えできたとしても、中国の人たちが「面倒臭くて、そんなことまでやってられるか!」と思うレベルまで高めればいい。日本人が中国市場で自らを差別化し、活躍する余地はまだまだ残されているのではないかと思う。
「サービス精神」「生真面目さ」「完璧主義」「チームワーク」。日本では当たり前すぎて武器にはならないような要素でも、中国市場ではがぜん輝きを放ち始め、差別化をするための強力な武器となるだろう。
日本の国力の源泉は技術でも金融資産でもなく、国民そのものだ。そういった意味でも今後、より多くの日本人が中国をはじめとする海外に出て、自身の特長を生かした仕事をすれば、世界の富を日本に還流させることができるのではないか、と私は思う。
■筆者プロフィール:柳田 洋
永豊有限公司 総経理
1966年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、丸紅で石炭貿易に従事。1996年より5年半にわたり丸紅北京支店に駐在するも、起業の志捨て難く、2001年丸紅を退社。そのまま北京に留まり駐在員事務所代行サービス会社を設立。その後、クロネコヤマトの海外引越代理店として物流事業を立ち上げる。現在は中国での会社経営経験を生かし、中国で積極展開しようとしている日本企業の社員を対象に、講演・助言などのサポート活動を行う。著書に「起業するなら中国へ行こう!」(PHP新書)。
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