<コラム>河北省の博物館で珍事件発生?!アニメ原画展で青山剛昌先生の経歴がとんでもないことに!!

関上武司    2019年6月13日(木) 17時20分

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河北省の省都・石家庄市の河北博物院でたまたま目撃したアニメ原画展の様子となかなか見られない学芸員のユニークなミスをご報告したい。

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かつて毛沢東は唯武器論(ゆいぶきろん)で戦争では武器の豊富さも重要だが、それよりも重要なのは人間であると述べている。この論を博物館の状況に当てはめてみると、博物館では展示物の豊富さも重要だが、重要なのは学芸員ということになるだろう。今回は河北省の省都・石家庄市の河北博物院でたまたま目撃したアニメ原画展の様子となかなか見られない学芸員のユニークなミスをご報告したい。

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河北博物院は1952年に河北省保定市に建設され、1982年に石家庄市に移設。写真1を見ればわかるが、さすがに巨大な博物館で、入館無料ということもあり、休日の早朝ともなると入口は長蛇の列になる。展示品については思わず唸らせる戦国時代の出土品もあり、展示されている立派なナウマン象の化石(写真2)を見ると学芸員の真面目な仕事ぶりが窺える。

河北博物院の2階で「漫遊奇境 動漫原画特展」というアニメ原画を展示する特別展示が開催されていた。内部ではディズニー作品や日本のアニメ作品の原画が並べられ、写真3のようにアニメとは数枚の原画が重なっていると説明するインスタレーションもあり、展示内容は非常に有意義だと感じたのだが…。日本のアニメ作品の作者名に注目すると、ありえない間違いが連続して発生していた。

写真4は『名探偵コナン』のアニメ原画だが、写真5に注目すると『名探偵コナン』の紹介が「1984年 Tetsuo Hara」と表記されていた。写真6は『北斗の拳』の原画だが、写真7の作品紹介のプレートには作者が「Gosho Aoyama」となっており、『名探偵コナン』の作者の青山剛昌と『北斗の拳』の作画の原哲夫がなぜか誤表記で入れ違っていた。2人とも中国でも有名な漫画家なので、アルファベットではなく、簡体字で作者名が表記されていれば学芸員の誰かはミスに気付いたのかもしれない。

当然、作品と作者の名前が正確に表記された日本のアニメ作品も紹介されていたのだが、写真8の『鉄腕アトム』、写真9の『らんま1/2』も作者が「Gosho Aoyama」と誤表記されており、筆者も書籍やこのような記事の執筆の際には校正作業の重要さを思い知らされることになる。筆者が知る限り、日本の博物館で勤務する学芸員の資格試験はかなり難しく狭い門であり、多忙な業務とのことだ。中国の学芸員もそれほど大差はないと考えられ、今回の誤表記は多忙な業務の中で発生したうっかりミスの可能性大だ。

中国のアニメ産業は長年、日本産アニメ制作の下請けをしていた実績もあり、近年は急成長を遂げている。日本の博物館や美術館でも中国やアジア各国のアニメ原画展を開催しても面白いのではないだろうか?(すでに開催されていても筆者が知らないだけの可能性もあるが)。

■筆者プロフィール:関上武司

1977年の愛知県生まれ。愛知大学経営学部卒。中国で留学や駐在員としての勤務経験あり。日本や中国のB級スポットを紹介するブログ・軟体レポートの管理人。中国遊園地の取材で中国の全省、全自治区、全直轄市へ訪問。会社員の傍ら、「中国遊園地大図鑑」シリーズを執筆し、メールマガジンのロードサイダーズ・ウィークリーにて「ROADSIDE CHINA 中国珍奇遊園地紀行」を連載中。このほかイベントも開催している。

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