<コラム>中国政府発表「米中経済貿易協議についての中国側の立場について」(全訳)

如月隼人    2019年6月10日(月) 12時30分

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中国政府は2日、「中米経済貿易協議についての中国側の立場について」と題する白書を発表した。米中経済摩擦については日本でも連日報道されているが、「中国の生の声」を知る機会は少ないように思える。そこで、白書全文を日本語訳した。資料写真。

中国政府は2日、「中米経済貿易協議についての中国側の立場について」と題する白書を発表した。米中経済摩擦については日本でも連日伝えられているが、米国側からの情報に関連する報道が多い。また、日本国内の報道である以上、日本のメディアの見方が基調であることは避けられない。しかし「中国の生の声」を知ることも必要と考え、白書全文を日本語訳した。ただし原文では、主張の根拠として取り上げた中国内外での発表の出典(参照先)が数多く添えられているが、本日本語訳では割愛した。

なお、中国政府が発表した文章である関係で、本文中では両国を併記する場合に「中美(=中米)」の書き方をしているが、日本での習慣を考え、本訳出では「米中」で統一した。読みやすくするため改行を追加した。また、日本人読者の理解に役立つと思われる追加は、( )に記入した。日本人読者に分かりにくいと思われる比喩表現は、適宜、変更した。

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【はじめに】

米中貿易関係は両国関係の安定のための重しであり、両国国民の根本的利益にかかわっており、世界の繁栄と安定に関わっている。両国は国交樹立以来、二カ国間の経済貿易関係を発展させ続け、協力分野を不断に開拓し、協力レベルを不断に向上させ、高度の補完性と、利益を融合させる互恵・ウィンウィンの関係を形成してきた。このことにより、両国が利益を得ただけでなく、全世界に恩恵が及んだ。

両国は発展段階と経済制度が異なるため、経済貿易の協力において対立と摩擦が発生することは避けられない。米中の経済貿易の歴史過程の中では、曲折が出現し困難な局面に直面することも多かった。しかし両国は理性と協力的な態度にもとづき、対話と交渉を通じて問題を解決し、矛盾を解消させ対立を縮小してきた。両国の経済貿易関係は成熟へと向かって行った。

(しかし)米国は2017年の新政権発足以来、追加関税などの手段で威嚇することで、主要な貿易相手との経済貿易摩擦を繰り返してきた。中国は2018年3月以来、米国政府が一方的に貿易摩擦を起こしたことに対して、国家と国民の利益を断固として守るための有効な対応措置を取らざるを得なくなった。中国の態度は一貫しており明確だ。米中は和すれば互いに利があり、戦えば共に傷を負う。協力こそが、双方にとっての唯一の正しい選択だ、両国の経済貿易の対立と摩擦について、中国は協力という方式で解決し、互恵・ウィンウィンの合意を推進することを望んだ。

しかし、協力には大原則がある。交渉には譲れない線がある。重大な原則問題で、中国は絶対に譲歩しない。中国は貿易戦争を望まないが、戦いを恐れるものでもない。必要な時には戦わざるを得ない。これは、中国の一貫して不変の態度だ。

米中経済貿易協議の基本的情況を全面的に紹介し、米中経済貿易協議についての中国の政策立場を記述するために、中国政府はこの白書を発表することにした。

【一】米国が対中経済貿易摩擦を引き起こしたことは、両国と全世界の利益を損ねた

現在の米国政権は「米国優先」政策を信奉し、一連の一国主義と保護主義の対外措置を採用している。ともすれば関税という「こん棒」を使い、自らの利益追求のために他国を圧迫している。米国は長年に渡り封印してきた「201条調査」「232条調査」という手段を発動して主要な貿易相手それぞれに手を出し、全世界の経済貿易体制を攪乱(かくらん)した。

米国は中国にも矛先を向け、2017年に8月には一国主義の色彩が濃厚な「301条調査」を始動した。米国は、中国がたゆまぬ努力を通じて、長年に渡り知的財産権の保護を強化し、外資のビジネス環境の改善を行ってきた大きな実績を無視し、中国に対して多くの客観的でないマイナス評価を下し、追加関税を実施し投資を制限するなどの経済貿易についての制限措置を取ることで、米中経済貿易摩擦を引き起こした。

米国は米中の経済構造や、発展段階、国際産業の分業という現実を無視し、中国が不公平で不平等な貿易政策を取っていることが米国の対中貿易の赤字を導き、貿易において「損をさせられている」との認識にこだわり、中国に対して一方的に追加関税の措置を取った。

現実を見れば、経済のグローバル化の時代にあって、米中両国の経済は高度に融合し、共に完成された産業チェーンを形成している。両国経済は骨と筋肉が結びついているのと同様に、互恵・ウィンウィンの関係にある。貿易赤字で「損をさせられている」というのは「ソロバンのはじき間違い」であり、米国が中国に対して行った貿易の制限措置は、中国にとって不利益をもたらすだけでなく、米国にとっても不利益であり、全世界に対してはなおさら不利益をもたらす。

(1)米国の追加関税措置は他者を傷つけるだけでなく、自らに不利益をもたらす

米国政府が中国からの輸入品に追加関税を課し、両国間の貿易と投資の協力を妨害したことは、両国及び全世界の市場の(先行き)信頼感と経済の安定した歩みに悪影響を与える。米国の関税措置により、中国の対米輸出額は下落した。2019年1-4月では前年同期比9.7%の下落で、5カ月連続の下落となった。同時に、米国の増税措置に対して中国が追加関税で対応せざるをえなくなった結果、米国の対中輸出は8カ月連続で下落した。

米中経済貿易摩擦がもたらした不確実性は、両国企業に対して投資分野での「様子見」をもたらした。中国からの対米投資は連続して下落し、米国の対中投資も明らかに減速した。中国側の統計によれば、2018年における中国からの対米直接投資は前年比10%減の57億9000万ドルだった。米国の実行ベース対中投資は2017年には11%増だったが、18年には1.5%増と大幅に減速して26億9000万ドルにとどまった。WTOは米中経済摩擦の先行きが不透明だとして2019年の全世界における貿易の成長を、(それまでの)3.7%から2.6%に下方修正した。

(2)貿易戦争はいわゆる「米国が再び偉大になる」状況をもたらさない

追加関税は米国の経済成長を促進しないだけでなく、かえって深刻な損害をもたらす。

第1点としては、米国企業の生産コストが上昇することがある。米中の製造業は相互依存性が非常に高く、米国の製造業者の多くは中国の原料や中間製品に依存している。米国企業が短期間で適切な代替サプライヤーを見つけることは困難であり、追加関税のもたらすコストを負担するしかない。

次に、追加関税は米国の国内物価を引き上げる。中国から輸入される安価で良質な消費品は、米国がインフレ率を長期に渡り低い水準に維持できた重要な要因の一つだった。追加関税が実施された後は、中国製品の最終販売価格は上昇することになり、事実上は米国の消費者が関税分のコストを負担することになる。米国小売協会の研究結果では、中国製家具に25%の関税を課すだけで、米国の消費者は1年当たり46億ドルの追加支出を強いられることが明らかになった

第3点として、追加関税は米国の経済成長と民生に悪影響を与える。

全米商工会議所と(調査会社の)ロジウム・グループが2019年3月に共同で発表したリポートによると、米中経済摩擦の影響により2019年とその後の4年間は、米国のGDPはその0.3%-0.5%に相当する640億-910億ドル減少する。もしも米国が中国からの輸入品すべてに25%の追加関税を課せば、将来10年間で米国のGDPは累計1兆ドル減少する。米データバンクのトレード・パートナーシップが2019年2月に発表した研究報告によれば、もし米国が中国からの輸入品すべてに25%の追加関税を課せば、米国のGDPは1.01%減少し、216万人分の雇用が失われる。4人家族の場合、年間の支出は2294ドル増加する。

第4点としては、(貿易戦争は)米国の対中輸出を阻害する。(中国ビジネスを手掛ける米国企業を会員とするNGOの)米中貿易全国委員会(米中貿易評議会)が2019年5月1日に発表した「州別対中輸出リポート-2019年」によれば、2009年から18年までの10年間で、米国では対中輸出に支えられて、110万人分以上の雇用が創出されるなど、中国市場は米国経済にとって極めて重要だ。この10年間を通じて、全米48州で対中貨物輸出が増加し、うち44州では2ケタ台の成長だった。しかし米中貿易摩擦が激化した2018年には、米国で対中貨物輸出が増加した州は16州に留まり、34州では対中貿易輸出が減少した。うち24州は2ケタ台の減少だった。最も損害が大きかったのは中西部の農業州だった。関税の影響を受け、米国の農産物の対中輸出は前年比で33.1%減少した。うち、大豆は50%近い減少だった。米国の関連業界は、40年近くをかけて開拓してきた中国市場を今後失ってしまうと憂慮している。

(3)米国の貿易における「痛めつけ」のしわ寄せは全世界に及ぶ

経済のグローバル化は阻止することのできない時代の潮流であり、自らの問題を他者に転嫁する一国主義や保護主義は人心を得ることができない。米国が採用した一連の貿易保護措置は、世界貿易機関(WTO)の規則に違反しており、多国間貿易体制を傷つけ、全世界の産業チェーンとサプライチェーンを深刻に阻害する。市場の信頼感は損なわれ、全世界の経済回復にとって厳しい試練を突き付ける。経済のグローバル化の潮流にとっても重大な脅威をもたらす。

 (米国の措置は)まず、多国間貿易体制の権威を傷つける。米国は国内法の「(通商法)201(条)」「232」「301」などを発動することにより、一連の一方的な調査を行い、追加関税の措置を取った。これはWTOの最も基本であり最も核心である最恵国待遇と関税の制限などの規則に対する重大な違反だ。この種の一国主義、保護主義の行為は、中国とその他のWTOメンバーの利益を損ねるだけでなく、WTOとWTOが有する争議解決のメカニズムの権威をひどく損ね、多国間貿易体制と国際貿易の秩序を危機に直面させる。

次に(米国の措置は)全世界の経済成長の脅威となる。世界経済は今なお、(2007年に発生した)国際金融危機の影響から完全には抜け出せないでいる。米国政府が経済と貿易の摩擦をエスカレートさせ、関税を引き上げたことで、関連する国は対抗措置を取らざるを得なくなった。そのことが、世界規模で経済と貿易の秩序を混乱させ、世界経済の復活を妨害する。そして各国の企業の発展と人々の幸せがしわ寄せを受け、世界経済を「衰退のワナ」に陥らせる。

世界銀行は2019年に発表した「世界経済の見通し」で、2019年の全世界の経済成長をさらに引き下げて2.9%とした。主要な下行リスクの一つとされたのは貿易関係の緊張継続だ。国際通貨基金(IMF)は2019年4月に発表した「世界経済見通し」で、同年の全世界の経済成長率を18年時点の予測だった3.6%から3.3%に引き下げた。同リポートは、経済貿易摩擦が世界経済の成長をさらに抑制し、すでに力強さを失っている投資をさらに弱体化させていくだろうとの見方を示した。

(米国の措置は)3点目として、全世界の産業チェーンとサプライチェーンを混乱させる。米中両国はいずれも、全世界における産業チェーンとサプライチェーンの要(かなめ)だ。中国から米国に輸出される最終製品には、他国から(中国に)輸入された大量の半製品と部品が使われている。米国が中国からの輸入品に追加関税をかけることで、米国企業を含む中国企業と協力している多くの多国籍企業も損害を受けることになる。

追加関税措置は、サプライチェーンのコストを人為的に増加させ、サプライチェーンの安定と安全に悪影響をもたらす。一部企業はサプライチェーンの地球規模の配置を調整せざるを得なくなり、全世界における最も良好な資源配置は実現が不可能になる。

米国の最近の対中関税措置は、問題を解決できないだけでなく、各方面の利益をさらに損ねることになると予見でき、中国は断固として反対する。米国政府は最近になり、いわゆる国家安全という「根も葉もない」名目により、華為(HUAWEI、ファーウェイ)など多くの中国企業に対して「(他国での行為に対して自国国内法を適用する)ロングアーム管轄」による制裁を次々に科している。中国は同様に、断固として反対する。

【二】米国は米中経済貿易協議で前言を翻し、誠実さを示さず

米国が経済貿易摩擦を引き起こしたことで、中国は対抗措置を取らざるを得なくなり、両国の貿易・投資関係が悪影響を受けた。両国はそれぞれ自国国民に幸せをもたらすことと、それぞれ経済を発展させることを必要としており、交渉のテーブルに着き、協議することで問題を解決する必要があると判断した。2018年2月の開始以来、協議は大きな進展を得ることができ、両国は内容の大部分で合意した。しかし協議はその過程で、何度も曲折に遭遇した。いずれも、米国が合意事項に対して前言を翻したという、誠実さの欠如によるものだった。

(1)1回目の前言翻し

中国は(貿易摩擦が発生した)最初の段階から、米中貿易摩擦は交渉と協議で解決すべきだと主張した。米国政府は2018年2月、中国がハイレベル代表団を米国に派遣して、経済貿易について協議することを要望した。中国は最大限の誠意を示し、積極的に努力した。米国側と開催した数回のハイレベル経済貿易協議での重点は貿易の不均衡問題だった。双方は深く突っ込んだ意見を交換し、中国が米国からの農産物とエネルギー産品の輸入を拡大することで初歩的な合意達成という重大な進展を得ることができた。しかし米国政府は2018年3月22日、いわゆる対中「301調査」のリポートを持ち出し、「知的財産権の窃盗」「技術の強制移転」を理由に中国を不当に非難し、500億ドル分の中国からの輸入商品に25%の追加関税を課すと宣言した。

(2)2回目の前言翻し

中国政府は両国関係の大局を重んじ、改めて作業団を米国に派遣して交渉を真剣に進めた。米中は2018年5月19日、共同声明を発表した。同声明には「双方は貿易戦争を行わない」ことで合意を達成し、ハイレベルの意思疎通を維持し、それぞれが関心を持つ経済貿易問題の解決を積極的に模索するとの内容が盛り込まれていた。米国は、対中追加関税の計画を暫時ストップするとも公表した。

米国政府は合意達成の10日後の2018年5月29日、自国のビジネス界と多くの国民の反対を無視し、中国の経済体制と貿易政策を理不尽に非難し、追加関税の計画を推進し続けると宣言した。米国は2018年7月以降、3回に分けて関税策を発動した。まず、500億ドル分の中国からの輸入商品に対して25%の追加関税を課し、次に2000億ドル分の中国からの輸入商品に10%の追加関税を課した上で、2019年1月1日からは税率を25%に引き上げると宣言した。米国はさらに、中国からの残りのすべての商品にも追加関税を課すと威嚇した。これらにより、両国間の経済貿易摩擦は加速・エスカレートすることになった。中国は国家の尊厳と国民の利益を防衛するためにやむを得ず、米国からの中国への輸出商品計1000億ドル分に追加関税を課すと必要な対応をした。

(3)3回目の前言翻し

米国のトランプ大統領は2018年11月1日、中国の習近平国家主席と電話で対話し、トップ会談を行うことを提案した。米中両国の指導者は12月1日、アルゼンチンで行われたG20サミットの期間中に会談を行い、互いに新たな追加関税の発動はしないこと、90日内に頻度を高めて協議を行うこと、すべての追加関税を撤廃することを目指して努力することなど、双方の経済貿易問題について重要な合意を達成した。その後の90日間、米中のチームは北京とワシントンで3ラウンドのハイレベル協議を行い、米中経済貿易合意の原則的内容で多くの初歩的な合意を得た。

米国側は2019年2月25日になり、3月1日に発動する予定だった中国からの2000億ドル分の商品に対する関税引き上げを延期すると発表した。双方のチームは3月末から4月末の間に3ラウンドのハイレベル協議を行い、実質的な進展を得た。繰り返し行った協議により、両国は大部分の問題について一致した。中国政府は残された問題について、双方が相手を理解し譲歩しあうことで、対立点を解消する方法を共に模索しようと提案した。

ところが米国政府は「得寸進尺(1寸を得られれば1尺を進む=次から次に要求をエスカレートさせる)」(方針)で、(中国を)いたぶり極限まで圧力をかける手段で、不合理な高い要求を堅持し、経済摩擦発生以来の関税をすべて撤廃しないことを堅持し、合意書に中国側の主権施行ついての強制的な要求を盛り込むことを堅持した。その結果、残っていた対立点のすり合わせが遅々として進まなくなった。

米国は2019年5月6日、無責任にも中国が立場を「後退させた」と非難し、交渉がまとまらない責任を中国にかぶせようとした。さらに、中国が断固として反対するにも関わらず、5月10日から中国からの2000億ドル分の輸入商品に対して、追加関税率をそれまでの10%から25%に引き上げた。このことで米中経済協議に深刻な挫折が生じた。米国は5月13日、中国から輸入される残りの3000億ドル分の商品についての追加関税の手続きを開始すると宣言した。

これらの挙動は米中両国の指導者による、交渉を通じて摩擦を解消するとの合意に背反し、両国と世界の人々の期待に背反し、2カ国間の経済貿易交渉と世界経済の成長の見通しに影を投げかけた。中国はやむを得ず、追加関税の措置で対応することにした。

(4)米中経済協議の深刻な挫折の責任は完全に米国政府側にある

米国政府が中国のことを交渉において「後戻りした」と非難するのは、完全に根も葉もない暴論だ。双方がまだ交渉を進めている過程において、文書の内容や関連する記述について意見を出して調整するのは、商取引の交渉における通常のやり方だ。米国政府はそれまでの10ラウンドに渡る交渉中、調整することを絶えず求めてきた。思うがままに中国側を「後退した」と非難するのは無責任だ。

歴史の経験は、相手に汚い水を浴びせかけたり、テーブルを叩き壊したり、極限までの圧力をかけるなどの手段で達成された合意は、双方の協力関係を破壊し、歴史的なチャンスを失うことになるだけと証明している。

君子の国とは、まず礼を尽くしたうえで、どうしようもない場合にだけ兵を動かすものだ。米国が関税による新たな威嚇を行った後、国際社会は広く、中国側が訪米して協議を行う計画を取り消す可能性が高いと憂慮し、米中経済貿易協議の行方についての関心が高まった。

中国は米中経済貿易関係の維持という大局を原点として、理性と自制の態度を維持し、それまでの取り決め通りに2019年5月9日から10日までハイレベル代表団を米国に派遣し、第11ラウンド経済貿易協議を実行した。中国は、米国と対話を通じて経済貿易の対立点を解決する最大限の誠意と責任ある態度を示した。米中双方は、率直で建設的な交流を行い、対立点をコントロールすることに努め、協議推進を継続することで同意した。中国は、一方的な追加関税という米国のやり方に強烈に反対し、必要な措置をもって反撃せざるを得ないと表明した。

中国側は、経済貿易の合意には平等と互恵が必要であり、中国は自らの核心的利益の重大原則に関わる問題では決して譲歩しないと改めて強調した。双方が合意を達成する前提は、米国がすべての追加関税を取り消し、貿易における買い付け規模も中国の実需に合致するものにして、同時に合意文書をバランスの取れたものにして、双方に共通する利益に合致させることだ。

【三】中国は一貫して平等・互恵・誠実な協議との立場を堅持する

中国政府は一貫して、貿易戦争で互いに威嚇し、追加関税を不断に設けるやり方は経済貿易問題を解決するのに益がないと認識している。米中は相互尊重、平等互恵の精神により、善意と誠実さにもとづき、交渉を通じて問題を解決し、対立を縮小し、共通の利益を拡大し、世界経済の安定と発展を共同で維持せねばならない。

(1)協議には相互尊重・平等互恵が必要

米中は世界最大の二つの経済体・貿易大国であり、経済貿易協力で一部に対立が存在することは正常だ。鍵となるのはいかにして相互信頼、相互協力を増進して対立点をコントロールするかということだ。中国の出発点とは両国共通の利益と世界貿易の秩序維持であり、対話と協議を通じて問題を解決することだ。中国は最大の忍耐と誠意をもって、米国側の関心事に回答し、共通点を求め相違点は留保する態度で対立点を妥当に処理し、さまざまな困難を克服し、現実的な解決案を提出し、2カ国の経済貿易協議のために苦しい努力をしてきた。協議の過程において、中国は一貫して相互尊重、平等互恵の原則を保ち双方がいずれも受け入れられる合意の達成のために力を入れてきた。

相互尊重とは、相手側の社会制度、経済制度、発展の道とその権利を尊重することだ。彼我の核心的利益と重大な関心事を尊重し、(相手側の)「最低線」に挑戦することはせず、「レッドライン」を踏み越えることはしない。(相手側に)発展の権利を代償にする犠牲を払わせてはならない。一国の主権を損ねてならないことは、なおさらだ。平等互恵とは、交渉する双方の地位が平等ということであり、協議の成果が互恵的であり、最終合意がウィンウィンであることだ。もし、一方が相手に強圧をかけつつ交渉する、あるいは交渉の結果が一方にのみ有利であったら、そのような交渉が成功を収めることはない。

(2)協議では、互いに向き合い誠実を基本とせねばならない

協議では、双方が相互理解し共に努力することが必要だ。協議とは当局関係者が討論を通じて、直面する問題について共通認識または双方の妥協を追求する課程だ。協議期間中に出現する「変数」は多い。双方は自らの利益から出発するが、それぞれの段階においてさまざまな変化にさまざまな対応をする。これは協議の常態だ。

中国政府は、経済貿易における協議は、問題解決を模索する有効な道と認識している。協議の過程において、双方が共に善意ある態度を持ち、相手の立場を十分に理解してこそ、協議のための良好な条件を得ることができる。でなければ、長期に渡り有効な合意を形成するための基礎は形成されず、持続可能で実行可能な合意を達成することは難しい。

誠実とは協議の基礎だ。中国政府は一貫して誠実を基本として、最大の誠意をもって米国政府との協議を進めた。中国は米国の関心事を高度に重視し、双方の対立を緩和する有効な道筋と方法を見出そうと努力した。双方はこれまでに行った11ラウンドのハイレベル経済貿易協議は重大な進展を見た。これらの協議の成果は中国の利益に合致しており、米国の利益にも合致している。これは双方の共同の努力と互いに向き合った成果だ。中国は協議において、信用を重んじ承諾事項を重視する。中国は、双方が合意を達成すれば、中国は承諾事項を必ず真剣に着実に履行すると繰り返し強調した。

(3)中国は大原則の問題で絶対に譲歩しない

いかなる国家にも、自らの大原則がある。協議において、一国の主権と尊厳はかならず尊重されねばならない。双方が達成する合意は、平等で互恵的でなければならない。中国は重大な原則問題について、決して譲歩しない。米中双方は、国家の発展の違いと段階性を認め、相手側の発展の道と基本制度を直視し承認せねばならない。一つの合意ですべての問題を解決することは望めない。合意が双方の求めを満たすことを確保し、合意のバランスを実現させねばならない。

米国は最近になり、対中追加関税を引き上げると宣言した。これは双方の経済貿易問題を解決するには不利であり、中国は強く反対する。中国はやむを得ず反応することで、自らの合法的な権益を維持する。中国の立場と態度は一貫しており明確だ。中国は関税措置ではなく対話を通じて問題を解決することを希望している。

中国国民の利益のために、米国国民の利益のために、全世界の人々の利益のために、中国は理性をもって対応する。しかし、中国はいかなる圧力をも恐れない。いかなる挑戦であっても、受けて立つ準備をしっかりとしている。「話そう」と言うならば、門は大きく開かれている。「戦う」と言うならば、とことんおつきあいする。

(3)どのような戦いを挑んでも、中国の前進の歩みを阻止することはできない

中国の発展が順風満帆であろうはずはない。困難さや障害、場合によっては非常に危険な事態に遭遇するのも必然だ。中国は各種のリスクや挑戦に直面しても萎縮することなく、危機をチャンスに転じ、新たな天地を開拓する。

情勢がどのように変化進展しても、中国は自らがすべきことをしっかりとやり通す。改革開放を通じて発展し、自らを大きくする。これが、経済貿易摩擦に対応する根本の道だ。中国の国内市場の需要は巨大であり、供給面での構造改革の推進は製品と企業の競争力を全面的に向上させる。財政と通貨政策には十分な余地があり、中国は経済の持続的かつ健全な発展という良好な状況を維持できる。経済の見通しは非常に明るい。

中国は引き続き改革開放を深めていく。中国の門が閉ざされることはない。ますます大きく開かれていくだけだ。習近平主席は第2回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムの基調講演で、「中国は一連の、改革開放の重要な措置をとる。制度面と構造面の措置を強化する。外資の参入を認める分野の一層の拡大、知的財産権保護についての国際協力の一層の強化、商品およびサービス貿易の規模の一層の拡大、マクロ経済政策での国際協力の一層有効な実施、対外開放政策の貫徹と実現の一層の重視など対外開放のレベル引き上げを促進する。世界とさらに良好な相互連動を形成し、さらに進歩し繁栄する中国と世界をもたらす」と述べた。

【おわりに】

米中両国にとって唯一の正しい選択とは協力だ。ウィンウィンになってこそ、よりよい未来に向かうことができる。米中経済貿易協議の全体的方向について、中国は後ろを振り返りはしない。前を見ている。両国の経済貿易分野の対立と摩擦は、最終的には対話と交渉を通じて解決せねばならない。米中が互恵的かつウィンウィンの合意を達成することは米中両国の利益に合致し、世界各国の期待に応えることとなる。米国が相互尊重・平等互恵の精神を基本に中国と向き合い、経済貿易の対立をコントロールし、経済貿易の協力を強化し、協調・協力・安定を基調とする米中関係を共に推進し、両国と世界の人々の幸せを増進することを希望する。

■筆者プロフィール:如月隼人

1958年生まれ、東京出身。東京大学教養学部基礎科学科卒。日本では数学とその他の科学分野を勉強し、その後は北京に留学して民族音楽理論を専攻。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業とするようになり、ついのめりこむ。毎日せっせとインターネットで記事を発表する。「中国の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執筆。中国については嫌悪でも惑溺でもなく、「言いたいことを言っておくのが自分にとっても相手にとっても結局は得」が信条。硬軟取り混ぜて幅広く情報を発信。

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