村上春樹氏が告白「従軍した父は中国兵捕虜の斬首を見た」=中国ネット民は好意的な反応

Record China    2019年5月12日(日) 19時0分

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村上春樹氏が文芸春秋誌上で発表した文章が中国で注目を集めた。軍に召集された自らの父が、中国兵捕虜の処刑を目撃したことがあると記述したため。ネット上では、歴史上の事実を認めたとして、村上氏を好意的に評価するコメントが「いいね」を多く集めた。

村上春樹氏が10日発売の文芸春秋6月特別号で発表した「猫を棄(す)てる――父親について語るときに僕の語ること」と題する文章が中国で注目を集めた。軍に召集された自らの父が、中国兵捕虜の処刑を目撃したことがあるなどと記述したため。インターネット上では、歴史上の事実を認めたとして「このような日本人を歓迎する」などと、村上氏を好意的に評価するコメントが「いいね」を多く集めた。

村上氏の文章は文芸春秋誌上で27ページに及ぶ。村上氏の父の軍隊での体験に関連する部分はおおむね11ページ分強。うち、中国戦線に関連する部分は4ページ分ほどだ。

中国で最も注目されたのは、村上氏の父が、捕虜になった中国兵を軍刀で処刑するのを目撃したことがあると書かれた部分だ。中国兵は「騒ぎもせず、怖がりもせず、ただじっと目を閉じて静かにそこに座って」いて、斬首されたという。村上氏は「兵であり僧であった彼の魂に――大きなしこりとなって残ったのは、確かなことのように思える」と記した。

村上氏はさらに、「日本軍兵士」(中公新書)には、初年兵を戦場に慣れさせるために、捕虜を刺殺させるよう指示があった部隊があったとの記載があると紹介。「そのような行為を下級兵士が強制されていたとしても、決して不思議ではない」と論じた。

村上氏は、「残虐行為は残念ながらあったと率直に証言する人もいれば、そんなものはまったくなかった、ただのフィクションだと強く主張する人もいる」と、日本側にもさまざまな主張があることに触れた。文章の前後関係から、この場合の「残虐行為」とは1937年12月の、いわゆる「南京事件」を念頭に置いたと読める。

なお、村上氏は自分の父が実際に捕虜を処刑したとは書いていないが、中国メディアは「村上春樹が家族の黒歴史を初めて自ら暴露。父親はあるいは中国人捕虜を殺していたかも」といった見出しで報じた(環球時報記事、19年5月11日付)。

同記事を転載した新浪網にはコメント欄が設けられており、多くの意見が寄せられた。日本時間19年5月12日午後3時半現在、もっとも多くの「いいね」が寄せられた投稿は「もっと多くの日本人が知るべきだ。歴史上の過ちの結果は、現在の人が引き受ける必要があるとは限らないが、必ず認めなければならない」「歴史は過去に属するだけでなく、現在と未来にも影響する」「残念ながら日本では、この時期の歴史を知り、認める人がどれだけいるのか」などだ。

歴史を知らなかったり、歴史を認めない日本人が多いとする不満は感じられるが、多くのネットユーザーは村上氏が文章を発表したことは評価していると理解できる。村上氏をも含めて嫌悪感を示す書き込みはあるが、「いいね」はあまり集まっていない。

中国メディアの澎湃新聞が、微博(ウェイボー、中国版ツイッター)の公式アカウントで同件を紹介したところ、6483件のコメントが寄せられたことが確認できた。転発(リツイート)は1万3609回で、やはり注目を集めている。

「いいね」がとりわけ多いコメントは「われわれは、このような日本人を歓迎する」「中国を侵略した後の代の人として、一度きりの反省をしているのではない。村上春樹は歴史を直視できる人だ」など、村上氏を評価するもものだ。

一方では、「日本は一貫して当時の歴史を抹消しようとしており、彼らの教科書には全く取り上げられていない」とするコメントにも、かなり多くの「いいね」が寄せられた。ただし、同コメントに対しては「彼らの(日本の)教科書は一社の独占ではなく、非常に多くの種類がある。われわれに病的な右翼の歴史の教科書と言われ続けている教科書は、日本での使用率が非常に低い」という反論も寄せられた。(翻訳・編集/如月隼人

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