<コラム>ポッチャリ系では済まされない!東北虎林園のアムールトラにはダイエットが必要だ!!

関上武司    2019年4月20日(土) 23時20分

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黒竜江省ハルビン市にある東北虎林園は144万平方メートルの広大な敷地内のアムールトラをサファリ形式で見学できる観光施設だ。

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黒竜江省ハルビン市にある東北虎林園は144万平方メートルの広大な敷地内のアムールトラをサファリ形式で見学できる観光施設だ。90年代後半~00年代では中国の動物園では来園者のマナーは非常に悪く、若者が柵内のバイソンに雪玉を全力で投げつけたり、父親が子供の目の前で檻の中のヤマアラシを細い棒でつっついたりとかなりの無法地帯だったが、現在ではさすがにマシになっているようだ。

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しかし東北虎林園はアムールトラの体重管理がずさんなことでネットを騒がせ、筆者が園内をバスに乗って撮影していた際、運転手がバスに近づいた虎の体重は「700kgを超えている」と説明していた。園内の解説パネルには野生のアムールトラの最大個体の体重記録は384kgと説明されており、思わず自分の目と耳を疑ってしまった。筆者訪問時は8月で、厳しい冬を乗り越えるために脂肪を蓄えている…というわけでもないだろう。園内走行中、完全防備のジープが生きたニワトリを放ち、虎の捕食シーンを間近で見学できるのも人気があり、料金を払えば肉の塊から羊1頭まで餌付けが可能だ。日本の動物園ではライオンのような肉食獣には通常、内臓の健康を考慮して1週間に1日の絶食日が設けられているものの、同園には絶食日があるとは考えられない。

中島らもの短編『GOD OF THE DOG』の主人公は愛犬にじゃんじゃんエサをやって溺愛したせいでしまりのない犬に育ててしまったが、そのしまりのなさがまた可愛いと述べていた。ペットならそれで済むのだろうが、アムールトラは絶滅危惧種だ。敷地内には壮骨酒が販売されていたが、額面通りに受け取るなら原料は虎の骨を使用した漢方薬だろう。拙著『中国遊園地大図鑑南部編』で紹介した広西チワン族自治区の南寧動物園は漢方薬の熊肝粉を販売して問題になっていたが、中国の動物関連の施設では貴重な漢方薬の供給源となっていることが稀にあり、おそらく他の国の動物園では見られないと思われる。動物園は管理・維持をするだけでも莫大な資金が必要なのは理解できるが、野生環境の保護を訴える施設でもあるのでここまで利益至上主義に走らず、飼育するアムールトラの体重管理くらいはしっかりしてほしいところだ。しかし出口付近で別途料金を払えばアムールトラの赤ちゃんと記念撮影できるサービスはなかなか体験できないので、訪問時の運次第なのだがチャレンジしてみてほしい。

■筆者プロフィール:関上武司

1977年の愛知県生まれ。愛知大学経営学部卒。中国で留学や駐在員としての勤務経験あり。日本や中国のB級スポットを紹介するブログ・軟体レポートの管理人。中国遊園地の取材で中国の全省、全自治区、全直轄市へ訪問。会社員の傍ら、「中国遊園地大図鑑」シリーズを執筆し、メールマガジンのロードサイダーズ・ウィークリーにて「ROADSIDE CHINA 中国珍奇遊園地紀行」を連載中。このほかイベントも開催している。

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