日本僑報社 2019年4月7日(日) 14時10分
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日本に対して良い印象を持たない中国人も多い中、中南財経政法大学の王美娜さんは自身の日本旅行の体験から日本の良さを「証拠付き」で説明している。資料写真。
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中国では先日、「10億人の中国人が飛行機に乗ったことがない」という言葉が話題になった。実際、日本旅行が人気とは言え、中国人の旅行の9割以上は国内。1年間で訪日する中国人は800万人で、その中にはリピーターもいることを考えれば、日本を訪れた中国人はまだほんの一握りと言うことができるだろう。日本に対して良い印象を持たない中国人も多い中、中南財経政法大学の王美娜さんは自身の日本旅行の体験から日本の良さを「証拠付き」で説明している。以下は王さんの作文。
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「日本人はどんな人間?なんかテレビで見ていると、すっごく悪いことをしているんだけど」。今年(2018年)の春節、新年の挨拶に来たおばさんに聞かれた。その問いに誰も答えず、部屋がシーンとして、変な空気になりそうな時、母が別の話に変えた。現在の日本のことをちっとも知らない中国人にリアルな現状を伝えたかったのに、何も言えなかった。
日本への就職が決まってから、何度も似たような質問攻めにあった。「日本はどう?外国人にあまり友好的じゃなさそうだし、なんか冷たそう」。どうって、何をどう言えばいいんだろう。「日本に行っても、外国人は外国人。やっぱり助けてくれるのは同胞なんだからね」。うーん、そうかもしれないね。
でも、今なら答えられる。はっきりと、証拠付きで。その証拠は10日前に帰ってきたばかりの東京一人旅にある。
全日空の飛行機に搭乗する時、日本の魅力が垣間見えた。落ち着いた淡い青色のユニフォームを身にまとうキャビンアテンダント達と、少し離れたところで全体の進捗を見守り、方向を示す男性スタッフの笑顔と何度も繰り返すお辞儀。今思い浮かべても、幸せな気分になる。航空会社の人から「ようこそ、私たちの国へ」というウェルカムな姿勢が感じられたのは初めてのことだと思う。日本のサービスって、こんなに気持ちがいいんだ。
飛行機は無事に成田空港に着陸。空港で親切に外国客を案内するスタッフの姿を見て、これから始まる4日間の旅はきっと楽しいものになるだろうと、期待で胸がわくわくした。そして、東京はその期待に見事に応え、私の初めての日本の旅はすばらしい思い出になった……3日目までは。
4日目、帰国の日。思わぬハプニングに見舞われたのだ。空港に向かう電車に乗ろうと、駅の改札に入ろうとした時、1時間前に使ったばかりの財布がないことに気付いた。スーツケースと泊まった民泊の部屋を隅々まで探したが、財布は出てこない。「これから帰国なのに、どうしよう」と、慌てる私を「まだ時間の余裕があるから、落ち着いて」「きっと誰かが拾ってくれたよ」と民泊の大家さんが慰めてくれた。
大家さんは日本語でうまく説明できない私の代わりに、最寄り駅に電話を掛けてくれた。しかし、「ない」という返事に私はもう一度がっかりした。大家さんはあきらめずに、今朝どこに行ったかとか、最後にいつ財布を見たかとか、記憶を整理しようとしてくれたが、ぼんやりとした記憶しかない私はいつ、どこで紛失したのか全くわからなかった。
すると、大家さんは私の行った駅と近くの交番に一つ一つ電話を掛けてくれた。私は民泊を出て、歩いてきた道を探し、近くのコンビニに聞いて回ったが、財布は出てこなかった。がっかりしながら民泊に戻ると、大家さんは私を近くの交番に連れて行ってくれた。渡された遺失物届けに大家さんの住所と電話番号、財布の中身を細かく書いた。でも、正直、財布が戻ってくるとは全く期待していなかった。
と、その時、目の前に見慣れた財布が入ったビニール袋が出された。「ああ!それは私の!」。思わず大声が出た。涙が出るほど嬉しかった!「良かったね!良かった!」。感激のあまり、大家さんは私をハグしてくれた。今、思い出しても、感謝の気持ちで胸がいっぱいになる。拾って交番に届けてくれた人と大家さんのおかげで、大事な財布が手元に戻ってきた。
冒頭の話に戻そう。そう、今なら証拠付きではっきりと答えられる。「日本人ってどう?ちょっと冷たい感じがするけど?」「日本人はね、困った時、助けてくれる優しい人がたくさんいるよ」「日本ってどう?外国人にあまり友好的じゃなさそうだけど」「日本はね、フレンドリーな態度で外国人に接する包容力のある国だよ」。
これこそ、日本に行ったことがなかった私が見つけた日本の新しい魅力だ。日本のことをいまだにひどい国だと思っている多くの中国人に、実際に日本に行って、本当の姿を見てもらいたいと心から願っている。(編集/北田)
※本文は、第十四回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「中国の若者が見つけた日本の新しい魅力」(段躍中編、日本僑報社、2018年)より、王美娜さん(中南財経政法大学)の作品「中国の若者が見つけた日本の新しい魅力」を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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