Record China 2012年11月24日(土) 11時27分
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22日、清華大学・野村綜研中国研究センターの松野豊副主任は日本の華字紙・中文導報に、「日本人の見た中国の不動産業」と題したコラムを掲載した。写真は上海。
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2012年11月22日、清華大学・野村綜研中国研究センターの松野豊副主任は日本の華字紙・中文導報に、「日本人の見た中国の不動産業」と題したコラムを掲載した。以下はその内容。
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昔、中国では住宅は国有企業や政府から分配されるものだった。10数年前から分配制度が段階的に廃止され、「不動産ブーム」の時代へと突入していった。
自分で住宅を用意しなければならないというプレッシャーにさらされるようになってからというもの、中国人の心理と価値観に大きな変化が起こったように思える。投資を知らない人ですら、一獲千金の夢を見るようになった。株式投資も方法の一つではあるが、中国の株式市場は健全とは言い難く、庶民にとっては不動産への投資が比較的信頼できる金持ちへの道なのだ。
上海で働いていた頃、従業員は毎朝不動産情報をチェックし、運良く不動産を購入できれば、今度は内装の監督をするための休暇申請のことで頭を悩ませていた。中国人の友人や従業員との雑談でも、「どこどこの不動産を買わなかったおかげで大損した!」という話を耳にした。不動産を購入しなかったことは、彼らにとって「損失」なのだ。不動産は必ず値上がりするという考え方、まるでかつての日本である。
最近では住宅価格が下がると、購入者が不動産業者に殺到して、「こんな家を薦めやがって!値下がりしたら金のもうけようがないじゃないか。責任を取れ!」と言って抗議する光景も見られるという。不動産投資というのは本来リスクを伴う行為であり、得をすることも損をすることもある。投資目的での不動産購入にノーリスク・ハイリターンを求める、経済的常識の欠落した心理はまことに奇妙なものだ。
「不動産狂想症」の病因は、一般人の金銭のバランス感覚が崩壊したことにあるのだろう。彼らは30元(約400円)の野菜を「高過ぎる」と言い、30万元(約4000万円)の住宅の頭金を安いと言う。野菜などの生活必需品には敏感な価格感を持つにもかかわらず、不動産の絶対価格に対しては常識が欠落している。
観察したところ、現在の中国で不動産を購入するということは、たとえ自分で住むという目的があったとしても、多くの投機的要因をはらむことになる。それゆえに、不動産は商品の価値としての正確な見積りがなされていないのだ。
中国人からよく、「中国に長くお住まいなのに、どうして家を買わないのですか」と尋ねられるが、外国人から見て今の中国の不動産価格は庶民が負担できるものではない。私が中国で不動産を購入しない理由も、ここまで書けばお分かりいただけることだろう。(翻訳・編集/岡本悠馬)
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