日本僑報社 2018年12月16日(日) 15時0分
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急速な経済発展に人々のマナーが追い付いていないとも言われる中国。この指摘を中国人はどのようにとらえているのか。上海理工大学の黄鏡清さんは、日本の友人への手紙という形で、自身の考えと取り組みを紹介した。写真は上海市。
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急速な経済発展に人々のマナーが追い付いていないとも言われる中国。この指摘を中国人はどのようにとらえているのか。上海理工大学の黄鏡清さんは、日本の友人への手紙という形で、自身の考えと取り組みを紹介した。以下は黄さんの作文。
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里美ちゃんお久しぶり!最近どうしてる?別れてもう半年経ったね。去年9月、大学の短期プログラムで来ていた里美ちゃんと一緒に過ごした日々が、昨日のことみたいだよ。一緒に授業を受けたり、食事したり、上海のあちこちを歩き回ったり、ほんとうに楽しかったよね。
里美ちゃんはこの間のメールの中でこんなことも言ってたね。「中国って本当に広い。歴史的景観も多いし、料理も地方色が豊かだから、あちこち行ってみたいな」。里美ちゃんがそう言ってくれて、私もうれしい。
でも里美ちゃんは町の人々のよくないマナーや習慣なども見ていたから、そのことで中国へのマイナスの印象を持ってしまったよね。「どうして中国人はいつも公共の場所で騒がしくするの?どうしていつも気軽に道ばたにゴミを捨てたり、つばを吐くの?中国人のマナーってその程度?」。里美ちゃんは正直な子だね。
ここまで言われると、中国人として恥ずかしくなってしまうよ。里美ちゃんの親友だから私も正直に言うね。実はあの時、私は中国人としての誇りが傷ついたの。同時に、人々のこういうふるまいは、ちょっと注意したり文句を言ったりしても、簡単になくなるものじゃないって感じた。だから私、「この国をきれいで清潔な国にする。そのためにも、環境問題に取り組もう」って決めたんだ。
それで去年の12月、「グリーンバード」っていうゴミ拾いNPOの活動に参加したんだ。「きれいな街は、人の心もきれいにする」をコンセプトに、日本の原宿・表参道から始まった団体。上海にいる日本人を中心に、最近、この町でも活動が広がっているの。中日両国の青年たちがお揃いのユニフォームを着て、月1回、ゴミ拾いボランティア活動をしているのよ。この活動に参加している間、プロジェクトの日本人リーダーと何度も話をした。ちょっとその会話の一部を思い出してみるね。
「なぜ日本の町は上海より清潔なんですか?」「うん、そうだね。ぼくたち日本人の多くは、幼い頃からずっと環境を大切にしなさいって教育されてきたものさ」「多くの中国人の大人たちは、特に何も考えずポイ捨てしてるんです。でも一方で、グリーンバードに参加するような中国の若者も増えてきましたよ」「確かに」「私、グリーンバードに出合えて良かったと思ってます。ここでの活動のおかげで、私たち中国人は、今の中国に足りないものが何なのかに気づくことができます。でも、やはり中国の環境を守る活動の主役は、中国人自身でなければなりませんよね」。
最近もグリーンバードの活動があって、私も参加した。そしたら、これまでの活動の成果として、路上に捨てられている吸殻・ペットボトルなどの量が明らかに減ってきているし、街の人々の注目や支持も集まってきている。
今の中国では、多くの若者が私と同じように、「自分たちの行動を通して中国の環境を守りたい」と思って、実際に行動しはじめている。最近私は、大学内でゴミ分類についての学生意識調査をやったんだけど、環境保護の価値観が確実に定着してきている、ってわかったのよ。こういう価値観が持った人々が、これからの中国を担っていく。そのことが中国の新しい魅力だと言える日が、もうすぐ来るんじゃないかな。
また里美ちゃんに会いたい。私ももっと勉強したり、ボランティア活動をしたりしながら、里美ちゃんが来るのを待ってるからね。またお会いできる日を楽しみに。(編集/北田)
※本文は、第十三回中国人の日本語作文コンクール受賞作品集「日本人に伝えたい中国の新しい魅力」(段躍中編、日本僑報社、2017年)より、黄鏡清さん(上海理工大学)の作品『里美ちゃんへの返事――中国の新しい魅力「環境保護の価値観」』を編集したものです。文中の表現は基本的に原文のまま記載しています。なお、作文は日本僑報社の許可を得て掲載しています。
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